見出し画像

13歳

彼女はそこにいた。
だだっ広い原っぱに。

行くべき場所へ行かず、そこにいた。

草がキラキラと同じリズムで揺れる。
白い太陽が光とあたたかさを注ぐ。

彼女は目を細め、フードを被った。
ごろんと横になる。

原っぱには彼女しかいなかった。

草や土のにおいが風に舞い、彼女の鼻をかすめる。
まぶしい光が暖かさを纏って、彼女を包む。

目を閉じる彼女の鼓動は、もう穏やかだった。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?