Arimasa Udono

銀座の隅っこでソーシャルゲームのディレクター/プロデューサー→青山にお引越し→銀座の隅…

Arimasa Udono

銀座の隅っこでソーシャルゲームのディレクター/プロデューサー→青山にお引越し→銀座の隅っこにあるマーケティングのお手伝いをしている会社で新規事業の立ち上げやってます。 Affiliation: Tribal Media House, Inc

最近の記事

行動経済学で考えた、変わりゆく社会規範と市場規範の国境線

トライバルメディアハウスの社内勉強会、TPAの終わりが近付いてきている。1年間、課題図書に追われながらやってきたけど、正直終わってしまうことに寂しさがある。隔週の勉強会は本当に楽しかった。noteを書かなければならないというのは正直負荷だったけど、それによって身に付いたものは間違いなくあると思う。 さて、今回のお題は「行動経済学」。 読んだのはこちら。 予想どおりに不合理実はこの本は出版されてまもなくに読んだことがあったのだが、今回10年以上ぶりに読み直してみると、やは

    • 社会学的なものの見方、あるいは子どもの名前のつけ方について

      「未来にバックする」(バック・トゥ・ザ・フューチャー)それを知ると、思わず人に伝えたくなる情報というものがある。 どういう情報を「思わず伝えたくなる」かは人それぞれだと思うのだけど、私の場合は「見方が変わる」情報というのがそれに当たる。 例えば「世界の辺境とハードボイルド室町時代」という、タイトルだけでは内容がさっぱりわからないが、読んでみると大変面白いという類の本に出会った時、「未来にバックする」という概念を知った。 日本語の「サキ」と「アト」には、時間概念における過

      • サービス・ドミナント・ロジックから見えてくる「なめらかな社会」

        今回のトライバルメディアハウスの社内勉強会、TPAの課題は「サービス・ドミナント・ロジック」である。 短い論文を2本読んでみたのだが、正直な話、難解と言わざるをえない。 なので今回のnoteは、「サービス・ドミナント・ロジック」(以下S-Dロジック)という概念についてのかなり独断と偏見を伴った私の「解釈」、である。 前提となる論文は以下の2本だ。 製造業のサービス化(藤川佳則) 文脈視点による価値共創経営(藤川佳則、阿久津聡、小野譲司) G-DロジックとS-Dロジ

        • マーケティングの歴史における必然としてのサブスクリプションビジネス

          予言書を見た。 25年前に2020年のマーケティングと社会の未来を予言した本があった私の所属するトライバルメディアハウスの社内勉強会「TPA」で、年末年始の課題図書に指定されたうちの1冊「ONE to ONEマーケティング」のことだ。 Amazonのレビューでは「歴史を押さえるにはいいけど今の状況で使えるかは別問題」的なことを書かれていて、読み始める際の期待値はたいしてなかったのだが、1995年に出版されたこの本において25年後の今にいたるマーケティングの変化は見事に見通

        行動経済学で考えた、変わりゆく社会規範と市場規範の国境線

        • 社会学的なものの見方、あるいは子どもの名前のつけ方について

        • サービス・ドミナント・ロジックから見えてくる「なめらかな社会」

        • マーケティングの歴史における必然としてのサブスクリプションビジネス

          神の手から逃れるための、早馬としてのブランド戦略

          「経済学が神の見えざる手の振る舞いを解き明かそうとする神の学問であるならば、マーケティングは神の手から逃げおおせようとし続ける人の営みである」 というようなことを、数年前から考えている。 経済学的には、利潤は最終的にゼロになる私が大学で専攻していた「経済学」は、限りある資源を最適に配分するために、「需要」と「供給」そして「インセンティブ」について研究をする学問であった。(本当にそうなのかはさておき、私はそういう理解をしていた) この経済学部の基本原理に従うなら、全ての商

          神の手から逃れるための、早馬としてのブランド戦略

          ショッピングは会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ! 的な。

          いやー面白かった。 マーチャンダイジングについての勉強ということで、以下の2冊を読んだのだけど、マーチャンダイジングという分野を通すと、日常の(特に店舗での)買い物に新たな視点が得られるとともに、なによりショッピングという行動から「人間」についてもっともっと考えてみたくなる。 今回読んだのは以下の2冊。 一冊目の「インストア・マーチャンダイジング」(以下ISM)は文字通りこの分野についての教科書的な一冊で、「なぜこの店で買ってしまうのか」は実際にショッパー(店で買い物を

          ショッピングは会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ! 的な。

          みんなで幸せになろうよ~チャネル・スチュワードシップと流通戦略~

          振り返ってみると、形あるものを売ることのない人生だった。 大学を卒業してから携わったのはレンタルサーバーの営業であり、イベントの運営だった。 その後インターネット大好きだったのでネット業界に移り、コミュニティとかゲームとかに関わってきた。 インターネット大好きな私は、流通という分野に興味がないというか、はっきり言って嫌いだった。 インターネットの普及で卸問屋は絶滅する! 中間流通業者はネット時代には無用の長物!! 全ての分野で生産者と生活者が直接つながる時代がやってく

          みんなで幸せになろうよ~チャネル・スチュワードシップと流通戦略~

          かくして21世紀のマーケティングはPRになった

          「外見は内面の一番外側」 という言葉が途中から頭に浮かんできた。 前回の広告に引き続いて、今回はパブリックリレーションズについて4冊の本を読んだ。 四者四様でありながらいずれも面白く、楽しい読書体験だった。 一方で、これらの本を読んで今の時代の面白さとともに、薄々わかっていたはずの難しさも明確に受け止めざるを得ず、私はこれからビジネスマン/マーケターとして、あるいは生活者として、そもそも一人の人間としてどうやって生きていくべきかという問いを突きつけられたようでもある。

