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小児科医に聞いた「障害児のトイトレどう進めよう?」

先日、息子の通う療育で、小児科のお医者さんによる検診がありました。

そこで、「発達のことなど普段困っていることはありますか?」と聞いてもらえたので、息子はもはや発達の困りごとデパートですが、その中でも厳選した選りすぐりの困りごとである、トイレトレーニングについて聞いてみました。

そこで返ってきたお話が、けっこう有意義で記憶に刻んでおきたい情報だったので、私の備忘録としてここに書いておくことにします。

私にとって「おぉぅ!」と思ったお話は、私と同じ境遇で同じように悩んでいるママにも「おぉぅ!」をお届けできるかもしれないと思ったので、よかったら私の公開備忘録、お付き合いください。


おしっこをためられないのではなく「ためようとしていない」

息子は未だに完全おむつなのですが、なぜおむつを外せないかの理由のひとつに、「おしっこをためられない」があります。

あまりに頻尿でちょっとずつだすので、ずっとトイレに座り続けでもしないとトイレトレーニングは完了しないんじゃないか?と思っていました。

というよりも、さすがに5歳なのにこんなに尿間隔があかないってどっか悪いんじゃないの・・・と心配にもなっていました。

なのでズバリその悩みをぶつけてみたのです。

すると、お医者様曰く、息子はおそらくおしっこをためられないのではなく、「ためようとしていない」のだろうということでした。

体のどこかが悪いわけじゃなくて、こういう子は普通にいるそうです。

息子の中で、そもそも「おしっこをためてからしよう」という意識が働いていないため、いつでもどこでも垂れ流し状態になっているというわけです。


理解させようとするのがそもそも間違っている

では、どうやったらおしっこを「ためようとしてくれる」のでしょうか?
息子に「おしっこをためる」ということを理解させるにはどうしたらいいのでしょうか?

この疑問は当然に湧き上がってきます。
ただ、これについてはばっさり、「理解させようとするのがそもそも間違っている」というお言葉を頂きました。

プロフィールを読んでいただいた方はご存じと思いますが、息子は中等度の知的障害を伴う自閉症です。
言葉は一切しゃべりません。

これが、定型発達のお子さんや、知的の遅れの無いお子さんだったら話は全然違うでしょう。
でも、息子のような子に対して「理解させる」というのは並大抵のことではありません。
だって説明できないんだから。

それは私も百も承知だったはずなのですが、なぜかそんなことが都合よくポーンと飛んでしまっていて、息子に「おしっこは膀胱にためてから出すんだよ」という難易度高めな説明を理解してもらおうと思っていたのでした。

無理ですよね。

お医者様からも、「こんなこと理解させようなんて、疲れるだけだからやめたほうがいい」と言われました。

ではどうするか?
もう本人の膀胱が少しずつ大きくなって、機能的にためられるようになるのを待つしかないそうです。

ためられるような大きさになったら、たまるようになるし、それでだんだんとおむつではなくトイレでするようになると言われました。


1時間ごとトイレにつれていくのはただの「おむつを濡らさないための手段」

さて、ここでまた新たな疑問が発生します。

「どうやったら膀胱は大きくなるの?」

これについては、ある程度我慢させることで、だんだんと膀胱がきたえられてためられる大きさになってくるそうです。

ためることが理解できないのに我慢させる?・・若干矛盾しているようにも思いますが、膀胱をびよーんと伸ばして広げることもできないので、結局それしかないのだと思います。

我慢させるといっても完全に我慢させるのは無理ですし、我慢しろと言って我慢できる子でもないので、おむつが濡れることは防ぎようがありません。

でも、たとえおむつでしてしまうとしても、トイレに行く間隔を頻回にしすぎないことで、ちょっとずつ膀胱を鍛えていくことができるようです。

息子の場合、パンツにしたら1時間ごとにトイレにつれていってもすぐに濡らしてしまうくらいの頻尿です。
ですから、トイレトレーニングをするなら1時間に1回のペースではトイレにつれていかないと、と思っていました。

