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わたしの本棚

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わたしの読書記録です。
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#短編集

本棚:『Yuming Tribute Stories』

ユーミンのデビュー50周年を記念して、ユーミンを愛する6人の作家が、選んだ曲をタイトルに物語を紡いだ短編集です。登場するタイトルは「あの日にかえりたい」「DESTINY」「夕涼み」「青春のリグレット」「冬の終り」「春よ、来い」。 母が同世代の女性のご多分に漏れずユーミンが好きなので、子どもの頃からよく聴いてましたが、「夕涼み」「青春のリグレット」「冬の終り」は知らなくて、YouTubeで聴いて、こういう曲も作ってたんだなぁと思いました。その後、「ひこうき雲」「やさしさに包ま

本棚:『ジャイロスコープ』

伊坂幸太郎さんの短編集。7つの作品のうち、「一人では無理がある」はアンソロジーで既読でしたが、初読みだったら、巻末のインタビューにある通り、どんな会社?と思ったかもしれません。「if」と「彗星さんたち」が好きだなと思いました。そして、最後のお話は書き下ろしとのことで、読者サービスのような感じ。 「二月下旬から三月上旬」という話では、何が真実?と思いながら読みつつも、最後はそういうことか…と。そして「どの時代のどの日も、「戦前」で、「増税前」だ」という一文にドキリ。増税も嫌では

本棚:『ハートフル・ラブ』

乾くるみさんの代表作と言ったら『イニシエーション・ラブ』でしょうか。「イニシエーション」の意味を知らなかったのですが、今回の「ハートフル」は分かるよ!と思っていたら、表紙に"THE HURTFUL LOVES"と。そっちの意味でしたか…。というか、心温まるといった意味でのハートフルは和製英語で、英語では heartwarming が一般的だそう。 本作は短編集でして、『夫の余命』と『なんて素敵な握手会』は既読だったので、答えを知った上での再読。注意して読みました。 消費税に関

本棚:『シャルロットの憂鬱』

イラストに惹かれて手に取りました。 二度目の不妊治療に失敗して泣きはらすわたしに、夫の浩輔が提案したのは、犬を飼うこと。愛犬家の叔父の紹介で出会ったのは元警察犬のジャーマンシェパードの雌犬、シャルロット。元警察犬だけあって、躾の心配もなく、おおむねいい子で、ときどき悪い子。短編集でして、犬と一緒に暮らすっていいんだろうなぁ~と思いながら読みました。 犬派か猫派かと聞かれれば、わたしは猫派です。理由は、わたしが子どもの頃にはまだ野良犬がいて、学校からの帰り道で遭遇したとき怖かっ

本棚:『風に舞いあがるビニールシート』

6つのお話が収められた短編集。直木賞受賞作なので、読んだことがある方も多いかもしれません。わたしが好きだなと思ったのは、『守護神』と『ジェネレーションX』。 『守護神』では大学の二部、すなわち夜間部に通うフリーターの裕介が主人公。単位を落としそうな裕介は、代筆の達人であるというニシナミユキに頼み込むのですが…。代筆を頼むということは、勉強は好きじゃないのかな?なんて思っていたのですが、徐々に感じる違和感。なぜ裕介は、代筆を頼みたいのか…。 『ジェネレーションX』では、出版社に