見出し画像

「ラストマン」Ep.3の好きなところいろいろ。ポップさに笑い、そのなかにある問いかけを考える

2023年5月7日(日)「ラストマン-全盲の捜査官-」Ep.3視聴。

Ep.1、Ep.2に比べてずいぶんポップに始まったなあと思った。

GW最終日の夜で、明日から何日ぶりかに仕事という人も多いだろうし、このポップさはちょうど良いかもとか、すっかり息の合うチーム感(難波さん含め)が出ているスイートルームの面々にクスっと笑わせてもらった。

ところで、「護道さん」とか「吾妻さん」とか「今藤係長」とか、皆実さんが少しアクセントを置くときの一音目の上がり方が特徴的でクセになる。

※ネタバレあり※

今回は終始皆実さんがかわいい感じだったのも面白かった。人たらしって、こういうかわいげができることかもしれない。そのミーハーさはどこまで皆実さんが意識してやっていることなんだろう、と考えたり。そういうミーハーぶりも、Ep.1の「ごくありふれた人間」を体現しているとも思った。

また、いち福山さんファン的には、福山さんが持っているチャーミングさがいい感じに皆実さんで表現されていた気もした。

前回につづきまだ完熟フルーツの話題が続いてたのも面白かったなあ。ヤジさんと仲良しになっててふふってなる。

そして、皆実さんが突飛な言動をするたび、護道さんが解説したりツッコんだりするのが、Ep.1、Ep2とは別の意味でも「最強の二人だ!」となった。指パッチンを「ノってるわけじゃないので」って説明するの、護道さん最初そう感じてたのかなとか思わされたりして愉快で。

ああいうやり取りをあの間であの愉快さでできるのは、福山さん大泉さんだからこそじゃなかろうかと。ほんとこのお二方組み合わせてくださってありがとうございますという気持ちが毎度ながらみたび。

今回、こまかな仕掛けも多かった気がして、後から見返すとぽろぽろと気づくことが出てくる面白さもある。

冒頭マイホームズの台詞は事件の本筋だったなあとか。事件現場に広報の人たちがいたの、最後の皆実さんと佐久良さんの対談のためだったのかとか。撮影現場で花束もらう皆実さんはこれはもう福山さんだーとか。真犯人を確定するためにハンドクリームを渡すとき、千晴さんに「使ってみて(見て)ください」って聞こえるようにしてるなとか。

そういえば番組公式SNSであがっている撮影の裏側動画で、歯磨き粉のアクセントを模索する一幕があったけども、あれだけ言い方にこだわっているならば、難波さんの若干青森アクセントが残っているところにも何か意味があるんじゃないかなと思っている。

あと、羽鳥さんに会いに行ったときの皆実さんは、いつもよりも分かりやすく「目の見えない」演技をしていたように感じた。自分もそうだけど、視覚障害についてそこまで具体的な知識があるわけではない世間一般の人がぼんやりとイメージする「目の見えない」感じ。

考えたらあの白杖は折りたためるはずなのに、玄関で置かせてもらおうとするところとか、Ep.1からそうだけど、皆実さんは目が見えないことを捜査にうまく利用している。そして護道さんがそのことを理解しはじめて、うまく合わせるのやっぱり最強の二人。

でも、もしかしたら、各事件だけでなく、皆実さんは目が見えないことを物語全体での目的のためにも利用しているのかもしれないと思えてきて、どうだろう。そんなことを考えながら見れるのも連続ドラマの面白さ。

物語の最後、千晴さんが実は全部知っていたのではという話になり、そこまでの千晴さんの振る舞いに「だからか」とものすごく納得感が出た。

夫が殺人事件に巻き込まれたと聞き慌てて入ってきたときの様子、皆実さん護道さんが帰った後に何か考えこんでいる様子、羽鳥さんが自首した後に苦悩している様子、それらは彼女が発端だったからそういう反応になったのかと、最後に答え合わせができる。その上で、すべて呑み込んで一家の大黒柱となった振り切った感じ。

それらを演じられてるのすごいなと思った。

皆実さんの表情での演技も、Ep.3は多めだったように思う。まず、福山さんは目力がものすごく強いと思うのだけど、ラストマンではその圧を抑えている感じがするのが興味深い。たとえば、沈黙のパレードの湯川先生と比較するととてもよく分かる。

その上で、Ep.3では表情で語るようなところが多かった気がした。皆実さんは知らないのか知っているのか、視聴者が好きなように解釈できるような表情。それがとても興味深かった。

そして最後に、ポップなEp.3でありながら、そのなかで問いかけられた、罪を測るのは何なのかという話も考えてみた。殺人より不倫のほうが罪が重いという趣旨の言葉だけ見ると、そんなわけないやんと思うけれど、これ、殺人をいろいろ置き換えて考えることもできるのではないだろうか。

現代日本において、罪を測るのは法律で裁判だけど、そうじゃなくなっている場面はたしかにある。それは、一人ひとりの気分の集合で、誰かが完璧にコントロールできるわけではなく、明確な基準もない。SNSの普及でそれは加速されているように思う。でも、そういうものがきっかけで、力を持たない一般人が大きな力に対抗できる一面もあり。

そんな現代に生きる一人として、たとえばそのいち投稿、いち拡散がどういう意味を持つのか、もう少し自覚的になる必要があるのかもしれない。

そうやってEp.3を一通り見終えて、改めてEp.1、2を見返すと、より味わいがある。Ep.1、2の重厚な感じとEp.3のポップな感じ、どちらもそれぞれ面白くて、どちらも面白くできてしまうこのドラマはやっぱりすごい、と改めて思った。あと、何回見てもEp.1で皆実さんが犯人に語りかける言葉は、心に浸透してくる。

また、Ep.4の予告も見て思ったのだけど、このドラマの各話の展開の巧みさもすごいなあと。今後もどんどん楽しみ。

ちなみに本筋からはずれるのだけど、Ep.3で実はわくわくしていたのが、過日の「弾丸グルメツアー」で、新幹線のなかで急遽ミニドラマになったシーンが、Ep.3のシーンだったこと。

そのシーンを実際に見てみて、(良い意味で)全然違う!という驚き。まあ当たり前といえば当たり前なんだけど、そもそも同じセリフを言っているとすら思えない感じで、思ってた以上に別ものでびっくりした。あらかじめ今日はあのシーンだって思っていなかったら気づかなかったかも。各役者さんの役へのぴったり感と、作り込まれた世界にすごいなあと思った。
(やっぱり大泉さんは芸達者だなあとも思った)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?