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クッキー缶くみたてのロジック

クッキー缶を作るときに、プロのお菓子屋がどのように考えてクッキー缶の構成を組みたてているのかを紹介します。

当店のクッキー缶!

ヴィーガン&グルテンフリーの焼き菓子や、私の実家でとれた生蜂蜜の小瓶など、自然からの恵がたっぷりつまったクッキー缶は、わたしのお店の人気商品です。
フランスの伝統的なクッキーをいくつか、乳製品卵小麦白砂糖不使用で再現しており、普段こういったお菓子が食べ慣れてない人にも、おすすめ。

このクッキー缶を作るときに、気をつけたこと、考えたことやロジックを順を追って解説します。

クッキー缶の組み立てかた

当店のクッキーの見取り図


1 まずは缶を決める。

これをしないことには何も始まらない!
缶の形は、まる よりも しかく がおすすめです。
まる だと隙間ができやすく、中にいれるクッキーのサイズや大きさを工夫する必要がありますが、しかく だと、比較的簡単に隙間なくクッキーをしきつめることができます。

缶の仕入れ方法は、「お菓子  缶」などで検索すると色々出てきます。お菓子屋の業界紙でも、たまに缶の特集をしてたりするので、そこから情報を得ることもあります。
いろいろな缶メーカーさんが素敵な缶を発売してくれてるので、選択肢がたくさん。小ロットからでも仕入れられる良い世の中になりました。

ちなみに、お菓子屋しか仕入れられない缶メーカーもあります。

缶を買ったからといって、まだ安心できません。
缶に直接クッキーを入れては、クッキーが割れたり崩れたりしてしまいます。衛生的にも、あまりよくありません。
そこで、必要となってくるのが、缶用資材!

缶の内側にしいてる茶色い厚手の紙が缶用資材


缶の中に入れる、ちょっと柔らかい紙のことです。
これがあるだけで、クッキーを衝撃から守ることができます。

缶用資材は、缶を売ってくれるお店が持っていることが多いので、ちょうど良いサイズがないか聞いてみましょう。

乾燥剤も必要です。
クッキーの的は湿気。その湿気から守ってくれるのが乾燥剤なのです・

乾燥剤には、シリカゲルタイプのものとシートタイプのもの2種類があります。

シリカゲル
シートタイプ

使いやすいのはシートタイプですが、強力なのはシリカゲルです。
なので、わたしの店ではシリカゲルを使っています。
乾燥剤は、商品の重さによって、適正量がかわってきます。それは、メーカーに問い合わせましょう。


乾燥剤は、自宅で自分で作る場合はいらないかもしれませんが、商品にする場合は必須アイテムです。
cottaやcuocaという製菓材料/道具のネットショップでは、割高ではあるけれど、プロじゃなくても簡単にこれら商品を購入することができます。


2  中に入れるクッキーを考える

ただクッキーをつめてるだけでかわいいクッキー缶ができると思いきや、そう うまくはいきません。クッキー缶の中に入れるクッキーを考えるときに大切なこと、それは「計画性」です。
どのクッキーをどこに入れるのか をきちんと考えて、サイズや厚さを調整する必要があります。

缶の内側のサイズを定規ではかり、そこにぴったりクッキーが入るよう、設計します。

クッキー缶の高さによって、重ねるクッキーの枚数がかわってくるので、そこも考えなければなりません。
重ねすぎると、クッキーが割れたり崩れたりする原因にもなりかねないからです。

もちろん、食感や味わい、見た目のバランスも大切です。
見た目が華やかでも味わいや食感が全部同じような感じだと、飽きてしまいます。逆に、味わいや食感に工夫があって、食べててとてもおいしくても、見た目が茶色一色とかだと、缶をあけたときの「ワクワク感」が半減してしまいます。

【ポイント】
・サイズ(縦 横 高さ)
・見た目
・味
・食感
これらの総合バランスをベストに持っていこう!

わたしのやり方ではありますが、画用紙に実物大のクッキー缶のサイズをかき出し、その中にコンパスや定規を使って、実際に入れようと思っているサイズのクッキーを描きだしながら考えるようにしています。

上から見た場合 と 横から見た場合 の両方を描きます。

入れるクッキーの構成がクリアになり、どれくらいの枚数を重ね入れることになるのか、シュミレーションできるのでとても便利です!


3  試作して実際に入れてみる

クッキー缶のおおよその方針が固まったら、実際にクッキーを焼いてつめてみます。
きっと、最初は数mm単位での調整が必要になるはず!
ちょうど良いサイズの型を探したり、なければ特注したりと、地味だけと根気のいる大変な作業です。

実際に入れてみることで、どうしたら美味しそうに見えるのか や、缶をあけたときのワクワク缶をマックスにできるのか も、鮮明になります。

それでも、どうしてもクッキーのおさまりが悪かったり、隙間ができてしまうことがあります。

その解決策として、隙間用クッキー を用意しておくのがおすすめです。
クッキー缶のラインナップに「隙間」につめられる小さなクッキーも初めから計画の中に入れておくことで、隙間ができてしまったときに、そこにザクザクと小さなクッキーを入れてしまえば、おさまりよく、ミチっとつまった見た目になります。


当店のクッキー缶の場合、左上の「いちごの咲きみだれクッキー」がそれにあたります。


小さなクッキーは、作るのは大変ですが、大きなクッキーだけでは表現できない「ぎっしり感」を表すことができるので、頑張って作りましょう!

クッキーを詰めてみたら、一度大きく缶ごと振り回します。
カバンに入れて、一日持ち運んでみたりもします。
割れたり、崩れたりしないかを確認するためです。

ネットショップにもアップしたいので、試しに自分の家に配送してみたりもします。

全てに問題がないかの確認を行います。

4 大量生産の準備

店頭に並べるために、製造準備に入ります。
材料の仕入れを行い、原価計算をして値段を決めます。
この原価の中には、乾燥剤や缶用資材の金額も、もちろん入っています。クッキーを作るためのありとあらゆる経費を入れ込みます。うっかり、忘れ物をしないように気をつけましょう!
20円のミスが5年後に響きます。卸販売するときにも響きます。
私はよく、乾燥剤を原価に入れ忘れるので焦ります。(しれっと値段が変わることがあるのはそのためです。)

賞味期限も決めましょう!

製造は、数種類のクッキーを作らないといけないので、かなり大変です。
なので、うちの場合、1種類ずつ一度に大量に作って、マイナス20度以下で急速冷凍して保管しておきます。
全部のクッキーがそろったら、「クッキー缶作業日」に、一気に解凍して詰め作業を行うようにしています。

ちなみに、店のクッキー缶には、遊び心&アクセントに、「生蜂蜜の小瓶」も一緒に入っています。全体的に甘さが控えめなので、甘みが足りない人は、この蜂蜜をクッキーにつけて食べてね!というメッセージが込められてます。

金色の丸が生蜂蜜の小瓶の蓋


当店のクッキー缶のネットショップはこちら。


色々書きましたが、クッキー缶は作るのは大変ですが、とても楽しくワクワクする作業でもあります。

クッキー缶は、プレゼントにもぴったりだし、自分へのご褒美にも最適。
何よりも食べ終わった後に缶が残るのも魅力です。

お気に入りのクッキー缶が、これを読んだ皆様にも見つかりますように!

note書くときのコーヒー代や、クロエちゃんへのスペシャルおやつ代にさせていただきます٩( 'ω' )و