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【醸造記録】2nd Batch “MIPA”(Mellow IPA)

新しい仕事が決まったお祝いに、2バッチ目となるブルーイングの材料を購入することにする(いや、別に仕事決まってようがいまいが買ってたと思うけど……)。

2回目のブルーイングは、キットビールから一歩だけステップアップして「エクストラクト・ブルーイング」にチャレンジ。

初歩中の初歩、キットビールでのブルーイングがモルト缶に水を混ぜてイーストを投入するだけなのに対し、エクストラクト・ブルーイングは、ボディや風味を特徴付けるためのスペシャリティ・モルトだけ本物の麦芽を使って麦汁を作り、ホップと一緒にウォートを煮込む、という工程が追加される。

「Dave's」で材料調達。初ブルーイングの失敗談でツカミはOK

まずは僕にとってのホーム・ホームブルーイングショップ「Dave's Home Brewing」を訪れる。

「ハイ、デイヴ」

「グダイ、マイト!」

相変わらず、オージー節全開のデイヴ。

「1回目のブルーイングのとき、色々アドバイスありがとう。おかげで美味しいビールができたよ」

「ノーウォーリーズ!よかったな!」

「サニタイザーを希釈しないで使ってたけどね」

「マジかよ!そりゃバクテリアは一匹も生き残れないなー!はっはっは」

前回の失敗でデイヴの心を鷲掴みしたところで、今回の相談だ。

「2回目のブルーイングはエクストラクト・ブルーイングにチャレンジしたいんだけど。キットがあるんでしょう?」

「あるよ!ポットは持ってないんだよな?」

「うん、持ってない」

「ビールは何を作ろうと思ってる?」

「IPA」

「オーライ」

と、いうことで20Lの煮込み用鍋と、グレインバッグ(麦芽を入れてティーバッグのように使用するナイロン製の袋)、温度計、そしてデイヴの店オリジナルレシピの材料を一式購入した。

「ところで、お前のファーメンターを保温するベルトはあるのか?」

「ああ、今は冬だからか……いや、持ってないんだよね」

「どうやって温度をキープする?」

「前回は毛布でくるんだよ」

それを聞いたデイヴは、後ろの棚から紫色のパッケージを取り出した。

「わかった、そしたら低い温度でも発酵するイーストを入れておく。コイツは12度〜15度で発酵するから」

それはありがたい!我が子を看病するかのごとくファーメンターに毛布をかけてあげたり、ダウンジャケット着せてあげたりする必要がないからな!手がかからない強い子の方がビギナーにとっては安心だ。

お湯を準備

さて、夜中のうちにファーメンター、その他エキップメントを洗剤で洗っておき、翌朝6時からブルーイング開始。

まずは3リットルの水を70度未満まで温める。このお湯に麦芽を浸け込み、酵母の食料になるよう糖化を促すわけだが、温度が高すぎると糖化が止まってしまうため、トロ火で一定の温度をキープする。

理想は68度前後といったところ。火を止めたら止めたでどんどん下がってしまうので、意外と気を遣う。

スペシャリティ・モルトをお湯に浸す

理想の温度に達したお湯にグレインバッグに詰めた麦芽を浸す。麦芽の香ばしい匂いがあたりに漂い、お湯は一気にカラメル色に染まっていく。そういえばこのスペシャリティモルトが一体なんなのか聞くのを忘れたし、インストラクションにも載ってなかったな。まあいいか。

20分ほど漬け込んだら、グレインバッグを持ち上げ、別の鍋で同じく70度程度に温めておいたお湯をオタマですくってグレインバッグの上からかける。これを「スパージング」といい、麦芽に残った糖分を無駄なく搾り取るための工程である。「もったいないもったいない」という気持ちを込めて、3リットルばかりのお湯でバッグをすすぐ。

役目が終わった麦芽は庭の花壇にバラまいておく。多分いい肥料になるだろう(知らんけど)。

ボイリング(ホップ投入)

