RRR

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 おもしろかった。インド映画は「踊るマハラジャ」以来だ。異例の大ヒットと聞いていたが、劇場で見逃した。テレビで見ても迫力があった。植民地での非道さが、いつだったか王室の人がインドに行ったのがニュースになってて、それほど禍根を残すほどのものだったことも想像できた。

主人公の2人が、両方ともひげを生やしてて、はじめのうちどっちがどっちだか分からなくなった。それでもアクションシーンの緊迫感で見飽きることがなくて、人が重力を超えて飛んだり飛ばされたりするし、野獣もCGなのが分かるけど、しらけることなく見せられた。主人公2人の相方の女優が2人とも綺麗で感じがよくて、そういう分かりやすい作りもむしろ好感が持てるほどに楽しく見れた。

 主人公の妹がイギリス人に連れ去られる。歌を歌った駄賃に投げられたと思ったコインを手にすると、無理やり車に乗せられ連れていかれた。娘の値段が銅貨2枚だった。インド人を殺そうと銃を構えた兵に、上官は弾丸がもったいないと言って撲殺させる。日本の戦時中のいろいろを見る機会はあったが、なんかそんなんよりよっぽどひどいことが行われていた感じだ。

 妹を救おうと町に出た主人公は、警察官のインド人と友人になる。この警官が、イギリス警察の一員で、インド人を制圧するのにすごい力を発揮する。昇進のためイギリス人に認められようとする、その様が胸糞悪くさせてくれる。と思ったら案の定、イギリスから独立するための手段だったと分かる。冒頭の妹が連れ去られるところと、実は味方だったというところ、映像や音楽に気を取られていたら見事にもっていかれた。

 合間合間にイメージビデオのように歌が流れるのもよかった。踊るマハラジャみたいに劇中でいきなり踊り出すわけでもなく、ストーリーを進めながら音楽効果を利かした。友情、恋愛、ダンス、戦いと、ストーリーに必要な要素が申し分なく盛り込まれている。ヒットするはずだ。

 アクションシーンを見ていると、とにかくインド人頑張れ、と思ってしまう。ことはそんなに単純でないのだろうが、やはり何にしても戦争は悲惨だと思わせられる。戦うことも悲しいし、植民地のような抗うことのできない状況も生き地獄だ。この主人公2人も、植民地だったから出会ったのではあるが、もし戦争なしで出会っていたら、と思わずにはいられない。

 いろんな考える材料はちりばめられていたと思うけど、そんな程度のことしか考えられなかった。お笑いで笑った後、何を笑ったか思い出せないことがある。集中していると、笑った記憶はあるが、笑った対象の記憶は残らない。そんな感じで、あれこれ考えることが馬鹿らしくなるくらい、おもしろかった。

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