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あの時の不妊治療記録

今の時世で子供を作るってハイリスクです。
子供なんて居なくてもいいかと思ったけど、子供が居ることで経験できることはたくさんあると思い、ほぼ無い貯金を絞り出して不妊治療に臨みました。
夫婦生活を始めて、1年経って妊娠しなければ不妊です。
32歳ごろから採卵数が減ったり治療成績も低下し始めるそうです。37歳以上になれば、結果が出なければ治療方針変更もあります。
グズグズしている暇はありませんので、すぐに検査をしましょう。年を重ねるほど治療も辛くなり費用も高額になります。
こちらは、2019年から2020年の顕微授精での治療記録です。
現在は保険診療になっている項目も多数ありますが、ただの日記ですのでご了承ください。
また、不妊治療を希望される方は必ず治療希望のクリニックで話を伺ってください。自由診療はクリニックにより価格が異なります。

※当時、妻33歳、夫30歳。


夫婦共々不妊原因あり

夫婦共々小売業勤務で土日祝日は忙しく働いているどこにでもいる夫婦。
結婚して2年目から妊活を開始。その後2年経っても自然妊娠の気配が無い。

少し離れた地に引っ越したのを機に、街の産婦人科で不妊について相談すると、近隣にある大きな病院(A病院)に紹介状を書いてくれました。
A病院での検査結果は「両側卵管閉塞」「子宮筋腫」。自然妊娠は無理とのことで、先生おすすめの不妊治療専門「Nクリニック」への紹介状をいただく。

それにしてもまあ、不妊という証拠を現実に付きつけられると意識が吹っ飛びました。

不妊治療は怖くない

不妊治療専門Nクリニックについて

福岡市中央区天神のど真ん中にある綺麗なクリニック。
全国に30カ所あるJISART認定施設のひとつ。
患者数も多く、待ち時間も3時間なんてざらにある。最長は4時間半です。
天神ビッグバン再開発が始まる頃だったので、あちこち工事してたけど、パルコとか天神地下街とか時間を潰すところはたくさんある。
患者一人一人にPHSが渡され、検査や診察はこちらで呼び出される。もちろん会計の時も。
院長先生は女性で不妊治療のプロ。他の先生だとダメだということはなく、みなエキスパートで優しい先生ばかり。看護師さんも優しい方ばかりです。Googleの口コミには色々と書かれていますが、どうしても人には合う合わないが出てきます。
私はここで不妊治療をして良かった。
ホームページに治療情報や価格など書いてありますのでご参考に。

初回の検査について

ホルモン検査・子宮卵管造影検査・精液検査・超音波検査・フーナーテストを行うようです。私の場合は、A病院からの紹介状に卵管閉塞の件が書かれてあったのでしょう、造影検査とフーナーテストはありませんでした。
院長先生により触診もあり、色々と不妊原因が分かりました。

妻の不妊原因

  1. 低AMH(アンチミュラーホルモン)

  2. 奇形子宮(弓状子宮)

  3. 腺筋症

  4. 子宮筋腫(チョコレート嚢胞)

  5. 両卵管閉塞

  6. 黄体機能不全

  7. 受精障害……※1回目のART治療時に発覚

夫の不妊原因

  1. 精子無力症(精子の運動量が体外受精レベル)

絶望しないで、希望はある

卵子の殻が硬く、運動量の精子では殻を破れない可能性があり、その場合は顕微授精のみで妊娠可能。

幸いなことに、ホルモン値は異常なし。
AMHを調べた時、当時33歳でしたが45歳くらいの数値でした。
卵子の残りが少なく、このまま数値が減ると閉経ということです。
しかし、子宮年齢は45歳でも、卵子の質は33歳。希望のある言葉に救われました。

先生からもすぐに治療を始めるべきと言われて、即決。
家が遠いので初回の検査もしていただいて、ふらふらになりながら帰宅したのでした。

仕事の事

不妊治療をするうえで、夫婦共々いつ休んでも病院に行ける環境が必要になります。私はただのパートだったので、退職することにしました。
しかし、退職すると上司に報告したところ、まあ……かなり引き留められる。上司の上司……課長まで出てきて、個別面談開始。
上司には「働けなくなった」と言いましたが、課長との個別面談では正直に話してくれと言われて仕方なく不妊治療の事を話しました。課長は女性で結婚歴も出産歴もありませんが、不妊治療のことを話すと「好きな時に休んでいいし、こっちで雇用保険が外れないようにとか対処するので、出れそうなときだけ出てきてください」とのありがたいお言葉をいただきました。
私のパート勤務先は誰もが知るGMSです。大企業すげぇ!
人手不足の上、働く人の平均年齢が高い店舗なので、私のような30代は珍しく辞められては困るという課長の気持ちはよくわかる。

職場には「母親が怪我をしたので看病のため出てこれない」と伝え、治療の可能性がある排卵日前後2週間は欠勤し、出れそうな日は1日2時間だけでも働きました。
しかしホルモンバランスが崩れ、治療でボロボロになった心身のまま働くのは容易ではない。
今でも考えるけど、退職については正解が見つからない。
産休育休がとれたので、やめなくてよかったのかも。

一回目の治療

生理期間中にデカドロン(男性ホルモン抑制)とクロミッド(排卵誘発剤)を飲み始めた矢先にインフルエンザにかかり、一旦やり直し。

体外受精と顕微授精を同時に行う、short法。点鼻薬を月経1日目、HMG注射を月経3日目より開始する方法です。
受精障害も疑われるので、体外顕微を両方行うスプリットが確実に結果が出やすい。

