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UFO公聴会への要求高まるアメリカで、動画リークした元高官が空軍へ公開質問状

今月、英文Yahooニュースに、イギリスの大手新聞サイト"The Guardian"の、「何かがやってくる:アメリカはようやくUFOを真剣に受け止める準備ができたのか?」という記事が掲載された。

一部抜粋すると、
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2022年はUFOの話題にとって激震の年になると確信しています。」と、1990年代初頭にイギリス国防省でUFOを調査していた、ニック・ポープは言う。
超党派の上院議員グループが何年にもわたって、政府がUFOに関するより多くの情報を発表することを求めてきた議会で、そして米国国防総省と情報機関からも、彼は「問題を把握したいという真の願望」を感じていると述べた。
UFOに関する議会の公聴会が開かれると思います。
また、軍のUFO写真やビデオ、関連文書がさらにリリースされると思います。
一部は内部告発者を介して行われるかもしれませんが、多くは積極的に、または情報公開法に基づく要求に応じて、政府自体によって公開されるかもしれない。
最後には、民間航空会社や軍のパイロットやレーダー・オペレーター、この問題を直接知っている諜報員など、よりハイレベルな目撃者が登場すると思います。」
………
米国上院議員のカーステン・ギリブランドとマルコ・ルビオに後押しされたペンタゴンは、UFOレポートを報告および分析するための新しいオフィスを立ち上げたが、UFOコミュニティーの一部は、政府がその調査結果をあまり発表しないのではないかと疑っている。
それでも、情報への要求が高まるにつれ、科学界からの関心も高まり、
2022年には、特に地球外生命を検出することを目的とした、多数の新しいプロジェクトが開始される。
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続いて、以前紹介した、ハーバード大学アヴィ・ローブ教授のガリレオ計画と、昨年末に、NASAが打ち上げに成功した、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡JWST)による貢献が、期待されると書かれている。

地球外生命を否定しないネルソンNASA長官も、この望遠鏡でより多くの太陽系外惑星が見つかるだろうと発言していた。


またガリレオ計画は、オウムアムアのような恒星間天体や、地球上で目撃されるUFO/UAPが、地球外文明から派遣されたAI探査機かもしれないという仮説のもとに、批判をかわして正式な天文学のプロジェクトとして始まったのだが、実はここに来て、UFO/UAPの専門家と言われる人達が集まり始めている。

まずは、UAPディスクロージャー運動牽引役の、これまで何度も紹介した2人、国防長官府の元UAP捜査官ルイス・エリゾンド氏と、ホワイトハウスの元情報担当国防副次官補で、3本のUAP動画をマスコミにリークした張本人である、クリス・メロン氏のコンビが参加したのを皮切りに、上の記事に登場するニック・ポープ氏や、ジャック・ヴァレ博士ら、UFO研究界の重鎮とも言える2人が加わった。

N.ポープ氏は上述のように、1990年代にイギリス国防省で、エリゾンド氏より10年早くUAP事件の調査を担当し、退職後もUFO研究家として執筆活動等を行っている。
そもそもUAPという用語はイギリス国防省が当時から使用しており、また、ティックタックのようなUAPも、1950~60年代にイギリス軍が撮影したフィルムを見た事があるそうだ。
だから上のインタビュー記事は、ガリレオ計画内からの情報リークと捉えるべきだろろう。

また、J.ヴァレ氏(82歳)は、UFO研究界のゴッドファーザーと呼ぶ人もいるが(笑)、天文学と情報科学の学位を持っていて、スピルバーグの
「未知との遭遇」(1977)に出て来る科学者のモデルと言われている。
空軍の正式UFO調査だった、プロジェクト・ブルーブックのハイネック博士とも協力していたし、1978年、グレナダのゲイリー首相が国連でUFOタスクフォース設立を提案する演説にも協力した。

また最近では、同じくガリレオ計画に参加した、G.ノーラン博士(スタンフォード大)と共同で、UAPが落としたとされる金属片についての論文も発表していて、地球上の金属とは同位体比率が異なる事を発見したという。


これら従来(2017年のUAP動画リーク以前)のUFO研究家と、ローブ教授のような本流の科学者とのコラボレーションについては、以前紹介した、アメリカ航空宇宙学会の非公式議論では懐疑的な意見も多かった。

それが僅か半年で実現したのは、ディスクロージャー運動の軍師ともいえるメロン氏の画策としか考えられない。
実際、年末に成立した国防権限法内のUAP対策条項(ギリブランド修正案)のゴースト・ライターはメロン氏と思われるし、ペンタゴンに配慮してか最終的に削除されたものの、法案ではガリレオ計画を中心とした民間諮問委員会の設置も含まれていた。
だが驚いた事に、当のローブ教授はギリブランド議員からそれを直接聞いていなかったと告白しているから、推して知るべしである。

そして実は、"The Guardian"の記事が出る直前に、メロン氏が空軍に対してUAP問題に関する公開質問状ともいえるレポートを発表していた。

長文なので詳細について興味があれば拙ブログを参照して貰いたいが、まず軍が保有する高度な防空システムについて詳細に解説した上で、14項目の公開質問を提示しているところは、元政府高官らしい論理的な構成となっている。
それで14項目のうち主なものだけ転記すると、
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1) 昨年、米国防総省が発表したUAP現象に関する「予備評価」で確認された144件のUAP事件について、空軍は一切貢献していないというのは本当か。もしそうなら、なぜか? 空軍が適切なUAP情報の提供を遅らせている原因は何か?

