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嫌いなわけじゃなかった

学校が嫌いなわけじゃない
教室が嫌いなわけじゃない
クラスメイトが嫌いなわけじゃない
友達がいないわけじゃない

ただ
学校が怖くて
教室が怖くて
クラスメイトが怖くて
友達すらも怖くて

だからか
通学路で固まった
教室への曲がり角で固まった
クラスメイトの前で声が出せなかった
友達とすら話せなかった

大人はその理由を知りたがった
でも、私は上手く話せなかった
理由がわからなかったわけじゃない
むしろ、明確な理由があった

でも
大人も怖かった

私の本心を話したらどうなるのだろう
ちゃんと聞いてくれるのだろうか
どうにかしようと一緒に考えてくれるのだろうか

それとも

そんな理由と呆れられるだろうか
大丈夫と言って、教室に連れて行かれるのだろうか
考えすぎだと取り合ってくれないかも

結局、話せなかった

みんなきっと一緒だ
人は嘘つきだ
安心させて突き落とす
裏切るなんて簡単だ

もう、そんな思いしたくなかった

そうしたら
人と話すのが怖くなった
人と会うのが怖くなった
人の目線が気になって怖くなった
人の声が気になって怖くなった
人の存在が近くにあることが怖くなった

人が、怖くなった

人と話せなくなった
上手く声が出せなくて

人と目が合わせられなくなった
表情をみたくなくて

少しずつ
人と関わることができなくなった


夜、眠れなくなった
朝が来るのが怖くて

ご飯があまり食べられなくなった
何かが喉につっかえてて

教科書が開けなくなった
学校を思い出してしまうから

制服が嫌いになった
学校に行かなければいけないから

約束が怖くなった
破られた時が怖くて


病院に行った
先生もカウンセラーの人も優しかった

それでもやっぱり
理由は話せなかった

どんなに優しく声をかけてくれても
どんなに笑顔を受けてくれても

私は、声が出せなかった

両親が苦手になった
私に話すことを望むから

私も話したかった
でも、声が出せなかった

話したいのに話せなくて
もどかしくて
悲しくて
イライラして
辛くて

そして、自分が嫌いになった

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