          かくして21世紀のマーケティングはPRになった

          昨日と今日と明日の広告

          トライバルメディアハウスの社内勉強会「TPA」にてコミュニケーション戦略を学ぶということで、主に広告の本を読んでいる。 私の所属しているトライバルメディアハウスは、様々な(主にBtoCの)企業にマーケティング支援を行っているマーケティングカンパニーだ。 その支援の中には当然「広告」も含まれる、というかトライバルメディアハウスの売上の大きな部分が、クライアント企業から見ると「広告費」という枠から支出されている。 そんなわけで会社的には大事な「広告」なのだが、私は入社してか

          昨日と今日と明日の広告

          プライシングというマーケティングの結晶について

          今月もトライバルメディアハウスの社内勉強会「TPA」の時間がやってきた。今回は製品戦略と価格戦略について学ぶ回だ。 というわけで、特に価格について思ったことを書き留めておきたい。 価格戦略についてまず読んだのは以下の1冊だ。 価格の数だけ意図があるまずは以下のリストをご覧頂きたい。ちょっと長いのだけど…… 1. 定額価格 2. 顧客に合わせた相場 3. 月額の会費制や定期購入制 4. 成果の一定割合 5. 資産価値や取引額などの一定割合 6. 一式のパッケージ料金 7.

          プライシングというマーケティングの結晶について

          昔、ゲームユーザーのインサイトを求めてさまよった話

          トライバルメディアハウスの社内勉強会TPA(Tribal Professional Academy)で、消費者行動論とマーケティングリサーチの本を読んでいる。 消費者行動についての研究成果の概要を把握し、そこから実際に消費者行動を理解するための各種リサーチを学ぶということをやっているのだが、その中にたびたび出てくるのが「インサイト」だ。 インサイトとは、ひと言でいえば消費者の「ホンネ」。それは、消費者に購買行動を起こさせる「心のホット・ボタン」だ。ここを押されると消費者は

          昔、ゲームユーザーのインサイトを求めてさまよった話

          マーケティングは、誰かの願いを叶えるもの

          マーケティングというのはつくづくややこしい…… と、マーケティングの基礎をあらためて学ぶにあたり、以下3冊を読んで思ってしまった。 なぜ、マーケティングはややこしいのか?マーケティングの4P(Product,Place,Price,Promotion)を順々に紐解いていけば、極めて「経営」に近しい範囲をカバーしていることがわかる。 それはマーケティングが「買ってもらえる仕組み」をつくる活動であることから生じる必然と言えるだろう。 マーケティングはあくまで「顧客に買って

          マーケティングは、誰かの願いを叶えるもの

          資本主義は「数えること」と「くらべること」で出来ている

          社内勉強会TPA(Tribal Professional Academy)で財務・会計のお勉強をすることになった。 前職で事業責任者としてP/L作ったりしていたのだが、実は財務と会計の区別すらできていない私としては鬼門にあたる分野だ。 途方に暮れる我々に、TPAチューターのかめちゃんが大変わかりやすいチャーリーさんの財務3表図解を紹介してくれた。わかりやすい!感謝!! 上記のチャーリーさん図解があまりにわかりやすかったので引用する。 B/Sで元手と使いみちのスナップシ

          資本主義は「数えること」と「くらべること」で出来ている

          なぜ日本企業の人的資源管理はイケていないのか~Because everything is connected~

          人的資源管理(HRM)の本を2冊読んだ。 どちらも教科書的に(日本の)HRMについてコンパクトにまとめてくれていて読みやすい。 しかし自分のキャリアをそこに当てはめてみようとするとなかなか難しくもある。 ぶっちゃけインターネット業界に失われた20年なんてなかった私が社会人になってから大方生息してきたインターネット業界というのは、いわゆる日本の企業社会というところから見ると大分けったいなところだったのだな、という相対的な視点を与えてくれる読書体験だった。 インターネット

          なぜ日本企業の人的資源管理はイケていないのか~Because everything is connected~

          それは、物語の一部でしかない。-または自律とモチベーションの話-

          今年から弊社トライバルメディアハウスでは、価値体現の基準がアップデートされ、JUST(自律、動く、成果にこだわる、楽しむ)という標語が社内で大々的にフィーチャーされている。 全社合宿も「自律」がテーマになっていた。 合宿中に「自律的に成長しようとするならフィードバックも自分から取りに行きましょう(意訳)」という呼び掛けもあったので、早速休憩時間に社長にフィードバックをもらいにいったら「僕はもう自律的に動けてるのでこんな合宿いらないっすわー、っていう顔をしている(意訳)」と

          それは、物語の一部でしかない。-または自律とモチベーションの話-

          偽出版記念パーティーを開催することになりました

          故あって(無いけど)、出版記念パーティー(偽)を開いていただけることになりました。 明日なんですが、ご都合のよろしい方は是非お誘い合わせの上お越しくださいませ。 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 6 月 29 日(土)に、偽出版記念パーティー『鵜殿有正氏「冬瓜のまつり」出版記念パーティー』を開催いたします。 「出版記念パーティー」といえば…というイメージで作り上げたパーティー内容と、ここでしか聞け

          偽出版記念パーティーを開催することになりました