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『私とは何か』②私たちは分人の集合体

嬉しい3連休の初日、みなさまいかがお過ごしでしょうか。冒頭の写真は、先日行ったリヒター展のガラスの作品。分人にちなんで。

今日も例の如く、ブログからのお引越し編でお届けします。
『私とは何か』の続き。鉄は熱いうちに打てと言いますので。

尤も、私の熱は唐辛子由来かもしれません。
というのも、激辛大好き人間だからです。
豆板醤の万能性に気付いてしまってから火が付きました。
みなさまも是非、中華の調味料として冷蔵庫に肩身を狭くしているチューブに、活躍の場を与えてあげて下さい。
方法は簡単、きゅうりやレタスに付けるだけ。
これが美味しいのは想像に難くないと思うのですが、実は私の一押しはべったら漬け。
お漬物とキムチが親戚だということを再認識する味になるのです。

いつも七味(日本)をぶっかけていた代わりに、豆板醤(中国)を付けてみたら、キムチ(韓国)風になったという、東アジアがべったら漬けで一つになるという素敵さ。

熱→火→辛→炎=ファイヤー、で思い出したけれど、早期リタイアしてヨットの操縦免許の講師をしてるおじさんに出会ったことがある。
生徒さんは、コロナで時間に余裕ができた人とか、最早懐かしさを感じる給付金の使い道に取ってみる人、とか色々だけど、結構人気らしく。

色んな人がいるもんだなあと、思いながら聞いていたのだけど、そんな彼は子供も独立したし奥さんも自立した人だしってことで、離婚して独身を謳歌してるって言っていた。元気にしてるだろうか?

実は会った時、私はファイヤーの意味を知らなくて、投資のトの字も知らなくて。今なら色々質問したのになあ、とちょっと悔しい。

さて、また前菜という名のどうでもいい話でお腹いっぱいになるところでしたが、メインのお肉にナイフを入れましょう。
そうです、分人のお話。
個人を分ける、からの連想で肉を切るってちょっとグロテスクだけど。

それをカバーするかの如く、冒頭の写真のかわいいトラックもまた、分人からインスピレーションを得たのですが。
さて、『私とは何か』をかいつまむとこんなかんじ。

家族に対して、親しい友人に対して、たまにしか合わない知人に対して、仕事場の人に対して、それぞれ違う顔を私たちは持つ。
どれが本当の自分なのか、と疑問に思う。
そのどれもがあなたなのである。

その一つ一つの顔を分人と区切り、その集合体として個人のあなたが出来ている。
それはあなたが一つの顔を向けている相手も同じこと。
他人もあらゆる分人の集合体で、あなたが見ているのはその人の一分人でしかない。

そんなの知ってるよと思うかもしれない。
でも改めて説明されると、なんか納得する。
ドイツ人社会学者のゲオルグ・ジンメルさんが、

「私たちは他人のこと絶対的には知り得ない」
と説いていたのを思い出す。

一世紀も前に書かれた大著『社会学』は非常に面白いけれど、気軽におすすめとは言い難いので、時間を持て余して死にそうな時にでもどうぞ。(って前にもブログで書いた気がする・・・。)

ここでの「絶対的」は、相手の考えや感情を差している。

そして、他の章では他人の知り得ない部分を「秘密」と形容して、それが相互関係にバランスをもたらしていると言っていた。
全部を知り得ないから関係が保てる。

私が相手に100%の私を晒していないように、相手もあなたに全てを見せるわけではない。
それこそ100%の私とは何か、って話なのだが、それはさておき。

親しき仲にも礼儀あり×知らぬが仏、的な?

英語には、良い隣人関係には良い柵にあり、ってかんじの言い回しがあるみたい。
だからこそ距離感が大事になってくる。
親子、夫婦、パートナー、友人、あらゆる関係において。

一緒に居すぎると、自分のプライベートゾーンみたいなものが、相手への分人に侵食されてしまうのかもしれない。
また、相手の嫌なところが目につくようになる、というのもあるあるだと思うけど、

それは、自分に向けられた分人以外の分人を垣間見ることになるから、かもしれない。
でも、相手に対してネガティブな感情を抱いた時、この分人の概念そのものを思い出すと、そんな怒りや悲しみの感情がおさまると思う。

自分がそうであるように、相手にも色々な顔がある。
そして、あなたに見せている姿は、あなた向けの姿で、相手の一部にすぎない。

しかもその姿は、あなたから多かれ少なかれ影響された結果なのだから。
人の振り見て我が振り直せ、って諺が頭をよぎる。

映画の登場人物を分析する中で、自己の形成みたいなものに辿り着いていったわけだけど、いかに人と人の繋がりが、個人や社会を豊かにしているかを感じる。

人間関係や多様性といった単語で、簡単にまとめられる概念の内側を、如何に何も知らないか、そんな無知の知も突きつけらる。

最後はソクラテスに想いを馳せて、今日はこの辺で。

ごきげんよう。

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