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認証不正の報道を受けて

 トヨタ自動車、ホンダ、マツダの3社が、型式指定申請制度における試験で法律に則った試験を行っていなかったと公表し、記者会見を行いました。3社すべての記者会見を視聴しましたが、記者会見の印象と報道(ニュース番組や新聞)で受ける印象には違いがあると感じました。

 特に豊田会長の記者会見では、「認証制度より厳しい自社試験を実施しているにもかかわらず、認証制度上の試験も実施しなければならないが、実施しなかった」「法律の文章は曖昧な表現が多く、解釈が難しい」「複雑怪奇で矛盾に満ちたこの制度全体を理解している人はいない」といった内容を「声を大にして」言いたいというのが滲み出ていました。

「大は小を兼ねるから良いだろう」との判断もあったかと思いますが、業界のルールよりも自社の方が正しいと考えたとしたら、おごりとしか言いようがありません。

ルールを守らなかったことは事実であり、法律上許されない行為です。このような不正報道が続くことは、自動車業界で働く者として大変残念に思うと同時に、法律を守ることの必要性、重要性を改めて強く感じました。


 報道(ニュース等)で受けた印象はまた若干異なり、そうした事情にはほとんど触れられず、「自動車業界でまた不正」「自動車業界で続く不正」といったセンセーショナルな形で報道されていると感じます。やはり一般に広まるのは「結果」が大半であり、その事情や内容は考慮されることがないということです。

「悪法も法なり」とはソクラテスが死刑を受け入れた際に発した言葉とされており(諸説あり)、どのような納得できない法律であっても守らなければならないという解釈で使われることが多い言葉です。

法律もすべてが完璧ではないため、個人的に納得できないことや無駄だと感じることもあるかと思います。しかし、我々には自動車が故障なく、事故なく運行され、国民の生命財産を守るために定められた法律があるからこそ仕事があり、その法律を厳格に遵守することが求められています。

勝手な解釈で簡易に済ませたり、実施しなかったりすることは許されません。改めて遵法精神を高めるきっかけにしたいと思います。

 しかし、会社内の不合理なことやおかしなことは別です。「誰かが決めたから」「昔からこうやっているから」と盲目的に仕事をするのではなく、どうすれば効率が上がるのか、どうすればもっとルールを守りやすくなるのか、といった改善に取り組むことは大切です。

これを機に、自分たちの仕事への向き合い方を改めて見直したいと感じました。


このような出来事は、他人事として単純に捉えるのではなく、自分事に置き換えて学習の機会にしていければと考えています。


以上

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