見出し画像

「ラストマン」Ep.8を見て、バディの強さについて考える

2023年6月11日(日)「ラストマン-全盲の捜査官-」Ep.8視聴。

前回の終わり方と予告の感じから、皆実さん護道さんバディが大好きになってる自分にはしんどい展開になるだろうなあって分かっていた通り、初っ端からしんどい。そう思わせるくらい、このドラマには引き込まれる。彼らが実在の人物であるかのように、感情移入してしまった。

※ネタバレあり

心の内をあまり見せない皆実さんと、感情をぶつける護道さん。余計な言い訳をしない皆実さんがきっと本当のことを言ってるのも分かるし、護道さんがそう言ってしまうのも分かる。

そんな決裂からの、吾妻さんの「最後までの皆実さんの目になります」は、ものすごく響いた。吾妻さんは当初から、皆実さんの外に見える言動だけじゃなく心の内に想いを馳せてくれる人だなあと思う。それに対して「ありがとうございます」という皆実さんは、いつもより少しニュアンスが違うように思った。

そこからの展開。日本での滞在日数が限られているなかで、山藤さんに会うことは皆実さんにとってかなり大切なことだろうに、しかも警察のなかで孤立してしまったなかで、犯人とぶつかった一瞬の感覚から異常を察知してそちらを追うことを決める皆実さんは、こんなときでも皆実さんだなあと、絶対にブレない人なんだなあと思う。

そして撃たれる皆実さん。ここからの緊張感が走りつづける場がすさまじかった。撃たれた直後から的確な状況把握に努めようとする皆実さんの冷静さは切ないくらいだったし、だんだんと生気が失われていく様子の演技(とメイクも加わった)のリアルさに、フィクションを見ているという認識とは別のところで本当にはらはらさせられた。

でもそんなになっても皆実さんは絶対的にシンディのことを信じているんだなあと。これまで皆実さんが護道さんにかけ続けてきた言葉は、本心からの本心だなあと思わされる。一方の護道さんも、ああやって決裂したけれど、やっぱり皆実さんのことを切り捨ててはいない。これまで二人で行動してきたことが、きっとなにかの大切な変化をもたらしているんだと分かる。

(あとこれは本筋とは関係ないけども、福山さんファンとしては、ああいう弱っている演技のときの福山さんの色気がすごいと思う)

そこからのシンディの登場はもう「信じてた!」って叫びたくなった。まあとてもフィクションらしい展開ではあるのだけど、そういうことはどうでも良い爽快さというか。もう意識があるか分からないようだった皆実さんなのに、犯人の行動を止めるためにかすれた声で時間を稼ぎ、護道さんが来たと分かった瞬間、目に光を取り戻す感じもすごかった。これはもうこのバディじゃないとできない。

そして制圧。このアクションが本当にものすごくかっこよかった。左手が自由にならないからこその蹴り。そこからの気迫。これまで皆実さんはわりと飄々とスマートに制圧してくることが多かったのに、ぎりぎりの状態での絶対に仕留めるという気迫がすごかった。

(これも本筋とは関係ないけど、あの蹴りをさっと繰り出せるの、ライブでの福山さんの軽やかな身のこなしを思い出した)

展開的に大丈夫だろうとは思いつつ、護道さんも無事で良かった。こんな状況でも絶対にお礼を忘れない皆実さんに、皆実さんってこういう人なんだというのを改めて突き付けられた感じがした。

前回から登場のデボラさんは、正体が分かったのは前回ながら、その存在感がすごい。この人がずっと皆実さんの側にいたんだなというのは、皆実さん好きとしては救われるような気持ちがする。

そしてラスト。皆実さんは本当に強い人だと思う。護道さんが言うように、人の心はそんな簡単に割り切れるものじゃない。だから犯罪が起こったりもするわけだし。だけど皆実さんは、本当に、逃げない人なんだなあと。

そんな皆実さんが心の内の傷を、ここに来て護道さんに少し開示したように見えて、ああこのバディはもっと強くなるんだなと思った。

ラストの二人のやり取りの説得力は、福山さん大泉さんが演じる皆実さん護道さんだからこそだなという感じもした。合わせて、このラストマンという作品がここまで作り上げてきたものが説得力を増している。

ここからEp.9、Ep.10にどう続いていくのか、最終回が寂しいけれど、先を早く知りたくて、この作品に魅了されている。あと、今回はお決まりのラストアドリブがあってほっとした。「なに良い声で言ってるんですか」が笑いを含んでたのも好きだった。

Ep.8では、インターネットでの発信の責任についても考えさせられる。自分にとってはたかが一言が、積み重なったときにどれだけの脅威になるのか。

インターネットの仕組み上、無責任な発言、あるいはもはや悪意をもった発言がなくなることはないだろうけど、その危うさを自覚する人が少しでも増えることが、まずは大切なんじゃないかと思う。

そのためにも、ああいった提言をしてくれることは意味があると感じた。実際に大事にならないと分からない、そこに至る前にフィクションの世界で疑似体験をして、想像してみて考えるきっかけになるというのもエンタメの役割のひとつなのかもと思った。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?