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「ラストマン」Ep.6を見て、バディの背景に思いを馳せ、人に手を差し伸べることを考える

2023年5月28日(日)「ラストマン-全盲の捜査官-」Ep.6視聴。

この日はぎりぎりまで予定が詰まっていて、いつもの2倍速くらいで帰宅した。日曜夜のお楽しみとしてすっかりなくてはならない存在になっている。だけどもう折り返し過ぎたのかあ、とちょっと寂しさもある。

※ネタバレあり

Ep.5に続き、護道家はとにかく重厚で豪華。だけど家族関係はなごやか。泉くんを慌てさせる汐里さんとか、お見合い相手の写真をそっと確認する京吾さんに笑ってしまった。一方で、そんなかで皆実さんが言う「幸せな家族」には含みがあるような感じもする。

肩たたき券の回想シーンは切なかった。そんな護道(心太郎)さんの複雑な空気をいち早く察知するのが皆実さんなのが、人たらしとしても、バディとしても、さすがだなあという感じが。

皆実さんには目的があって、そのために護道(心太郎)さんを利用しているところはたしかにあるのだろうけど、それでもこれまで護道さんにかけてきた言葉は嘘じゃないというか、いつか真実がバレてしまうかもしれないことを踏まえて、言葉をかけてきたという気もしてきている。というか、そう思いたい。

そして事件の一報が入り、現場へ。地図を教える護道さんと教わる皆実さんの寄り添い方に、なんだろう、適切な表現が思いつかないのだけど、きゅんとしてしまった。あと、皆実さんはほんと常人離れしたスペックの人だなあと、改めてだけどそれをすんなり受け止められるのが、やっぱり福山さん演じる皆実さんで。

現場に着いて、大人しくしておいたほうがと言われた端から声を張り上げ、無茶をするなと言われた端から無茶をする皆実さんの我が道をずんずん行く感じは、とても皆実さんだった。佐久良班の方々は慣れつつあるけど、新井さんの反応がもはや新鮮な。そして皆実さんがやりそうなことを分かっていて止められない前提で動いている護道さんが、とてもバディ。

人質交代の皆実さんは、にこやかに接近してからの、緊迫感の伝わり方がすさまじかった。一方で、あんなシリアスな場面で言うことじゃないかもしれないけど、倒れたり手荒に扱われるときの皆実さんの色気はなんかすごい。なんなんだろう、あれは意図してされているのか、天然なのか、(福山さんとこの制作陣の方々なら意図しての可能性大だけど)、とにかくすごい。

同時に、Ep.2で皆実さんが話していた、全盲の身にとっての銃への警戒を思い出して、覚悟の大きさも感じる。アイカメラを移し替えるときの手つきとか、伝わってくるものが大きかった。

そういえばEp.1とかもそうだけど、皆実さんはわりと自分の身を犠牲にすることへのハードルが低い気がする。メタ視点で言えば、主人公だから途中で死ぬことはないのだけど、完璧で有能で人たらしな皆実さんの、なんというか危うさのようなものも感じたりも。

そして今回はダメかもしれないと思った、ぎりぎりの救出。あの場で皆実さんを見捨てない菊知さんに、端的に人物像が表れているような気がする。だから、「もし」を言っても仕方ないのだけれど(ましてやこれはフィクションだし)、何か少しでも息子から父へのアプローチが違っていたら、結末は大きく違っていたのではないかと思えた。

そんなことを思いながら、救出後の新井さんから皆実さんへの腹パンは非常に良かった。皆実さんはやっぱり人たらしだし。もうここで事件解決なさわやかさながら、そこからどんどんたたみかけてくるのがこのドラマ。

娘さんの居場所を吐かせるシーン、いくらなんでも本当に撃つことはないだろうと思いつつ、でも万が一がと思わせる護道さんの表情と声色。どこからどこまで通じ合っていたんだという、皆実さん護道さんのバディ感。種明かしされて、強制的にってそういうことかー!と声が出た。

犯人の動機の一端である親ガチャ。そして人生のガチャ。これはEp.1にも共通していると思うのだけど、犯人に対しての皆実さんの接し方が全然違う。ここに皆実さんの感じ方、生き方、考え方が表れているように感じた。

親ガチャなんて関係ない、という言い方には賛否両論あって当然だと思う。私自身の考え方としては、親ガチャが全部とは言わないまでも、その影響は少なくないと思う。ただ、皆実さんはこの犯人だからこそ、こういう言い方をしたんだろうなという受け止めをした。

素人考えだけど(ずっとそうだけど)、今回、犯人と実の父との関係性についてあまり具体的に描かれなかったので、もしそこが分かればより納得感ある人が増えたのかもしれない。10分拡大とかだったら良かったなあとかちらっと思ってしまった。

そして、今回の人生のガチャについての話。加えて、人はなぜ人を助けるのかという話。自分としては、手を差し出す余地がある側へのメッセージとしても受け取った。理由なんてなくて良いから、人が人を想い、助けようと手を差し出せるときにためらわない。

そうできる人が増えたら、たとえ最初のガチャがいわゆる失敗であったとしても、それを抜けられる人が増えるんじゃないだろうかと。苦しい状況にある人に自己責任を強いるのではなく、他者を助ける余力のある人が手を出すことを促すメッセージのように受け取った。

それは理想ではあるんだけど、いろんな人が一歩踏み出せば叶うかもしれない理想も見せてくれるのが、このドラマであるように思う。福山さんが「福のラジオ」でもおしゃっていたけれど、このドラマの「ドリーム感」あるエンタメ力に、毎回励まされている。

そうやっていろいろ考えながらの、最後の福山さんの(これは皆実さんというより福山さん)アドリブにふっと力を抜いてリラックスした日曜夜を取り戻させてもらった。地上波ではわりとパブリックな「福山雅治」を貫いている印象があるけれど、今回、大泉さんとの共演効果なのか、ラジオやライブで見せてもらえる「愉快なましゃ」もちらちら見せてもらえるのが最高。

最後に、今回、ドラマ冒頭と締めに入った、長野での事件を受けてのテロップと、公式アカウントでのメッセージ。

今回ドラマを予定通り放送されるかどうか、関係者の方々は相当悩まれただろうなと思った。それは、クレーム対策という一面も当然あるだろうけど、それ以前に、そもそもこのドラマを作られるような方々は、普通に人としてあの事件に心を悼めておられるだろうなと感じたから。

それでも、最大限の配慮をしながら放送してくださって良かったと思った。このドラマがあって良かった。






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