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美容医療O2Oプラットフォームの動向と今後の展望

ここ数年美容整形市場が盛り上がりを見せています。

背景には美容整形に関する世論の変化と美容整形経験者の増加があると考えられます。

東京イセアクリニック(医療法人社団心紲会)が行った2019年のアンケート調査では、およそ8割の方が「もしも自分が美容整形手術を行ったら周囲に言える」と回答しています。

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引用: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000026711.html

これまでは美容整形は隠すものというイメージがありましたが、よりオープンに捉える方が増えてきていることが伺えます。

本noteでは、美容整形市場動向と様々出現してきているサービスに関する分析を行い3年後にどのような環境になっているかを考察していきたいと思います。

ユーザーペイン

ユーザーの課題は何でしょうか?

美容医療はその特性上、とても情報格差が生まれやすい構造になっています。初めて美容医療を受けるユーザーは

・美容整形は初めてだととても不安
・どこのクリニックが一番最適なのか知りたい
・術後の経過を知りたい

といった気持ちを抱えていますが、それらを解消するような口コミを周囲から得ることはとても難しく、どうしてもネットでの情報が重要になってきます。

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その為、美容整形に関する信頼性のある情報や口コミなどが美容医療プラットフォームには求められています。

ソリューション

ユーザーは美容医療プラットフォームに以下のようなものを求めています。

・信頼性のある医療情報
・透明性のある口コミや術後経過に関する情報
・最適な医療機関を探し予約できる利便性

後ほど紹介しますが、中国のSo Youngというサービスはこうしたサービス特性を以下のような図で表現しています。

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https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1758530/000119312519100390/d649858df1.htm

ターゲットユーザー数

国内の美容医療プラットフォームのユーザーの95%は、10代20代を中心にした女性です。日本国内には約900万人の10代20代女性がいます。

また、そのうち約10%が過去に何らかの美容医療を経験していると言われています。

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ちなみに、韓国では若年層女性の約60%が美容医療の何らかの施術を経験していると言われています。それと比較して中国では約8%, 日本では約10%の浸透率であることから、規模は違えど日本の市場環境と中国の市場環境は類似点が多いと考えられます。


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市場規模

美容医療の市場は、主に「美容外科」「美容皮膚科」「審美歯科」の3つから構成されます。

それぞれの額を合わせた合計の美容医療市場規模は約7500億円です。

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参照元: 美容外科, 美容皮膚科 https://www.jsaps.com/jsaps_explore.html
参照元: 審美歯科 https://www.jmar-bi.com/report/226R2209.html
(=> 参照元よりも若干数字は大きくなっているが、トリビューの代表インタビュー記事 https://www.wantedly.com/projects/394068 を元に7500億円として記載 )

また、美容整形クリニックの広告費率は20%前後と言われています。そのため、美容整形のO2Oプラットフォームの市場規模は1500億円程度だと考えることができます。

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施設件数

全国の美容医療に関する施設数はそれぞれ

・美容外科: 1500件
・美容皮膚科: 1480件
・審美歯科: 2000件

の合計4980件があります。

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ビジネスモデル

・美容医療機関に患者を送客してその手数料を得るモデルがメインだと考えられます。
・手数料は施術単価の15~20%が相場だと考えられます。
・国内の美容外科の施術単価は20 ~ 30万円の為、美容外科の送客手数料単価は5万円前後だと考えられます。

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参入障壁及び重要KPI

事業KPIを仮で整理してみました。

恐らく参入障壁になりやすく、利益構造を左右するKPIは以下3つだと考えられます。

・コミュニティの質
・医療機関提携数 or 掲載数
・ユーザーの投稿数

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その他利益に直結しそうな重要指標

PU rate:
コミュニティの質によって変化しそうです。韓国のカンナムオンニ はユーザー数が多いものの、実際に美容整形を行うユーザー比率は低くPU rateは低いと聞きます。

Inflow(新規ユーザー数):
国内の美容整形の経験者は10%前後であることから、美容整形初心者をどうやって取り込むかが市場開拓に直結しそうです。

国内外サービス

国内外のサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。
以下は、東アジア圏における国内外サービスで覚えておきたいサービスを表示しています。

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中国
・So Young: 2019年にNASDAQ上場を果たした世界で一番注目される美容医療O2Oプラットフォーム

韓国
・カンナムオンニ : 韓国大手の美容医療サービス。日本語にも対応し展開している。

日本
・TRIBEAU: 2017年参入。累計4.5億円の資金調達を実施。
・MEILY: 2017年参入。創業者が初期から注目されメディア登場率が高い。
・NICOLY: 2017年参入。美容医療以外にも複数事業展開。
・Lucmo: 2016年参入。
・リクルート: 2020年3月よりHot Pepper Beautyのカテゴリを増やす形で参入。国内大本命。

サービス比較

So Youngは日本語対応をしていない為、

国内サービスの機能を比較すると以下のような整理になります。

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TRIBEAUとLucmoが一番網羅的に機能を提供しています。一方でNICOLYは医療機関検索に特化しており、ポジショニングは明確です。

今度の市場動向に関する考察

・国内の美容医療市場の約1500億円のうちベンチャー4社が握っているシェアはまだ2~3%前後だと考えられる。

・美容医療プラットフォームの事業の差別化は、医療機関連携とコミュニティ形成が鍵になってくると考えられる。

・コミュニティ形成に関してはベンチャー4社の方が有利だと考えられるが、医療機関連携に関しては営業力・組織力の差になってきそう。

・ベンチャー4社の中では資金調達量が多く、機能が充実しているトリビューが一歩抜けているか。

・一方、国内市場全体においては、2020年3月に参入したHot Pepper Beauty(リクルート)が営業力面において最有力だと考えられる。

・So Youngやカンナムオンニ を代表とする海外産サービスは、ユーザー規模は大きいものの、医療機関連携などで苦労すると見られ、国内市場を席巻するまでの勢いは持ちにくそう。

スライドはこちら

https://speakerdeck.com/aritaku/mei-rong-yi-liao-shi-chang-falsedong-xiang-tokao-cha

以上、美容医療O2Oプラットフォームに関する市場リサーチ及び今後の展開の考察でした。

本文中で利用した数値には曖昧な部分が多く、一定推測も混じっている為、引用にはご注意下さい。

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