しかしこれは、はっきり「やめたほうがいい」と言われました。

1時間に一回トイレに連れて行くのはただの、「おむつ(パンツ)を濡らさないための手段にすぎない」と。

1時間に一回もトイレにいっていたら膀胱が育たない、それでは結局ためることができず、ずっと頻尿のまま。
トイレは2時間おきくらいにしたほうが、長い目で見たら早い、とのことでした。

ちなみに、2時間おきではパンツなら絶対に100%漏らすので、おむつのままでもいいと言ってもらえました。
というよりは、パンツでもおむつでもどっちでもいい、おむつでしてしまってもいい、ただ頻度を2時間くらいはあけるようにしたほうがいい、そういうアドバイスでした。

トイレトレーニングは、とにかくパンツにしちゃったほうが早い!という意見が定説のようにあり、パンツにしないのは親の覚悟ができていないから・・という、母親的には突かれると痛い部分がありました。

でもこのお話を聞いて、「そっか!いいんだパンツにしなくて!!」と、「小児科のお医者様のアドバイス」という安定感抜群の後押しにより、私の心はとても軽くなったのでした。


何かに気をそらさせることで尿間隔をあける

でもでも、おむつにしたりトイレでしたりじゃ、本人的には「おしっこってわざわざトイレでする意味あるの?」ってなっちゃわない?

そんな疑問もぶつけてみました。

先生曰く、普段おむつをしているとき、何かおしっこ以外に気をそらせるものや、熱中できるものがあると、そっちに意識がいっておしっこをしなくなる。
それで、トイレに座った時に出る、という風に持っていけたらいいのでは、ということでした。

確かに、そうできたら理想的です。

ただ、息子の場合、熱中できるものが何もないのです。

しかもあきっぽい。
いろんなことに注意がいってしまうので、何かおしっこ以外に注意をそらし続けるなんて、到底できるとは思えませんでした。

これについては先生も、「確かにこういう特性の子には難しい、だから興味をひくものをいくつも用意して色々な方向に気をそらすとか・・」とも提案してくれました。
「でもやはり、それだとお母さんが相当大変になってしまうので・・・無理なく、急がなくていいんじゃないですか?」というお言葉でした。

そうなんですよね、つまり結局、無理せず、時間はかかるの覚悟でゆっくりやっていくしかないってことです。


本人からの意思表示を待つのではなく、こちらで見つけ出す

最後にもうひとつ、トイレトレーニングに限らず大事な心構えのお話がありました。

それは、こういう障害のある子に対しては、なんでも本人からの意思表示や言葉(そもそも出ていない)を待つのではなく、親のほうがその子をよーく見ながらサインを見つけないといけない、という事です。

はい、わかってはいます。

わかってはいるのですが、「やっぱりどうにか本人のほうからなんか示してくれないかなぁ?あわよくば・・・何か言ってくれないかなぁ?」なんてどこかで思ってしまうのした。

でも、そんなの待ち続けたってどうにもならない、だって息子は自分の世界の中で生きているんだから。
周りが彼の世界を観察して見つけてあげるしかないようです。

これもわかってはいたことですが、改めてはっきりそう言われるとしんどいですね。

でも、実際本当にそうだと思うので、息子のことをじっくり観察してサインを見つけられるよう、がんばるか・・となまぬるいやる気を出したのでした。


長期戦のトイレトレーニング

息子は小学校の進路も特別支援学校を考えているので、別にすごく急いでいつまでにおむつを外さないといけない!ということもありません。

もし、なにか進学や入園などの都合で「急いでおむつを外したい」という人には、ここまでのお話は「悠長すぎて参考ならんわ!」って思われたことと思います。

でも、こんな形でやっていくトイレトレーニングもある、ということが、どこかのだれかの、出口のないトイトレ脱出の糸口になれば嬉しいなと思いました。

特に、知的障害のある子のトイレトレーニングって、普通の一般的な育児書やコラムで書いてあることまったく参考にならないじゃないですか。


息子のトイレトレーニングは、時間がかかること確実だと思います。

長期戦を見据えて、親子ともどもバテないように、ほどほどにやっていこうと思います。


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