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「一つのメルヘン」の刺激
こんばんは。有村です。
9歳の時から自分の文章に赤を入れ続け、物書きになり、今では大学で文章の講義を持ち、添削でも食っています。
さて、最近アンガーマネジメントって言葉をよく耳にしています。(ここ数年かな)
怒りを感じたら6秒数える…とかそういうもの。
そもそも私はあまり突発的に怒らないのですが
最近世の中があまりに怒りに満ち満ちているので
歴史的にも世論がどんなものでも怒りに傾くのはいけないことだなと思っていたのです。
正義が一つしかないように見えたり、白か黒かに分けたがったり。
なので、どうしたらつい乱暴な考えをしそうになる自分を止められるか考えていたんですが…
見つけました。
「一つのメルヘン」中原中也
これです。
高校時代、まるで数学ができなくて、
家庭教師の先生がついてくれていたのですが
その先生が、毎回、名作の詩の暗唱を宿題にしてくれていました。
で、数学の宿題はまるでしないし、なんなら時間中眠くて船漕いでたんですが(先生、その節はすみません)
詩の暗唱だけはなぜかやっていたのです。
「まだあげ初めし前髪の…」(島崎藤村・初恋)とか…
「けふのうちに とほくにいつてしまふ わたくしのいもうとよ…」(宮沢賢治・永訣の朝)とか。
なんだか小学生のように意地になってその宿題は頑張った記憶があります。
その中でも、なにか優しい気持ちになったのが中原中也の「一つのメルヘン」でした。
どんな詩かはこの文章をここまで読んでくださった方ならきっとご存知か、読んだことなくても調べてくださると信じて当然全て書きませんが、
その表現が、虹色以上に多くの色を持つ言葉たちが、当時多感すぎた私に、表現の幅の広さ深さを許してくれた気がしました。
「淡い、それでいてくっきりとした…」
どっちなんだ!と言われない。それが表現。
苦しいけれどそれが大切で、はかなくて。
今日、その「一つのメルヘン」をひょんなことから音読して気づいたこと。
この詩、私の心を柔らかくする!
心を色彩自由な場所に連れて行ってくれる!
なので、しばらくは、私は社会の中や誰かの発言で心が乱れたら
一度「一つのメルヘン」を音読することにします。
読んでくださった方もよかったら。
言葉は人を救い、傷つけもするものだと忘れないために。怒りばかりの文章を生ないために。
そういう文章はいつか自分に返ってくると思うのです。
さらさらとさらさらと…
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