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うちのネコが迷子になりまして #2 クロエちゃん、いなくなる

6月30日。

快晴でそよ風が吹いており、とても気持ちの良いお天気でした。
ご存知の方も多いでしょうが、北海道の初夏は最高です。

この日、私は札幌市中央区にある自宅から、北区の実家にクロエちゃんと連れ立って遊びに来ていました。

実家にはアンディくんという猫がいます。
クロエちゃんを長毛にした感じの模様の、ラガマフィンの男の子。ちなみに、彼も元保護猫です。クロエちゃんは、アンディ君と仲良しで、彼の尻尾で遊ぶのが大好きです。

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(クロエちゃん捜索時、私の実家に泊まり込む夫に寄り添うアンディくん)



最近、クロエちゃんはお外のお散歩を練習中でした。
私の実家は庭が広く芝生があります。なので、その芝生の上を歩いてみよう!と思いたち、胴輪をつけて、ゲージに入れて、外に連れて行きました。

しかし、このことを10分後に、とても後悔することになります。

庭に行ったのは、気温が少し下がって涼しくなった16時30分頃。

クロエちゃんをゲージから出し、抱きかかえました。

そして、そっと芝生に載せると、突然びっくりしたクロエちゃんは、力いっぱいに動き、胴輪を外して走り去ってしまいました。

クロエちゃん




猫の火事場の馬鹿力は凄まじい。
押さえて捕まえることはできませんでした。

実家の庭は、住宅街にあるにしては広大で、鬱蒼としています。

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庭で母が趣味で養蜂もやっており、ハーブがたくさん生い茂っています。

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草木をかき分け必死に追いかけたけど、茂みの影に隠れた時に見失ってしまいました。

ちょうど、この写真のあたりが見失った地点です。

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一瞬のことだったけど、その時のことはスローモーションで鮮明に覚えています。

紐から伝わる胴輪が外れる瞬間のクロエちゃんの力。

走り去ろうと体勢を整えるクロエちゃんを掴もうと伸ばす私の腕。

一緒に外に来ていた母の悲鳴と怒鳴り声。

私の目の前を全力で走り去っていく、クロエちゃんの白くてフワフワの小さなお尻。

見失った時のた空虚な空間と絶望感。


その後、そのままクロエちゃんを探して近所を必死に探し回りました。
あまりのことに信じられず、私の周りだけ空気が薄くなったように感じました。

車の下、家の軒先の下、茂みの中、庭の木の上。

しゃがんで膝をついて探したので、足が擦り切れたけど、痛みなんか感じません。

これが現実なのかと疑いました。
悪い夢なんじゃないかと思いました。
なんて、取り返しのつかないことをしてしまったのだ。

真っ白になりそうになる頭を必死に稼働させて、近所を探し回ります。

30分ほどして、気がついたら、涙が溢れてきそうになったけど、視界が悪くなってしまうからグッと堪えます。

近くに住む弟の奥さん(めいちゃん)が駆けつけてれて「ありささん、絶対に見つけましょう!」と抱きしめてくれました。

仕事中の夫に電話をして、このことを伝えました。
私たちの大切な娘を、私が逃してしまってごめんなさいと、何度も誤りました。
夫は一切怒らずに、「大丈夫、一緒に探そう!絶対に見つけてあげよう。すぐにそっちに行くから待ってて」と言ってくれました。
その日は仕事で帰りが遅くなる予定だったのに、早めに切り上げて私の実家まで来てくれるそうです。

1時間ほど経過した17時30分、遺失物届をするために警察にに電話をかけました。猫は、法律上所有物扱いになるので遺失物届が必要です。

電話していたら、涙が溢れてしまいました。クロエちゃんがいなくなってしまったことが、現実感を持って私のところにやってきたからです。

警察の人は、泣きながら電話する私を子供だと思ったのか、終始「ありさちゃん」とちゃんづけて呼んできました。実際はアラサーでしかも若手の会社経営者で、同年代の中ではそこそこしっかりしてる自負があるから、普段ならチクリと言うけれども、そんなちっぽけなプライドなんかもどうてもよかったので、特に触れませんでした。

