マイナス化思考 認知のゆがみ4
今日扱うテーマは認知のゆがみの一つ「マイナス化思考」です。マイナス思考ではなく、マイナス化思考で、この二つは別物です。
マイナス思考は物事の可能性に対してネガティブな予想をしてしまうことです。これはまだ起きていないことに対するネガティブさです。
これは誰しもありますし、最悪の事態を想定して、リスクを減らす行動をとるということも可能になるので、
マイナス思考自体が悪いということはありません。ただ、マイナス思考が強いと不安に苛まれて、なかなか身動きが取れなくなるという面があるので、これはこれで注意が必要です。
マイナス化思考というのは、すでに起きている事実をマイナスにしか捉えないというものです。
どんなに喜ばしいことであってもマイナス化して自分の経験とします。言い換えるとマイナスの信念とでも呼べます。
例えば、自分は営業には向いていないと考えている営業マンがいたとします。お客さんがきて商品を紹介してもなかなか契約に結び付かない。
そのたびに「自分はダメなセールスマンだから」という信念が強化されます。とはいえ長く続けているわけなので、毎回が失敗しているわけではなく契約が取れることもあるわけです。
そういう時は「あれはまぐれだ」とか「あの人は買う気満々だったから誰が進めても買うよ」と良かったこともプラスにとらえようとはしないのです。
マイナス化思考の厄介なところは二つあって、一つが無意識のうちにマイナスにとらえるような思考が働くということ、もう一つが、どれだけプラス面を強調してもマイナスの考え方を持ってきて打ち消してしまうのです。
ちなみに「いやな気分よさようなら」の著書のデビッド・D・バーンズはマイナス化思考を認知の歪みの中でも「最もたちの悪いもの」と位置付けています。
マイナス化思考に対してプラスの思考を持っていくことは対処の仕方としてはうまくいかないことが多いです。
そこで、私がお勧めするのは、その人のマイナスの思考よりもさらにマイナスなとらえ方をして「それよりはましでしょ」と促すことです。
先ほどの営業マンに対しても「じゃあなんでクビにならないんでしょうね?」と問いかけてみると、
おそらくは「どうせそのうち辞めさせられますよ」という話になるわけですが、本当にダメな営業マンだったら「とっくに辞めさせられていますよ」と話す。
すると、本人の認知と現実のずれがあり、困惑します。
この困惑を起こすことが認知の歪みに気づく一歩目なのです。
頭ごなしにやることはおすすめできませんが、しっかりと信頼関係が築けていれば、マイナス化思考よりもマイナスな提案をすることで、その人を助けることができます。
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