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「ラストマン」Ep.4で、地上波連ドラのエンタメ力ってこういこうことかという気持ちをまた深めた

5月14日(日)「ラストマン-全盲の捜査官-」Ep.4視聴。

Ep.1、Ep.2は比較的重めのテーマながらしっかりエンタメに仕上がっていて、Ep.3ではよりポップな楽しさを提供してもらって、安心して面白いドラマだなあと思ってところにEp.4、「このドラマすごいな……!」という気持ちをより深めた。

Ep.3までで十分に楽しかったのに、またギアが上がってくるとは思わなかった。これ、最終回までにどうなってしまうんだろうという気持ちと、最終回来てほしくないという気持ちと。今からロスが怖い。このドラマ企画してくださってありがとうございます…!という気持ちが大きくなっていく。

※ネタバレあり※

冒頭、なんで急に走ってるん……?という疑問が、ラストの皆実さんと吾妻さんとの関係性で見事に回収される。

どころか、Ep.1でちょっと強引に思えた吾妻さんのチームへの引き込みも、アイカメラ同期のときの皆実さんの台詞も、つまりそういうことだったんだ……!というEp.4でのすっきり感。

このドラマで引っ掛かるところがあったときは大抵後で回収されてる気がする。引っ掛かりには意味がある。

からの、以前大泉さんトークで出ていた、護道さんによる皆実さんの全力モノマネもとい大泉さんによる福山さんの全力モノマネ。なかなかにシリアスな役をまっとうされているのに、スイッチングがすごい。このドラマのこういう遊び心の入れ方の絶妙さがとても好き。

Ep.1~3と比べると、皆実さんが護道さんに対して説明なしにさらっと頼るようになってて、その意図するところを護道さんがさらっと汲むようになっていて、ますます最強のバディだなあと感じる。そうえば冒頭、事件に遭遇した皆実さんが護道さんに電話をかけて、用件だけ言ってさっさと切ってしまうのも好きだった。

(ところで私は湯川先生と皆実さんはかなりこまやかに演じ分けられていて似ていないのがすごいと思っているのだけど、あの電話の切り方は湯川先生ぽさもあって、その後のシリアス展開に反してちょっと笑ってしまった)

そんな冒頭のポップさもありながら、今回の事件の結末は、本当に救われない……と思い、それがフィクションの枠を超えて生々しい現実感で、心にひとつ重いものを残した。

ただそこから、皆実さんと吾妻さんの関係性、そして護道叔父甥コンビが盗撮犯を捕まえに行くという、ある意味これはフィクションらしさではあるのだけど、そこに救われた気持ちもあった。

皆実さんと吾妻さんの病室でのシーンは、それこそ心の傷を、傷ができたことはなかったことにはできないけれど、荒んでいる何かを滑らかにしてくれるような、そんな気持ちになった。

「残酷で理不尽なことばかりですがある日突然、目の前に虹がかかることがある」という言葉。これは本当に、心が落ちてどうしようもないときのために覚えておきたい。

台詞の良さだけでなく、お二人の表情や発声や間や、あの部屋の空気を作り上げていたものがすべて優しく、でもそれは儚い優しさではなく、「残酷で理不尽なことばかり」な現実を生きる強さを持った優しさで、あのシーンにたどり着いた瞬間、このドラマは本当にエンタメの力を見せてくれると、これまでよりさらに強く思った。

そしていち福山さんファンとしては、あの台詞をああ表現してここまで心に響くのは、今の福山さんだからこそだなあと、すごく思った。歳を重ねるたびにまだ知らなった表現を見せてくださるところが、本当にずっとファンをやっていてますます好きになるところだと思う。

Ep.4は、テーマ、扱い方も皮肉のきかせ方も、これまで以上にとても丁寧だなと思った。

まず、国家規模の犯罪かと思われたところから全員痴漢だったという転換。そんな重役の人たちが痴漢をしていたということ。そして痴漢撃退のスタンプだということにすぐに気づけないこと。

冤罪が起きるのは真犯人がいるからで、憎むべきは罪を犯す人であること。

一方で身内にとっての「良い人」が、信じられない一面を持つことがあること。犯罪者たちがその行為を悪だと思っていないこと。善意の沈黙が良い結果につながるとは限らないこと。

そういったことが、(あくまで自分の見方では)あまり偏らずに、現実離れせずに取り入れられていたように感じている。本当に、「ああ楽しかった」だけでは終わらせないドラマだなあと思う。

そして次回Ep.5、物語の核心に近づいていく感じが見られ、楽しみながら緊張する。あのピアノ弾いてるアンニュイな感じはなに…⁈とか、上川さんと福山さんのツーショットはものすごく画面が華やかだなとか、そんなミーハーなことも思いつつ、物語が進むのが楽しみであり、終わりが近づくのが寂しくもあり、そんな日曜夜をまた迎える。


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