病院に通い始めて3か月でSplitART決定。
採卵できた卵子は4個。右3個、左1個。やはり左は機能していないようでした。
体外受精2個→受精0個。顕微授精2個→受精2個。低グレードでしたが、胚移植を行う。1つは胚胎盤まで育てる。

1回目、SplitART(体外受精+顕微授精)
合計金額 約572,000円

ET10で基礎体温下がった。手足も冷たいし。
結果はHMG測定不可。
妊娠していませんでしたし、胚胎盤に回した受精卵も分割停止。
ここで卵子の殻が硬いという受精障害も発覚。
もはや妊娠可能なのか疑わしい。

minimal stimulation法(低刺激排卵誘発法)なら希望はあると言われ、続けるつもりがあるなら生理開始三日目に予約するように言われる。
こちらは、点鼻薬を使用せず、内服薬のクロミッドやHMG注射で卵胞を育てる方法です。
夫はどうしても子供が欲しいみたいなので、家計と相談しつつ二回目へ向けて準備です。

二回目の治療

治療を少し休んだ間に採卵料が上がり、更に家計を圧迫。
これで最後と決めて、クリニックに治療再開の為の予約電話をする。

採卵までの診察や投薬は1回目とほぼ変わらず。
しかし卵子は前より5個増え、質もかなり良いものがありました。
しかし左の2個は空胞でしたが、最終的に右から取れた内の4個を顕微授精することになりました。
ホルモン状態が良すぎてむくみがひどく、子宮を休ませるために「ICSI全凍結」というART技法になりました。
採卵後に顕微授精した卵子を凍結します。
3個受精し、2個は即凍結、グレードの良かった1つは胚盤胞まで育てるとのことで、嬉しくてこの辺りはあんまり記憶にありません。

凍結した胚盤胞も無事凍結され凍結融解胚移植のスケジュール決定。
基本の分割期胚移植をすることにし、8細胞期胚のグレードは8CG3を移植
胚移植時のモニター映像みてると、移植された受精卵が白く光ってました。前回は初めてで緊張してて覚えていないんですが、今回はしっかり見えました。

仕事を普段通りにしつつ判定日を迎え、無事妊娠が確認されました。

年齢が高いので流産の確率など不安要素はありましたが、二週間後の胎嚢確認までは、流産の心配が出来るのも幸せ、と思ってゆっくり過ごしました。

2回目、顕微授精+胚胎盤凍結
合計金額 約837,000円

前回より凍結代だの色々かかったけれど、薬代が少なかった。
私にはminimal stimulation法が合っていたみたいです。

結婚記念日5年目の、最高の贈り物でした。

クリニック卒業

胎嚢も無事確認されました。
赤ちゃんの心音を聞いて、辛かった日々が全部吹っ飛びました。

治療期間約9カ月。
二回の不妊治療で合計150万程かかり、45万円が補助金で戻ってきました

2024年現在は不妊治療も保険診療になり、ここまでの費用は不要かもしれませんが、通っていたクリニックのHPを見るとまだまだ高額です。

凍結胚は今後の不妊治療の貢献になればと、破棄同意書を記入し治験に回しました。
凍結胚を継続するお金がないのもありますが、今後の不妊治療の発展に少しでも貢献できれば幸いです。

天使のような我が子は、元気に保育園へ通っております。

出生率を増やすために思う事

ART治療が必要な女性に1年の無給休暇を

不妊治療が保険診療になった今、必要なのは時間です。
フルタイムの方は本当につらい思いで治療をされていると思います。
仕事内容によっては難しいかもしれませんが、仕事や時間に追われること無く不妊治療を行えるとストレス軽減につながり、結果につながると思うのですが。日常生活のためのお金も稼がないといけませんが、生理休暇のような感じで取得出来たらなあと思います。

不妊治療は贅沢品ではない

何にお金をかけるかは人それぞれ。車にお金をかける人やバッグにお金をかける人などがいますが、これを贅沢だと思っている人は少ないかと思います。私たち夫婦は不妊治療にお金をかける人でした。

不妊治療が風邪治療と同等の存在になってほしい

職場では未だに不妊治療をしていたことを黙っている。
不妊治療は恥ずかしい事ではないけれど、気を使われたくないし、不妊だからイライラしているとか思われるのも嫌だ(偏見がすごい)
夫婦生活を行う上で、1年経って自然妊娠しなければ検査に行き、問題があれば治療をする。ちょっと鼻水が出たから耳鼻科に行こう、くらいの感覚になってくれれば。

終わりに

不妊治療が保険診療になって、顕微授精も3割負担くらいの金額で行えるようになっています。めっちゃくちゃ……ほんっとうに羨ましい。
約100万を不妊治療に使い、天使のような可愛い我が子に出会えましたが、その100万があれば、好きなおもちゃをどんどん買ってあげたりできるな、新車でファミリーカ―が買えたなあとか考えてしまいます。
不妊治療を行う方も増えたみたいで、クリニックの予約は取りにくいようです。
不妊治療には夫婦で思いやる気持ちとかなりの覚悟が必要です。
かなり喧嘩もしましたが、治療をがんばって本当に良かった。

不妊治療が気になる方は初診前に必ず受けなければならない、ART治療説明会の動画視聴を見られてください。

このあと、早期切迫早産で長期入院し、辺縁前置胎盤が治らず帝王切開にて出産。新生児のワンオペで産後うつ寸前になり実家に泣きつくことなど知る由も無かった……。(つづきは後日に別のnoteにて)


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