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ゼロ吉まわりのキャラデザの流れ【ようかいとりものちょう】

 前回から引き続きキャラデザについてです。

 作画とデザインをする立場から ありが が考えている意見、シナリオを前提で考えている大崎さんの意見、本にして子供たちに届けるのに相応しいか等々考えている岩崎書店の編集さんの意見をそれぞれ戦い合わせながら進めていきます。
 ゼロ吉は主人公の相棒となるキャラクターで、デザインが決まるまで紆余曲折ありました。


 今回はゼロ吉の幼馴染の美雪とその父 氷牙、ゼロ吉の祖父 三太夫のキャラデザインの流れと、ゼロ吉が表紙を飾っている6巻の表紙カラーを決定前のラフ交えて紹介します。
 デザインの迷走を含めてお楽しみください。

6巻打ち合わせ時のラフ

 tweet(現post)でも書いていますが、iPadを編集部に持って行って大崎さんと担当編集さんの目の前でだだだだっと描いてます。

「今回の表紙はゼロ吉にしたいんですよ」と言いながら描いた表紙イメージ
シナリオから感じてた美雪、白魔、天華のラフ
美雪の父、氷牙のラフ
大崎さんから「こんなに枯れてない、もっと若いイメージです」と言われたので
左下のほうに「※もっと若い」とメモ書きしてます
その場でレスポンスをもらえるのですり合わせが早くて良かったです
白虎のイメージラフ

6巻表紙

ゼロ吉が主役の巻なので、手前に大きく
手には頭のハリから作った刀を持っています
刀を持ってるのは違う、という意見を元に印を切るポーズに
私の案で、手前と奥に風が吹いているような
エフェクトを入れたいというイメージラフ
いろいろ話し合ったんですが、没に
マントで身体が隠れすぎてるので
もっと身体を見せてほしいと言われたので更に修正
ペン入れして線を整えたもの
ここから先は彩乃さんに渡してカラー着彩してもらいます
着彩、ロゴの入った表紙
ここまできて、やっと本屋さんに並び読者に届きます

 ロゴ無しの表紙は、ようかいとりものちょう特集サイトでノンテロップの表紙絵ギャラリーとして紹介されているのでよろしければ見てください。


美雪、白魔、天華

 ゲストキャラクターの美雪たちのデザインの流れ

打ち合わせ時の大ラフ(上記の再)
「既存の雪女にとらわれない感じで」ということだったので
髪の毛ではなく、氷と雪っぽいイメージで頭~首元をまとめています
結晶がうるさく思ったので整理
髪の毛と首巻っぽいところが良い感じに一体化できてシルエットがすっきりし
妖怪としても、既存の雪女のイメージにとらわれてない面でも
良い感じかなと今でも思うんですが「ありがさん、迷走してますね」という返答が…
狙い通りに描いてるし良い感じだと思っているので、迷走してないですよ!
「最初の大ラフのイメージが良かったんですが」ということだったので
そちらに方向性を戻しながらまとめなおし
この髪型にしてしまうとゼロ吉と並んだ時に画面内に
トゲトゲが多すぎると思っていたのでバランス的に避けてたんですよね…
そしたら更に「足元も大ラフのイメージが良かった」との返答
むむむ
白魔、天華の上に乗ることも考えてデザイン的に生足を避けたかったのもあります
(個人的にはまたがらせずに、横すわりにしたかったんで)
紆余曲折ありつつ美雪、これにて完成!
最終的には好きなキャラですが、各パート(絵、シナリオ、編集)が考えている
イメージのすり合わせって難しいなあとつくづく思ったキャラでした
雪狼たちの結晶位置とバランスを整えていきます
狼はお腹がタルみたいに太いとか、そういう犬との違いを意識しつつ
本番原稿で爪や瞳の表現を調整しながら完成!
本編ではこんな感じ

氷牙

打ち合わせ時の大ラフ
大崎さんからは「こんなに枯れていない」とのこと
若々しく、敵が来ても戦える親父としての雪男を模索
横のメモにあるように「マタギ」+「武将」でまとめました
送ったところ「こんなに戦闘特化したキャラではないです」との返答
むむむ…
武将の要素を取って、バランスを整えて氷牙、完成!

三太夫

 だいたいtweetに書いた通りです。シナリオを読んだ時に感じた「ゼロ吉のおじいちゃん」はこんな感じだろうというイメージでまとめました。

即「OKです!」との返事
他キャラでのドッタンバッタンを考えるとあっけないですが、そういうこともある!

 いかがでしたか?
 こんな感じで 絵、シナリオ、編集、各人の思いを戦わせながらキャラクターデザインをまとめています。

 今後も過去モーメントを再構成しながら、ようかいとりものちょうの色々を紹介していきますので、よろしければたまに見ににきてやってください。

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