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想像力を掻き立てる口紅のネーミング

口紅のネーミングがエライことになっていました。
なにしろ「粘膜」なのですから。
日経クロストレンドの記事で紹介されていたコーセーの「ヴィセ ネンマクフェイク ルージュ」。
「ネンマク」とカタカナにしてありますが、そのもの「粘膜」でした。


独自性や機能性を強調するネーミング

私のようなおじさんは「粘膜」と化粧品のおしゃれなイメージは結びつかないように思えます。
それが実際には化粧品の口紅カテゴリーで人気の言葉で、何より粘膜色のイメージが「ヴィセ」の表現したい『色気』のある唇と合致しているそうです。

ネーミングをクリエイティブ視点から分析

ネンマク=粘膜
自分の唇に似ていながらもより良い理想のリップカラーを表す言葉。 ナチュラルでヘルシーなメイクを目指す若い女性をターゲットにしています。
フェイク=錯覚
唇が自然に美しいと他人に思わせるほどの高い性能と品質を備えていることを表現しています。
ルージュ=洗練
フランス語の口紅の意味。 フェイクとの対照させることで、自然と人工、シンプルと洗練、カジュアルと上品の間のバランスと調和の感覚を生み出します。
シリーズの品名もブランドのキーワードの1つとして「色気」を掲げており、それぞれの色名にも色気を意識したネーミングになっています。

  • うさぎの恋人

  • わがままな肉球

  • 海星(ヒトデ)の恋心

  • チェリーの自惚れ

  • 林檎の口づけ

  • 金魚の恥らい

ここは、なるほど~と言っておきましょう。

「ケイト」ネーミングの破壊力

とはいえ口紅のネーミングといえば、やはりカネボウ化粧品の「ケイト」でしょう。
代表的な「リップモンスター」は、2021年5月の発売から4カ月で累計100万本を出荷。 まさにモンスター級のヒットで日経トレンディ「2021年ヒット商品ベスト30」の18位に入っていました。

リップモンスターという商品名だけでもなかなかの迫力なのですが、上記の記事で紹介されていた シリーズの品名がまたすごい。

  • ダークフィグ

  • 欲望の塊

  • Pink banana

  • 2:00AM

  • 陽炎

  • パンプキンワイン

ドラッグストアのリップカラーカテゴリ順位(期間:2019年10月~2021年9月)で上記6種類が上位6位まで独占していました。

「ケイト」ネーミングをクリエイティブ視点から分析

着用する気分や個性を表現
例えば、「欲望の塊」は、濃厚で魅力的な赤色で自信や情熱を感じさせ、「ラスボス」は、深みのある紫色で強さや挑戦心を表しています。
機能と連動
ケイトの口紅の特徴にある落ちにくさと高発色。 その機能を「モンスター」という言葉で強調しています。
口コミ効果を高める
ネーミングに含まれるストーリーや感情をSNSでシェアすることで、コミュニケーションのきっかけになります。

奥深いネーミングの世界

今回の口紅のネーミング記事に注目したきっかけは、妻と娘の会話でした
おそらく商品名なのだろうけど、すごい単語が出ているなーと思っていたら、それが「ケイト リップモンスター」。
そこに「粘膜」の記事なのですから、気になりますよね。
ものが化粧品の口紅だっただけに、今回は腹落ちするまでの分析はできなかった気がします。
製品のネーミングは、さまざまな言語、概念、感情を組み合わせて、製品のユニークなセールスポイントを表現しつつ記憶に残るフレーズを作成するという、奥深く創造的なクリエイティブです。
自分が普段接しない分野にこそ、脳を刺激的してくれるクリエイティブがあるのですね。
これからもっとネーミングの世界を楽しんで行きたいと思います。

よければサポートをお願いします。 サポート内容はこれからのクリエイティブ活動に役立てます。 よろしくお願いします。