4) (昨年6月の)予備評価報告書には、「空軍は2020年11月に6ヶ月間のパイロットプログラムを開始し、UAPに遭遇する可能性が最も高い地域で収集を行い、今後の収集、報告、分析を空軍全体でどのように正規化するかを評価している」と記載されている。このプロセスは終了したのか? もしそうなら、その結論は何か?
そうでない場合、このプロセスが議会への説明責任と透明性を保つために、空軍はどのようなステップを踏んでいるか?

5) 空軍の監視委員会のいくつかは、昨年空軍が、事前承認なしにUAPタスクフォースに近づかないよう隊員に警告した事を知らされている。
また、UAP問題に特化した国防総省の機密チャットルームに参加した個人が、その後、空軍のOSI職員に尋問され、それ以上参加しないように警告されたという報告もある。
これらの報告は正確なのか? もしそうなら、なぜ空軍はこれらの重要な情報共有の努力を妨害してきたのか。

7) NORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)は米国上空のUAPに対応してジェット機をスクランブルしたことを公的に認めている。2004年以降、そのような事態は何件発生したのか。
このデータはUAPタスクフォースに提供されたのか、提供されない場合はなぜなのか。

9) ICBMやSAC(戦略航空軍団)の核兵器施設やその近くでのUAP事件に関して、情報公開法上の情報源や退役した米空軍将校からの膨大な文書がある。空軍は、未確認飛行物体が米国の核コマンド・コントロール能力を妨害したことを示す情報を持っているか?

10) 空軍は、地球の大気圏に突入または大気圏から離脱した未確認物体に関して、どのような機密レベルの情報を持っているか?
また、これらの物体が操縦した、あるいは何らかの理由で知的制御下にあるように見えた(例えば、垂直上昇や降下)ケースはどれくらいあるか? 空間的、時間的、現象的なUAPのパターンは確認されているのか?

11) 2004年11月の一連のUAP接触の直後に、空軍の要員がUSSプリンストンのイージス艦レーダーデータを入手したという報告(過去記事参照)がある。最後の報告では、行方不明のUSSプリンストンのレーダーデータは、ラングレー空軍基地の米空軍職員が所有していた。
2004年にUAPが接触した際のUSSプリンストンのレーダーデータの場所や処分について、空軍はどのような知識を持っているのか。2004年11月のUSSプリンストンの甲板日誌ログの行方を空軍は知っているのか?

13) DNI(国家情報長官)は議会に提出した予備評価で、2004年から2021年まで144件のUAP事件を特定した。
この同じ期間に、民間パイロットは数百のUAP関連事件を報告し、民間のUAP調査団体は数万件のUAP報告を受け取っている。
しかし、民間および軍のUAP目撃例の90%以上が報告されていないため、これらの事例は全体のごく一部に過ぎない。
これらの数字と、空軍の空と宇宙の監視能力の広大な範囲を考慮すると、2004年から2021年までの空軍の事故件数は膨大なものになるはずである。
議会はいつになったら適切な会計処理を期待できるのか?

14) 空軍が、人類以外の文明が地球を発見したかどうかを決定的にするような資料を所有しているとの主張がある。
それはおそらく、政府の最も厳しい秘密だろう。
このような主張に対して、あなたはどのように対応するか?
おそらく、その情報は非常に機密性が高いとみなされ、あなたや他の人々は議会の監視委員会と共有することを禁じられているのだろう。
少なくとも、現職の大統領、国防長官、DNIがそうした情報を知っている、あるいはそうした情報が明るみに出た場合に速やかに知ることができるような、十分なプロセスがあると確信しているか? 議会はどうか。
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このうち特に11) に関しては、ニミッツ事件における最大の謎となっており、これまでこの件にあまり触れてこなかった、エリゾンド、メロン両氏も最近のインタビューでついに、空軍内に秘密グループが存在している可能性に言及した。これは、昔からのUFO研究家なら誰もが疑っていた事だし、
所謂メン・イン・ブラック(MIB)と関係あるかもしれない。

「私にとっては、アメリカの管理区域を飛行する何か(UAP)よりも危険な問題です。
官僚機構の中で、他の要素と連携していない要素があるのです。
率直に言って、議会や国防長官の意思を無視しているのです。」
とエリゾンド氏は述べている。

また、最後の14) は、ずばり地球外文明からの接触について問いただすもの。
プロジェクト・ブルーブックが1970年1月で終了して以降、ペンタゴンがこのような質問にまともに答えたことは無いが、今回はそうはいかないかもしれない。
というのも、メロン氏はこのレポートを、議会公聴会において、議員たちが聞く質問の下書きとして書いていると言っているようだからだ。
さすがに公聴会ではなく、非公開の聴聞会で妥協するのではないかと思うが、ならば一層、ペンタゴンはぐうの音も出ないほど問い詰められるかもしれない。

【追記】: 早速、予兆?
大統領から国防総省の新監察長官に指名されたロバート・ストーチ氏が、
上院の承認委員会でギリブランド議員からのUAPに関する質問に十分答えられず、
「あなた、よく分かってらっしゃらないようだから書面で回答して」
とくぎを刺され、
「イエス、マム(汗)」  笑


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