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UDフォントの件

『きみの存在を意識する』を、UDフォントを使って出版させていただきました。ことし出る予定の2冊の本も、UDフォントを使っていただくことになりました。一社はわたしからおねがいして、もう一社は先方からUDフォントにしましょうと言っていただきました。
長く出版に関わっていらっしゃるかたには従来のフォントに愛着と信頼があり、「UDフォント、はあ?」と思うかたがいらっしゃるよう。そりゃ自分の読みになんともなければ、読みにくい人がいることなんて考えたこともないでしょうし、自分には良いと感じていたものが、だれかのせいで違うものに変わってしまうのは、まあ、いやだーと感じるものわかります。ただ、あなたは慣れればどんなフォントでも苦労せずに読める人なんですから、そうでないひとにも読みやすいものがあるなら、へーそうかと、ちょっと試してみてくださいよ。だから新しいものに対して、とりあえず馬鹿にするという態度をとるのはやめてほしい。
で、それを言うために書いたんじゃなくて。
UDフォントが広まったばかりなので、誤解されることもあるように思っていて、そのことを書いておこうと思っています。
UDフォントが必ずしも、100%だれにでも読みやすいわけではないこと。それから、UDフォントにもたくさんの種類があると言うこと。
今回、いくつかのUDフォントで、ゲラの文の一部を出していただいて、UDフォントであっても読みにくいのと、読みやすいのがあるのがはっきりわかりました。読みにくい、読みやすいは、個人差もあるみたいで、夫に見てもらったら、わたしが読みやすいと感じるフォントと、夫の見やすさが違っていました。共通するものもありました。読みにくさで共通するのもありました。ただ、読みにくくてもそれはUDフォントとして作られていたフォントであるってこと。
文字の形だけでなく、文字の大きさや、行間や字間の違いでもかなり見え方がちがうので、読みやすいフォントであっても並べ方で読みにくくなる場合もあるでしょう。
あと、各社のデザインで点の位置や曲がり具合、角度が違って、くせ字みたいなUDフォントもあるので、縦横の線の幅は同じ云々にしても読みにくいのがあります。
だいたいは読みやすいのになんでこの字だけこれなの? と思うのや、デザインのくせで酔いそうなUDフォントがあったよ。

なので、UDフォントだったらなんでも読みやすい、と誤解、過信しないでください。一人一人違うし、好みもあるし、これからだんだん広まっていく中で、多くの人に読みやすいUDフォントが残っていくんだろうと思います。まだ途中です。

たとえば、ユニバーサルデザインのイスがあったとして、そのイスが自分にとって一番心地よくて好みのデザインのイスであるか、というとそうではないこともあると思う。ただ、大勢の人が共用で使うイスだったら、自分の心地よさや好みより、だれにでも使いやすいイスのほうがいいよ、という感じ。と、わたしは認識しています。

読みにくいUDフォントに遭遇した人が、UDフォントは読みにくいと思ってしまったらいやだなあ。そのためにも、大きなくくりの「UDフォント」という言葉だけでなく、××のUD明朝フォント、○○のUD丸ゴフォントとかって、呼べる人が増えてきたらいいなあ。
UDフォントがいいとかだめとかではなくて、UDフォントにもいろいろあるよ、人によっても感じ方が違うよって、知っているひとが増えて欲しいと思います。

ちくちくつんつんする文字で読むのは苦痛です。泣きながら読みたくない。見えているのに読めない本を作らないで欲しいと思う。


支えられたい……。m(_ _)m