見出し画像

【CineStill 400D】映画用フィルムって面白い!

ドイツに住む友だちのステファニーから「ありあ、ドイツに面白いフィルム売っているから送るね!」とメッセージが届いたのは、先々月のことです。

深夜に送られてきたメッセージに、眠い目をこすりながら「ありがとう」とだけ返信したわたし。

これが、 2022年春に発売されたCineStill 400Dというカラーネガフィルムだったと知るのは、ステファニーから届いたボロボロのダンボール箱を開けてからのことでした。

さまざまなフィルムの生産終了のお知らせがSNSで流れてくる中で、CineStill社が意を決して発売したこのフィルムは、どんな写りをするのでしょうか。

1.CineStill 400Dの匂いをくんかくんか

・パッケージデザインとか、匂いとか

フィルムって、パッケージデザインとか、フィルムの匂いとか、購入してからカメラに装填するまでの過程も、楽しみだったりしませんか。

紫色のパッケージが可愛らしいですよね

紫色のパッケージを見て、「ふぉぉぉ」とついつい心の声が漏れます。勉強机にインテリアとして飾ろうかな。そんなことを考えながら、パトローネを取り出して、フィルムの匂いを嗅ぎます。

「くんかくんか」

特に匂いはしませんでした。FUJICOLOR 100みたいな強めの匂いを想像していたので、ちょっぴり残念かも?まあでも、フィルムの匂いに一喜一憂するなんて、たぶんわたしは変態なのでしょう。

・写りとか入手方法とか

そもそも、CineStill 400Dは、映画用フィルムをフィルムカメラで使用できるように研究・開発されたのだそう。普通のカラーネガフィルムと同様にC-41プロセスという方法で現像できるので、現像にも困らなくて良いです。

種 類:カラーネガフィルム
枚 数:36枚撮
粒状性:普通
色 味:わりと素直な写り・強い光源下、ハイライト境界線での赤いモワモワ
価 格:1本$14.99(CineStillオンラインストア、約2,000円)

円安ドル高に悩まされる昨今、1本2,000円くらいになってしまうのは、なかなかお財布には優しくありません。ただ、1番安いフィルムといわれていたKodak GOLD 200やColorPlus 200などでも2,000円を超えるお店が出てきていますから、そう考えると、普段使いフィルムとしての選択肢にも入ってくるかもしれませんね。

2022年10月現在、このフィルムを手に入れるには、CineStillのオンラインストアで購入するしか方法はなさそうです。発売前にオンラインストアで予約した友だちによると、発売日から届くまで3ヶ月くらいかかったとか。
日本でも早く流通してほしいものです。

2.ちらっと作例でも

・作例 with Kodak EKTAR H35

2種類のフィルムカメラでCineStill 400Dを試写しました。ひとつ目は、同じく最近発売されたKodak EKTAR H35という、ハーフサイズのフィルムカメラ。見た目も可愛くてお気に入りのカメラです。

光がさしこんでいたので、箒をパシャリ。
誰もいない廃駐車場でひとりたたずむ少女。

今回の写真を見て全体的に言えることなのですが、ISO400にしては、粒状感を感じない?ように思います。

日の入りあと、フラッシュをたいてパシャリ。

赤いモワモワの影響で「癖のあるフィルム」だと思われるかもしれませんが、フラッシュをたいたこの写真は、びっくりするほど素直な写りです。

夕焼けのころ、車の助手席からパシャリ。

さすがに暗めの写真だと、粒状感が分かります。それにしても、夕焼け色に染まる空の写りも良いですねえ。

・作例 with Nikon FE

一眼レフ機で、ピントも合わせて撮りたい!ということで、愛機のCONTAX Ariaと迷いましたが、サイコロを振って、Nikon FEで撮ることにしました。使用したレンズは、Ai Nikkor 50mm F1.4です。

駅の待合室での一枚。あったかい日差しが差し込んでいました。

同じ直射日向という条件下でも、Kodak EKTAR H35と比べて赤のモワモワは感じません。レンズの性能に大きく左右されそうです。

林の中に、少女がひとり。儚げな眼差しは、なんだか意味ありげです。

こちらは順光での一枚。赤のモワモワは出ていますが、肌の色や林の緑色はとても素直な写りをしています。

夕方の河川敷での一枚.

やっぱり、夕焼けとCineStill400Dの相性はバッチリです。ふわっと赤みのかかる髪の毛がとても好きです。

3.最後に

・もっとこのフィルムを使ってみたい!

好きだな、また使いたいなあ、風景からポートレートまでなんでもこなせるなあ、そんなフィルムでした。ハイライトの境界線で浮かぶ赤色のモワモワは、レンズの性能によってその強弱が大きく左右されるなと思います。といっても、光のあまり強く当たらないところでは、Kodak EKTAR H35でもしっかり写ってくれましたから、光のあたり具合も重要です。

色味は、撮影環境にもよりますが、太陽のあたる日中ですと、あったかめでした。ただなんとなくですが、Kodakとは違うあたたかさを感じたので、これからわたしなりに研究を重ねていきたいです。夕方や曇りの環境であれば、とても素直な写りをするなあという印象でした。

またラチチュードについては、ほかのメーカーのISO400フィルムよりも広いなあと思います。明暗差の激しい場所での撮影にも向いているかもしれません。

今後Kodakフィルムの価格がますます高くなるようであれば、CineStillのこの価格は魅力的かもしれません。日本の通販や店舗で流通するようになった時にどのくらいの値段になるかも、今後注目したいところです。

・発売まで約4年を費やした、CineStillの新商品

すでにCineStill 50Dや800Tを販売しているCineStill社ですが、もっと汎用性の高いフィルムを製造したい!という思いが、開発の経緯としてあったようです。
確かに、これまではISO感度が両極端で、50Dは昼撮影用、800Tは夜撮影用といったイメージがありましたから、今回発売された400というISO感度のフィルムは、さまざまな環境で使うことのできる汎用性の高いフィルムとして、KodakやFJIFILMと並んで日常的に使用されるフィルムのひとつになるかもしれませんね!

資材の高騰やデジタルカメラの台頭により年々驚くほど縮小しているフィルム業界ですが、こうしてフィルムの選択肢を増やしてくださるなんて、とても嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?