続いて、おなじみのモルト缶(2缶)とドライモルトエクストラクト(粉状のエクストラクト)にビタリングホップが混ざったものを鍋にブチ込み、ボイリング開始。

ホップは煮込んだ時間が長ければ長いほど苦味を出す。全行程で60分煮込み続けるのだが、ビタリングホップは最初から最後まで煮込むことになる。

そして、45分ほど煮込んだところでさらにホップを投入。これはフレーバーをつけるためのホップ。

そして煮込み時間が残り1分になったところで、さらにアロマホップを投入する。使用したホップは全て「East Kent Goldings」というイギリスのホップだ。つまり、いま造っているのはイングリッシュIPAということになる。

ウォートを冷やす

煮込みが終わったら、極力ソッコーで温度を下げる必要があるため、バケツに氷を浸けて、そこに鍋をブチみ15分ほど待つ。

その間に、ファーメンターをスターサン(サニタイザー)で洗浄しておく。スターサンはブルーイングでは最もポピュラーなサニタイザーで、希釈して使うのだが、それでも結構泡立つ。しかしながらその泡は洗い流す必要がない。なぜなら多少の泡は酵母の栄養分になるから、というのが定説なのだが……

すんごい泡。

定説を知らなければ「本当にいいのか……?」と思う量だが、どのホームブルーイングのチュートリアルを見ても「泡を恐れるな!」と言っているので、気にせずウォートを詰めることにする。

ファーメンターにウォートを移す

大抵のホームブルワーは、サイフォンを使って鍋からファーメンターへウォートを移すが、僕はそんな高級なモノを持っていないので、鍋を傾けてそのままタンクにブチこむ。ホップバッグも使っていないので、ホップのカスもそのままブチこむ。今回はとにかくなんでもブチこむスタイルのブルーイングとなった。

一応、リサーチした限りではホップバッグを使わない「Dumpメソッド」でも問題ない、という意見を結構見かけたので、多分大丈夫だろう。

ファーメンターに移したウォートに水を加えて合計19リットルにする(水を出す前に蛇口もしっかりサニタイズする)。

OG(初期比重)を計る

酵母を投入する前に初期比重を確認すると……

1.076……!?∑(゚Д゚)

……ワインかよ、というぐらい高いけど、大丈夫かな……アルコールのポテンシャル10%だぞ……ホップのカスごとブチ込んだからかな……まあいいか。

酵母を投入する

デイヴが僕に託してくれた酵母は「サフラガー W34/70」。これが低温での発酵を促してくれる酵母か!

名前からしてラガー酵母っぽいけど、調べてみるとホームブルーマスターたちはこの酵母でIPAを含む様々なタイプのビールを醸しているようなので一安心。さすがデイヴ、初心者にとって頼りになる男である。

前回はエアレーション(発酵に必要な空気をウォートに含ませる)が不十分だった気がするので、今回は酵母を投入したあと、ファーメンターを抱えて揺すりまくっておいた。

これで仕込みはとりあえず完了だ。

ステップアップしたとはいえ、まだまだ楽チン、後片付けまで含めて2時間もあれば仕込むことができる。

片付けたあとは初期比重を計った麦汁で一息つく。この、苦甘い液体がまた格別なのである。

発酵開始!

仕込んでから数時間、すでに発酵が活発になってきた。よしよし。このまま順調にいけば3日後の火曜日にドライホッピングである。

今回のIPAは、インストラクションよりもフレーバーホップとアロマホップの投入を少しずつ遅らせ、やや苦味を抑えたメロウな仕上がりを狙っている(ホントはビタリングホップの煮込み時間を抑えたいところだが、そこはキットなので致し方なし)。なので、「Mellow IPA」、略してMIPA(ミパ)と名付けたい。ちなみにこれは、我が家の三女のニックネームそのものである。

まあ、三女のニックネームありきで考えたことなのは言うまでもない……



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