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ai小説 本の海で見つけた君


あの日、ぼくは図書館の本棚の間を泳いでいた。本の背表紙が並ぶ壁は、ぼくの秘密の海。そこで出会ったのは、星のような瞳をした女の子。

「ねえ、この本知ってる?」彼女は指差した。その指先には、ちいさな絆創膏。

「うん、読んだことある。主人公が最後に見つけたのは、自分の中の勇気だったんだ」ぼくは答えた。

「そうなんだ!」彼女の瞳がキラリと輝いた。

それから毎日、放課後の図書館は二人の秘密基地。本の海を泳ぎながら、ぼくたちは言葉の宝石を拾い集めた。時には笑い、時には泣き、ときどき黙って本を読んだ。

ある日、彼女が言った。「わたし、引っ越すの」

ぼくの胸に、本の重さより重いものが乗った。

「じゃあ、これ」ぼくは自分の好きな本を渡した。「ぼくの気持ちが、この本の中にある」

彼女は本を抱きしめた。その指先の絆創膏は、もうなくなっていた。

「ありがとう。わたしも、あなたにあげる」そう言って、彼女はポケットから折り鶴を取り出した。

その夏が過ぎ、ぼくは一人で図書館に通った。でも、ぼくはもう一人じゃない。本の海には彼女の笑顔が残り、折り鶴は机の上で、ぼくを見守っていた。

ぼくたちの物語は、まだ終わっていない。いつか、本の海でまた会える。そう信じて、ぼくは今日も本を開く。

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