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【キャラデザ-ラフから完成まで】「妖巳とワビ助」ようかいとりものちょう乙 古都怨霊篇

 キャラデザするとき、どういう感じに考えたりこねくりまわしたり意見もらったり仕上げたりしていったかというnoteです。


 ここでは「古都怨霊篇」にて登場する新キャラクター「出町の妖巳」と「琵琶のワビ助」のキャラクターデザインをラフから完成までちょこちょこっと解説入れながら紹介します。

クリスタらくがき、妖巳とワビ助

出町の妖巳

①プロット、シナリオを読んで最初に描いた妖巳。

 テキストでの彼女の要素は
・白蛇の妖怪
・コン七と同年代の少女
・女ながらも古都で岡っ引き(コン七と同業)を務める
 京の出町界隈をなわばりにしている
・水蛇(ミズチ)の血を半分ひいている
・性格は勝気で男勝り
 時折女性らしいやさしさを見せる。
・母親仕込みの歌舞音曲も得意。
※現実の江戸時代の京都では〈岡っ引き〉という名称は使われず〈手先〉などと呼ばれていたが本編では〈岡っ引き〉を使用する。

 女岡っ引きで気が強い印象だったので成長したコン七にも後れを取らないような
かっこよくてできる女っぽくしたいかなと思いながら描いてます。
あとヘビ要素は髪の毛に、ちょっとメドゥーサっぽい感じ。

 これを見た彩乃さん(ようかいとりものちょうでは着彩、妖怪デザイン協力)から
「シナリオから受けた印象よりも年齢が高く見える、お姉さんというよりもおばさんぽいかな」
「読者が好きになりにくい気がする、特に女の子の読者から好かれるように意識しないと」
という意見をもらいました。

 まあ、最初はとにかく描いてみるってのが大事で、「こうじゃない」ってのを明確にして違う方向を潰していくだけでも前進なんですよ。ここから先、何度も何度も案を練るのが毎度いつもの工程となります。

②意見をもらってから改良版

割とスッと描けた改良版。スッキリした感じの明るいキャラに。

「最初のよりかは、だいぶ良くなった気がする」
と彩乃さんから言われひとまずホッ。

 手甲の蛇皮っぽいイメージ、これは本番でもそのまま。
 髪の毛のところの△や〇は蛇のウロコイメージです。
 いろんな部分が最終版に繋がる形になってますが、方向性が見えてきてここから詰めていくのが本作業です。

③妖術やらアクションシーンのことを考える

動かすことを考えながら詰めていく。
右にプロトタイプのワビ助がいます。

 ここからは、本文で動くことを考えながらキャラを詰めていきます。登場時から両腕が蛇になるアクションがあること、足元のポックリは本来アクション向けじゃない履物ですが彼女は妖怪なので大丈夫だろうとか(この辺はその時の気分や趣味でさじ加減が変わります)

 ずっと頭を悩ませているのは髪型で、蛇要素で髪の毛から独立した蛇が出ているメドゥーサぽいのはなんか違うと思い始めています。
 「両腕が蛇になる」というのが彼女の妖術の一つなので、髪の毛に蛇が付いていたら過剰というか、両腕が蛇に変わるギミックの特別感が薄まる気がします。
 考えながら絵の上部に後ろ髪が蛇の腹のようになってる絵を描いてますが、最終版ではこのイメージで髪型を詰めていくことになります。

しっくりこないながらも数を描いて行く。
このバランスは好き。

 上とあまり変わってないですが、スッと立ったバランスが良い感じだなーとか、髪型にウロコっぽいモールドが入ってたりとか良いとこもあるんで描いて意味が無いってことはないです。

 実際の作業中はとにかくバンバン描いて行くんで、この状態のこれは描いたらすぐに次!って感じで描き飛ばしてた中の一枚。

④完成

ほぼ決定稿。大崎さん、岩崎書店に送ったのはこの絵になります。

 髪留めぽい蛇のウロコと蛇腹サイドポニーテール。着物の裾も蛇ウロコっぽい模様、着物の空いた中には蛇腹みたいな感じでいろんなところに蛇っぽい要素を入れています。
 妖怪お江戸のお六とは対照的なキャラデザができてよかったなあって思いました。

 この状態で大崎さん、岩崎書店さんに送ってOKをいただいています。

作画用設定として作成した決定稿

 作画用に線を整理し、グレー部分と黒部分を確定した絵。この絵はこのまま本文章幕間の妖怪紹介ページに転用しています。

琵琶のワビ助

①琵琶の簡略化を考える

琵琶本体の半月が目になるなーって思う一枚

 身体どうしようかな…と悩んでた時に彩乃さんから座布団ボディを提案されたのですが、これはナイスすぎました。一気に完成系が見えてきた気がします。

②可能性を探っていく

切れた弦が目になる案

 ようかいとりものちょうには、「つくも神はハニワ顔」というキャラデザルールを作っていたのですが、あれは妖怪お江戸のつくも神ルール…ってことで古都の つくも神は少し毛色が変わっても良いかなと考えて方向性を探っています。
 つくも神は古い道具が妖怪化したわけですし、弦が切れてグルグル目になってるのは良いかな…とも思ったんですが妖巳の家や家族のこととかを考えたときにワビ助の弦が切れてほったらかしになってることはまず無いだろうと思います。
 これはこれで可能性の一つということで。

③諸々整理しつつ完成

大崎さん、岩崎書店へ提出した一枚。

 弦が切れてるのは無い、という結論から琵琶本体をいかに線を省略してキャラクター化できるかを探ります。
 この絵や上の妖巳は描いては消して消しては描いてを繰り返して完成したので、途中経過があまり残ってないんですよね。

細かいパーツをどれを残してどれを省略するかってのはもう正解がわからない戦いで、おそらく同じ私がやるにしても時期や自分の中のトレンドによってまた変わると思います。

 最終的なワビ助は琵琶本体の各パーツを顔に見立てることができた事や座布団の身体など他のつくも神に無いキャラになったので良かったです。

 そんな感じで各キャラクター、毎回うなりながらデザインしております。

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