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突然涙が出てくる・・・心の反応には時差がある コラム26


「ショックな出来事があっても、意外とその直後は平然としている。でも、しばらくしてから、『嫌だな~』とか、『悲しい』という思いになるんです。これって変ですよね」とある女性が話してくださいました。

直後は、「べつに大したことはないな~」と思っても、二日後とか三日後に突然おもいだして涙が出てきたり、長いものになると半年や一年してから「あれはやっぱり辛かったな~」と思い出すそうです。

出来事と心の反応の時差がありますが、これは変なことではありません。心の反応としてはアリなのです。一時的に感情が抑圧されている状態なのです。

その直後にネガティブな感情を味わうとうまく立ち振る舞えないということから、心を一時的に押さえつけて、感情をじっくり味わえる状態になってから感情を出してきているとみることができます。

私が米沢に移り住んだのは2013年です。震災から2年が経っていました。その年の秋ごろから受けたカウンセリングのいくつかは震災関係のことでした。

「ようやく言葉にできるようになった・・・」とある年配の女性は私に話をしてくださいました。直後は状況を知ること、生きることで精一杯。そして生活がちょっと落ち着いてきてから、なんだか震災の時のことをよく考えるようになった・・・とのことでした。これも時差のある反応です。

私たちの心は、私たちが日常生活を送れるように機能しています。その一方で、味わうべき感情を保管しておいて、味わうべき時に出してきます。

その中には辛いこと、悲しいこと、耐えがたいこともあります。しかし、心の働きとしては「そろそろ味わってもらっても大丈夫だろう」とこちらの心の状況を見たうえで出してきています。

ネガティブな感情に立ち向かえるのはそれだけ自身が成長したという証拠なのです。


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