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盲ろう者の田畑さんとなにかの本を作ろうと思っている件 その9

これまでのお話はこちらで。

なかなか話が進まなくて申し訳ない。

一般財団法人全日本ろうあ連盟製作の映画『咲む』(えむ)の12月の横浜市聴覚障害者協会主催の上映会に行ってきたのです。映画の予告編の動画がないので、メイキング映像の動画を。公式サイトに「あらすじ」があります。

主人公は、瑞月(みづき)という、努力家で元気な、ろうの女性。看護師試験に合格しましたが、就職活動で大苦戦。やっと限界集落の診療所の仕事を見つけましたが、そこでも採用見送りに……。どうなっちゃうの!?
という、この先どうなってしまうのかなって、ぐいぐい引き込まれていく、面白い映画です。場面場面でバリアや困難さ家族の葛藤も描かれていますが、見るうちにエンパワーメントされていくハートウォーミング系のストーリーで、だれでも楽しめます。(感動ポルノではないよ!)
ぜひみなさんに見て欲しい。でも一般の映画館では上映していないようです。映画『咲む』のサイトで情報を取得してください。しっかりコロナ対策をして、学校などでも映画上映会ができたらいいですね。とくに、高校生に見てもらいたい。

さて、その8に書きましたが、盲ろう者の田畑さんは、どうやって映画鑑賞をするのか。の話。

会場に入ると、田畑さんの席が一番前の端のほう決まっていました。なぜかというと、映画の内容を同時手話通訳をする人と向かい合って座る必要があるためで、たぶん、その位置が他のお客さんの邪魔になりにくい席だから……と思います。
盲ろう者である田畑さんは、映画のスクリーンを見るのでなく、背中を向けるように、つまり後ろ向きに座ります。田端さんと向かい合って二人の手話通訳さんの席があり、スクリーンが見えながら10分交代で、映画に合わせて触手話で逐次通訳するのでした。
すげ~。事前にシナリオなどの資料を見ている感じでしたが、それでも神業ですよ。セリフだけでなく、場面や人物の描写も伝えなくてはならないし。
手話通訳さん、すごい。(たとえ途中で依頼者が寝てしまっていても、手話通訳さんは映画の内容を手話をし続けます。)
目も耳も使わず触手話だけで、映画鑑賞するというのも、すごい。約2時間連続してひたすら読み取る方も、かなり疲れるのでは……。
日本手話の文法で、どのように頭のなかに映画が再現されているのだろう。どんなふうに映画が「見える」のだろうか……。その映画は、田畑さんにしか見ることのできない映画ということ。(これ、読書に似てるかな)

映画がおわったとき、拍手が起きるだろうと思ったのですが、静かなまま。わたしは田畑さんのそばの前のほうの席で観ていたので、なんでかなと後ろを振り返ったら、みなさん「手話の拍手」をしていたせいでした。お星様キラキラみたいなの、「拍手」なのね、とわかりました。
上映後、映画『咲む』(えむ)の監督の早瀬憲太郎さんの舞台あいさつがありました。早瀨さんは手話で話します。早瀬憲太郎さんの手話は体いっぱいの表現で、とても明るくて、手話がわからないわたしでも面白かったです。超有名な方だったのですよね。(予習に、早瀬さん監修の手話教室というマンガを読んでいきました。マンガの中の早瀬さんの絵は、本人にそっくりだった。)

上映会終了後、短い時間でしたが、早瀬憲太郎さんにあいさつをさせていただきました。まごまごしつつ、指文字でなしやありえとお伝えしました。早瀬さんと田畑さんはお知り合いだそう。早瀬さんの塾にも行かれているそう。

はい。以上が、田畑さんとの二回目の打ち合わせ(?)でした。

この一週間後、またお会いする予定でした。その話は、次回。


支えられたい……。m(_ _)m