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国会議員5名が質問主意書を提出 ―共同親権35の疑問

12月6日以降、離婚後共同親権に関して、衆参両院の5名の国会議員が質問主意書を提出しました。
質問主意書を提出したのは、立憲民主党の大河原まさこ議員、吉田はるみ議員、岸真紀子議員、辻元清美議員、熊谷裕人議員です。DV・虐待に関する懸念、法制審の審議の進め方、導入に係る課題、検討の前提となる知見等について、合計35の質問が提示されています。
なお、内閣は質問主意書を受け取った日から7日以内に答弁することとなっており、今後の答弁書が注目されます。



大河原まさこ議員(立憲民主党)「離婚後共同親権制の導入に係るDV被害者保護に関する質問主意書」

(質問要旨)

  1. 父母の合意ができなくても「子の利益になる場合」に当たるのはどのようなものか?

  2. DV離婚のケースで共同親権となってしまった場合における相談や緊急対応について、どのように想定しているか?

  3. 意に反して離婚後共同親権になった場合に起こりうる事態に対して、どのような体制や施策を整える準備があるのか?

  4. リーガルハラスメントについての調査等はあるのか? また、抑制および被害者支援のためにどのように取り組むのか?


吉田はるみ議員(立憲民主党)「法務省法制審議会家族法制部会の審議の進め方等に関する質問主意書」

(質問要旨)

  1. 部会の委員に、DV・虐待の被害当事者を代表する委員がいないのはなぜか?

  2. 刑事法(性犯罪関係)部会と比べ、家族法制部会は1.7倍の開催日数となっているが、このようなペースで進めているのは、家族法制部会のみの例外なのか?

  3. 議事録が公開されるまでは、次回の会議を開催しないべきでないか?

  4. パブリックコメントの最終まとめの公開予定はいつか?

  5. 審議に用いられた「意見の概要」は、団体の意見に著しく偏っており、民意をくみ取ったことにならないのではないか?

  6. パブリックコメントの全容を委員に提示し、審議に反映することが民意の尊重となるのではないか?

  7. オーストラリアの家族法改正について、部会で把握し検討すべきではないか?

  8. 海外との総合的な比較、諸外国の法制度を巡る最新情報、共同親権制から生じた問題等を、部会で検討しているか?

  9. 養育費については、公的機関による立替払、養育費支払義務者から徴収する仕組みが必要であると考えるが、検討事項とされないのはなぜか?


岸真紀子議員(立憲民主党)「離婚後共同親権とドメスティック・バイオレンス及び児童虐待に係る懸念に関する質問主意書」

(質問要旨)

  1. 精神的な暴力は証拠を得るのが困難な場合がほとんどであるが、DV・虐待事案を共同親権制の対象から除外できるとする根拠は何か?

  2. DV加害者から「共同親権にしないと離婚しない」と言われたら被害者は受け入れざるを得ない。このようなケースについて政府はどのような認識でいるのか? 民法改正以外の施策も含め、どのような対策を講じる方針か?

  3. 離婚後共同親権制とDV防止施策とをどう両立させる想定か?

  4. 既存制度は、加害者から安全に逃げた前提での支援がほとんどである。加害者が関りを持ち続ける共同親権とは真逆のものだが、共同親権制が導入された場合、既存制度はどのように機能すると考えられるのか?

  5. PTSD等で加害者との連絡が困難な場合もあるが、同居親への援助の仕組みについて、整備や費用負担のあり方をどのように想定しているか?


辻元清美議員(立憲民主党)「離婚後共同親権制の導入に係る課題等に関する質問主意書」

(質問要旨)

  1. 現行の単独親権制でどのような問題が生じており、共同親権制を導入することでどのように解決されると想定しているのか?

  2. 共同親権にしてはいけないケースが共同親権とされる危険をどのように排除できるのか?

  3. 家族法制見直しにともない、いわゆる子連れ別居が違法とみなされることはあり得ないのか?

  4. 離婚後共同親権制が導入された場合、医療機関や学校などの手続きで、どのように対応することを想定しているのか?

  5. 再婚して養子縁組した場合などに混乱が生じるという指摘があるが、どのような制度設計を考えているのか?

  6. 「急迫の事情」があるとき、親権は父母の一方が行うとあるが、具体的にどのような事情を指すのか?

  7. 別居親が単独で行うことができる日常の行為、同居親に対する介入が認められる日常の行為は、どのようなものになると想定しているか?


熊谷裕人議員(立憲民主党)「離婚後の親権のあり方を検討する上で前提となる知見等に関する質問主意書」

(質問要旨)

  1. 例外なき共同親権制の導入には立法事実がないのではないか?

  2. 父母が不仲や争いがある場合、つまり合意が困難である場合には、共同決定できないというのが国民の声ではないか?

  3. 元夫婦または事実婚夫婦で、両人とも共同親権を求めている割合はどの程度か? また、いかなる理由で求めていると把握しているか?

  4. 「子どもに会うために離婚後共同親権を導入すべき」との理解が広がっている状況があるが、離婚後共同親権についての正しい理解を周知する必要があるのではないか?

  5. 共同親権と定めることの可否を裁判所が判断する場合に、子の福祉に適うか何らかの根拠・基準が必要であるが、法務省・部会では、いかなる調査・研究を用いているか?

  6. 2012年から2020年頃まで「面会交流原則実施論」の運用があったが、この期間について当事者の調査をしているか?

  7. 追跡調査が行われておらず、心理学的な知見が揃っていない状態であれば、共同親権制導入は拙速ではないか?

  8. 婚姻中に十分な育児実績を積まなかった別居親が、子どもの十分な全然確保ができるか疑問があるのではないか?

  9. 同居親が裁判官などからどのような対応をされてきたか、法務省は調査や意見聴取を行っているか?

  10. 法制審の英語訳資料では、親権を「Parental Authority」と訳しているが、誤解も生じさせていることから訳語を変更すべきではないか?


それぞれの質問主意書の詳細は、こちらの記事をご覧ください。

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