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梅村みずほ議員 (2)高裁で逆転した判決を悪用し、「虚偽DV」論を展開

―国会の場で誤った情報を流布し、被害者を貶める。
梅村みずほ議員は、「共同親権」問題でも、「虚偽DV」発言により二次加害を行っています。
高裁で逆転している事件にもかかわらず、「虚偽DV見逃しは違法」との見出しの新聞記事(2018年)を国会で引用し、「支援措置は虚偽DVの温床」と国会で持論を展開したのです。(2023年4月4日 参議院法務委員会にて)

前回記事:梅村みずほ議員 (1)死者の政治利用、被害者攻撃、外圧誘致…


梅村みずほ議員、2018年の産経新聞をもとに「虚偽DV」を主張

4月4日、参議院法務委員会で、梅村みずほ議員は、DV等支援措置について取り上げました(支援措置:DV・ストーカー・虐待等の被害者が、加害者による住民票の閲覧を制限できる制度)。
梅村議員は、2018年の産経新聞の見出しを読み上げ、支援措置は「こういった虚偽DVというものが起こり得る制度」と主張しました。

社会的には、この総務省の支援措置によって、DV加害者という、いわゆるレッテルのようなもの貼られるという現状があるということで、今日は配布資料としてはお配りしてないんですけれども、私の手元には2018年の産経新聞で「虚偽DV見逃しは違法 妻と愛知県に異例の賠償命令 名古屋地裁 支援悪用、父子関係絶つ」ということで支援措置を悪用した裁判の記事があるわけなんですけれども、そうやってこの裁判、愛知県半田市というところであったわけなんですけれども、半田市が謝罪をしてですね、和解に至っているというものなんですけれども、こういった虚偽DVというものが起こり得る制度になっております

参議院法務委員会(2023年4月4日)

共同親権運動が利用する2018年の産経記事

2018年5月8日の産経新聞の記事は、「虚偽DV」を裁判所が認定した事例として、しばしば共同親権運動で利用されています。
この記事には、「虚偽DVをめぐり、相手親と行政側の賠償責任を認定した判決は極めて異例とみられる」と書かれています。

 子供を連れて別居中の妻が捏造(ねつぞう)した家庭内暴力(DV)の話を警察官がうのみにした結果、不当にDV加害者と認定され、子供と会えなくなったとして、愛知県に住む40代の夫が、40代の妻と県に慰謝料など計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(福田千恵子裁判長、鈴木尚久裁判官代読)が夫側の主張を認め、妻と県に計55万円の賠償を命じていたことが7日、分かった。判決は4月25日付。社会問題化している虚偽DVをめぐり、相手親と行政側の賠償責任を認定した判決は極めて異例とみられる。

産経新聞(2018年5月8日)

高裁では、DVと性的虐待の事実が明らかになり、原告敗訴

「虚偽DV」の象徴として政治利用された名古屋地裁判決。
しかし、実は、高裁では原告が敗訴し、最高裁でも確定しているのです。

第二審(名古屋高判平31・1・31)は、次のように判断しました。

まず、第一審(原審)が渋々認めたDV防止法の被害者要件について、
・被害歴は3年前から、頻度は2日に1回あったこと
・平成23年に右大腿部を蹴られたこと
・銀行の駐車場での暴言
・無理やりドアを開けられて腕を挟まれ負傷
・原告も有形力の行使を認めたこと
・平成24年12月に愛知県女性センターへの相談したこと
といった事実から、「一審被告Yが、DV防止法第1条第1項にいう暴力(身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動)を受けたものであることを一応認めることができ、本件支援措置の当時、一審被告Yが被害者要件を欠くものであったことは認められない。」としました。

【離婚後共同親権】世論はどのように操作されるのか(6)「二審で明かされた虚偽DV訴訟原告の性的虐待」|foresight1974@剣客商売 (note.com)

ここでは細かく立ち入りませんが、事実上、原告による性的虐待も認定されています。

高裁で覆った裁判の記事を悪用する梅村議員

この事件は、名古屋高裁判決で大きく判断が変わったにもかかわらず、産経新聞は高裁判決を報じておらず、2018年の記事もホームページに掲載されたままです。
そのため、「虚偽DV」の事例として、今でもTwitter等で拡散されており、共同親権運動に利用されているのです。
梅村みずほ議員は、4月4日の法務委員会で、この産経記事を配布資料には入れず、自分の手元で示すだけにとどめています。高裁で覆っていることを認識しているからこそ、配布を避けたものと思われます(DV・支援措置に関する有名な判決であり、梅村議員が知らなかったということはありえません)。

被害者のセーフティーネットを攻撃する梅村議員

日本では、DV被害者保護の制度が弱く、被害者が「逃げる」「身を隠す」ことを迫られる現状があります。加害者から身を守るために、支援措置は、ささやですが重要なセーフティーネットです。

梅村みずほ議員は、覆っている地裁判決を悪用し、「支援措置は虚偽DVの温床」との自説を展開しているのです。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
いま問題になっている「入管法改正」での発言と共通するものがあるのではないでしょうか?

※以下、出典・参考記事などご案内します。

4月4日 参議院法務委員会での発言について

梅村議員が悪用した産経新聞記事

名古屋高裁で逆転した「虚偽DV訴訟」の解説

名古屋高裁の判例( 平成30(ネ)453)

梅村みずほ議員と「共同親権運動」についてのまとめ


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