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成長だけでなく、老いも冒険である

歳を取ることはイコール成長であり、自分の力でできることが増えることであり、興味も、行動範囲も、交友関係も広がる方向に進むものである。
ある年齢からは。
歳を取ることはイコール老いであり、自分の力でできることは減っていき、すべては狭くなり、小さくなる方向に進んでいく。
一般的に、前者はポジティブに捉えられ、後者はネガティブに捉えられる…ただ「その先は未知である」ことは共通で、いずれも冒険である。

朝起きたとき何を思うのか。
身体が動かない、のはどういう感じなのか。
眠りにつくときは。死が目の前に来たときは。

語り手である「カケイさん」の人生は(当時の女性にとっては珍しいことじゃなかったかもしれなけれど)壮絶で、それが老いの中でどのように残り、呼び覚まされて、繋がっているのかが見えてくる。

あと、この小説の「切れ目のなさ」みたいなのが、途中まで不気味だった。でも人生ってそうだよね、本みたいに章にわかれてるわけじゃない。タイトルも題名もついてない。死ぬその日まで、朝と夜の繰り返しとともに続いていくんだ。

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