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過剰な奥歯と無い前歯。

保育園に通っていた頃、「歯のコンクール」に選抜出場し、賞をもらったことがある。

「歯のコンクール」というものの存在自体あまり知られていないと思うが、私の記憶では大勢の子供が一堂に会し、順番に歯の検査をしていくというなんともシュールなものだった。歯の評価というのは、私の頑張りというより綺麗な歯並びを授けてくれた親のDNAや歯の磨き方を丁寧に教えてくれた保育士に対する評価に思える。

何が言いたいかというと、私はこれまでの人生で虫歯になったことはほとんどないし、強いて言うなら顎関節症ってことぐらいで、ぱっと見問題なさそうなお口の持ち主なのだ。

そんな私は2ヶ月に一度、歯医者に行く。

どうも周囲の大人ベテラン勢が言うには、「歯は大事にした方がいい」らしい。歯を失って入れ歯になると食事が楽しめなくなるとのことで、食事の度に「歯があればなぁ」と思わざるを得ないという。

そんなの、めっちゃ嫌すぎる。

そういった事態を避けるべく、2ヶ月に一度、決まって歯医者に行くのである。

かかりつけの歯医者では年に一度、歯のレントゲン撮影をするのだが、今日がその日だった。

ぱっと見綺麗な歯並びの私もレントゲンで分かることがある。

実は、左の上の奥歯の横に、米粒のような歯がいるのだ。過剰歯と呼ぶらしい。まんまである。

見なきゃ分からんと思うので、レントゲン写真をお見せしよう。超貴重画像である。

お分かりいただけるだろうか、米粒のような影が(米粒ではない)。

歯医者が言うには「まぁ、こういうのが親知らずの横によく出来たりするんですよね、よくっていうか...まぁ、はい、出来損ないの歯ですね」とのことである。

「出来損ない」と言われるとそれはそれでこの歯のことが不憫なのだが、どうも歯茎の中に埋まっていて取れないらしい。昨年、親知らずを抜いた時にもこいつを取ろうと試みたのだが、歯茎に埋まっていて取れなかった。

それはそうと、もう一つ、私の歯には他人と違うことがある。

前歯が1本足りない。

抜けたとか折れたとかではない。

元々、下の前歯が、一本、足りないのである。

このことに気づいたのは中学生の頃だった。学校の歯科検診の前日に、なんとなく手鏡を持って歯を眺めていた時にふと気づいたのだ。

あれ...前歯が奇数...左右対称じゃないなぁ...。
1、2、3...。3...?!

びっくりして2階にあった自室から飛び出して、階段を駆け降り、両親に伝えた。

「ねえ!私、前歯が3本しかない!1本足りてない!今気づいた、見て!」

今思うと10代少女のムーブとしてはあまりにもわんぱくである。

両親に見てもらい、「ほんまや...」となったあと、爆笑した。これまで「1マル、2マル...」と歯を数えてもらっていたはずの歯科検診で一度も指摘されたことがなかったので、歯科検診ってウソなんだなと思った。

翌日、何も言わずに歯科検診を受けると、やはり何も指摘されず終わりかけたので、勇気を出して言ってみた。

「私、下の前歯、足りてないです。」

担当の医者がきょとんとして「もう一度見せて」と口の中を観察し、

「...ほんとだ」

と言った。

なんじゃそれ。

「念のため検査しなさい」ということで歯医者に行った。

どうも「先天性欠損」と呼ばれる状態らしいのだが、これまで気づかないほど綺麗な歯並びだったし、不便はないという理由で治療には至らなかった。

そしてこれがその前歯のレントゲン。

なんと、先ほどの「出来損ないの歯」と合算してプラマイゼロなのである。

思うのは、あの「歯のコンクール」だとか学校の歯科検診ってなんだったんだろうなということ。全部ウソだったんじゃないかって思う。

ちなみにレントゲン写真は、撮影許可を得てPC画面を撮影させてもらいました。読者もぜひ歯の健診に行ってみてほしい。そしてレントゲン撮影をしてみて欲しい。肉眼で見えない自分の一部を見るというのは結構おもしろい。

かかりつけの歯医者さん、いつもありがとう、今後ともよろしくお願いします。

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