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本棚:『ただいま、お酒は出せません!』

新宿駅直結の商業ビルのレストランフロアにある、ピザをメインとするカジュアルイタリアン「マルコ」に勤務する六花。2020年4月、緊急事態宣言が発令され、店は明日から休業へ。ここから長い戦いが始まって…。

もうあれから3年経つんだなと思いました。初めてのテレワーク。はじめのうちは、まだ事の深刻さが分かっていませんでしたが、一人暮らしでのステイホームは徐々に辛くなってきました。それまでアパートの他の部屋の物音なんて気にならなかったのに、足音が気になるようになったり、ちょっとしたことでストレスを感じて、嫌でした。
そうはいっても、職場や仕事、住まいが変わったわけではなく、以前読んだ『神様の罠』にあった辻村深月さんの「2020年のロマンス詐欺」のように、大学生となって初めての一人暮らしで、まだ周りに友人もおらず…という状況に比べれば、ずいぶんマシだったのではないかと思います。
本書の主人公の六花は、結婚を機に一度退職。しかし、すぐにパートという形で再び働きだしたが、2年後に離婚。コロナ禍で独り身の心細さと、飲食店の厳しさを味わいます。不要不急の外出を控えるように言われてきましたが、「不要不急」って何だったんだろうと改めて思います。不急は分かるのですが、不要っていうのが特にひっかかります。
またあの思いを味わうのは嫌ですが、コロナによって考え方が変わったのも事実。特に大事なものが何なのか、考える機会を得たのは、よかったと思っています。


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