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追憶のモロッコ〜砂漠に向かってヒッチハイク

2014年2月にモロッコへ行きヒッチハイクをしながらサハラ砂漠を目指した。
その時の旅の道中で出会ったモロッコ人のおじさんに聞いて、地元のハマム(公衆サウナ浴場)へ行ってみた。

京都の錦市場にあった銭湯(閉店しています)の湯船で、モロッコに行った時の記憶を回想していた時の日記をもとに編集しています。

2014年4月28日の日記より。


その中で「パスタ」をつくるんだよ。

地元の人がいくハマム

え? なに。

ああ、あのことね。あれは子ども時は「消しゴムのかす」だと思ってたわ。笑


筋トレの後、ジムのお風呂につかりながらふと思いだす。

モロッコ人はぽろぽろと垢擦りすることを、パスタをつくるんだよって言っていた。 


モロッコにはハマムというサウナ浴場がある。250ディルハム、日本円で3000円ちょっとだせば、エステサロンのようなところがありサウナに入り、その後専門の女性がマッサージと全身の垢擦りをしてくれる。旅の移動に疲れている女性旅行者にはとても人気があった。まあでもいいかあ。どうせなら、モロッコの地元の人が行くところにいきたくなり、ベルベルの地元の人に大衆浴場を紹介してもらった。料金は確か10ディルハム(およそ140円)くらい。オプションであと40ディルハムだせば、中で垢擦りレディが手伝ってくれる。


「中には、部屋が三つある。一番奥の部屋が一番熱い。だから、三つを行ったり来たりするんだよ。番頭さんにバケツをもらって入って、さあ、後はがんばって。」


脱衣所でバックパックを下して、さあ、それでどこまで脱いでいいんだろうか。

見よう見まねでバケツをもらっていざ中へ。


暗い!

え、黒い垢ふんだ。

みかんの皮も落ちてるし。(?)


端のほうでつったってたら、おばちゃんに「お湯こっちよ。」っと手招きされて

バケツにお湯を入れてくれた。


薄暗く湯気が立ちこめるタイルの部屋で、あたりを見回して、ふと

ちょっとはみってしまったなあと思った。

なぜか、みんな同じ黒の深履きのパンティを履いていた。(それは番頭さんが売っていたのか貸し出しされるのか、みんなが自分で持っているやつなのか、流行っているのか、分からない。)


ああ、しまった。

パッション系お花さん&レースの自分。ってそら目立つわ。

それと、どっしりとした中年の垢擦りレディが3人いて、彼女たちのは赤。

そういう制服なんかなあ。


女性たちは、目のくりくりの小さな子どもたちを連れた若い人、ティーンズ、中高年、シニア世代と地域の人たちが集まってくる場所のようでもあった。


ここで私を救うのは、ちらちらと目があう彼女たちとの目でのやりとり。


(えっと、どこ座っていいんかなあ。)

(そこらへん、空いてるから、まず水ばしゃってながすの。)

(あ、そうなのね。)


(髪の毛洗ってもいいですか?)

(もちろん。お湯はあそこのがでてるから。バケツをもう一つもってくるのよ。)


ここの女性たちの肌はきれいなつやのある茶色で、まず、なにやら黒いボディソープのようなものをつけて洗っている。茶色い小川がここ、あそこを流れていく。

その後、垢擦りが始まる。自分でする人たちは、背中まで届かないからそこはご近所さんで協力してやりやいっこをする。

私も3メートルほど前でやっていた若い女の子と目があい、


(手伝いましょうか?)

(あ、いいの? お願いします。ありがとう。)


やってきてくれて、私のグローブに手を入れて入念にやってくれた。

痛い。でも、なんだかむちゃくちゃ嬉しくて、至福のひとときだった。

私みたいな他人でよくわかってない外国人がそこにいても、

のけ者にしたり好奇の目でみたりせずに、

他の人たちが自分たち同士でしているのと同じように、私の背中を丁寧に磨いてくれていた。


モロッコでは、宗教的な理由が関係していて、路上で女性を見かけてお話することは、かなり難しい。 (どこいってもやったらおじさんが多い!)


女性との貴重な出会いができた大きな場所の一つが、ここ、ハマムだった。そして、基本的にモロッコの村で会う女性は、優しくて親切で、またずっと女の子のままの素直な感じのきれいな大きな目が印象的だった。瞳が大きくて、潤いがあって、そのまま深い彼女の無垢な世界に吸い込まれるような感じがよくあった。 眼差しは少しはにかんでシャイで、でもそれでいて、あなたのことをもっと知りたいの、もしなれるのならお友だちになって、あなたの世界を教えてくれないかしらっとでも言われているような気になった。


モロッコの男性の間では、イスラム教の予言者ムハンマドの四女の名前から、理想の女性をファティマと例えられる。彼女は誠実で慈悲深く、貧しい人、病気の人を助けたという。


そろそろお湯から上がって帰り支度をしないとと動き出しつつ、

ファティマとパスタとエンシャアッラーの北アフリカの小さな砂の町を懐かしく思い出した。




ローカルの乗合マイクロバスに乗った。この辺りの村の女性たちは目だけを除いて体全身を黒い衣装で覆っています。顔を出していた私はみんなに見られて、裸で乗ってるくらいの感じだったのかもしれません。こんなところに外国人が乗ってくることはまずないので、珍しそうな目線が集まりました。黒い衣装から覗く純粋で真っ直ぐな瞳が印象的でした。





ワルザザードの町を抜けて走る。砂漠はすぐそこに。


ラクダに乗って、無事にサハラへ到着。


先に見える黒い砂漠はアルジェリア国境

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