クロエちゃんの特徴を伝えて、遺失物届の番号を速やかにもらって捜索のおすみつきを得なくては の一心。

警察官の人はとても親切で、以下のことを教えてもらいました。

・他人の住宅の敷地内には勝手に入ってはいけないこと。
・敷地の外からなら、節度を守りつつ車の下や庭先を除いても良いこと。
・探している時に、不審者扱いされて通報されたら、発行した遺失物届の番号を伝えて、きちんと説明すれば大丈夫なこと。


猫の情報が警察に入ってくることは少ないけれど、目撃情報がもしあがったら、私に必ず伝えるとも約束してくれました。

外が騒がしいので何事かと、家から出てきたおばあちゃん。
クロエちゃんは今は逃げたばかりで訳もわからず興奮しているだろうから、少し落ち着いてから探した方が良いとアドバイスをくれました。

時間がたったらお腹を空かせて出てきてくれるかもよ  とも。

確かに、捕獲のための道具も何もないので、見つけても捕まえられないかもしれない。

自分を落ち着かせて、18時頃に実家の部屋に戻り、持ってきていたパソコンを開いてすぐに迷子猫のチラシ作成に取り掛かかりました。

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チラシは、「迷子猫 ポスター テンプレート」で検索して出てきたこのテンプレートを使わせてもらいました。おかげで、10分もあれば綺麗なチラシを完成させることができました。


テンプレートは、いくつかネットに公開されているけれど、この大阪市のものはデザインがシンプルでわかりやすく、写真のスペースも大きく連絡先も目立つので、すごく良いと思いました。

PDFとエクセルデータしかないのが、ちょっと不便だけど、私はAdobeのイラストレーターというソフトが使えるのでPDFを無理やり加工してクロエちゃんのチラシを作りました。そして、ラクスルに光の速さで印刷を発注。まずは、500枚。

チラシを作っている間、冷静でいようと必死に努力しました。
心臓がバクバクしたし、絶望感に潰されてしまいそう。

パニックに陥って、悲しみにくれてしまう思考停止状態にだけはならないよう、チラシ作りに集中して必死に頭を回転させました。

クロエちゃんは、泣いても戻ってこない。
今はとにかく頭を使おう。


今できることは何なのか、ネクストステップはどう動いたら良いのか、どうしたら最短でクロエちゃんに再開できるのか、ひたすら調べて情報をインプットし続けました。


ちょうどその時、めいちゃんが、ドコノコの迷子探しのURLを教えてくれました。

ここまで詳しくまとめられているサイトは見つけられなかったので、とても助かりました。捜索の基本的な方針のフレームがわかりやすく書かれており、これを読むことで冷静さも取り戻すことができました。


できるだけ全ての情報を頭にインプットするよう集中して読み込みます。

ここに書いてあることを、ぬかりなく徹底して行おう。

19時頃、夫が到着。
ちょっと一休みして、一緒に捜索をスタート。

その日は、途中休憩を挟みつつも翌日早朝に夫と朝6時まで探したけれど、見つけてあげられませんでした。

心の中で、ごめんねクロエちゃんと、何度も謝りました。

夫婦で話し合い、私はクロエちゃんを見つけるまで、ほぼ全ての仕事を休み、夫もできるだけ私の実家に泊まり込んで探すことになりました。

経営者として、「猫を探すために仕事をほぼ全てストップさせても良いのかな??」という迷いは一切ありません。
私にとってクロエちゃんは娘。娘がいなくなってまともに仕事ができるわけがないのです。

私が仕事を頑張るモチベーションの一つは、間違いなくクロエちゃんに紐づいています。この子に、何不自由ない暮らしをさせてあげたい、この子に美味しくて安全なご飯を食べさせたい、だから頑張って働いて稼ぐのです。

仕事をする目的でもあるクロエちゃんがいなくなったのだから、仕事を休むという選択は、私にとって自然なことでした。


1ヶ月間はクロエちゃんを徹底的に探すと決めて、全てのリソースを捜索に当てようと誓いました。

クロエちゃん待っててね、一緒におうち帰ろうね。



note書くときのコーヒー代や、クロエちゃんへのスペシャルおやつ代にさせていただきます٩( 'ω' )و