見出し画像

IFCの概要

BIMソフトウェアの導入やプロダクトの選定時に、ソフトウェアについてだけでなく、既存のワークフローの変化やデータ連携についても把握しておく必要があります。今回はBIMでのデータ連携において不可欠なファイル形式の「IFC」をテーマに基本情報をご紹介します。


■IFCの概要

Industry Foundation Classes(IFC)は、建築、エンジニアリング、建設(AEC)業界でのデータ交換を標準化するために開発されたオープン標準です。buildingSMART Internationalによって開発されたこの標準は、異なるソフトウェア間での情報交換を容易にし、プロジェクトの効率とコラボレーションを向上させることを目的としています。IFCは、建物やインフラストラクチャのデータを統一された形式で表現し、関係者全員が共通の理解を持てるようになるため、設計、施工、運用の各フェーズでの情報共有がスムーズに行われるようになります。


■IFCスキーマバージョン

IFCスキーマバージョンとは特定のデータモデルやフォーマットの特定のリリースのことを意味します。IFCは、1997年に初めてリリースされて以来、数回にわたってバージョンアップされてきました。各バージョンは、業界のニーズに応じて新しいエンティティやプロパティセットを追加し、データ交換の精度と効率を向上させてきました。以下に主要なバージョンとその特徴を詳細に説明します。

□IFC 1.0 (1997年)

IFCスキーマバージョンとは特定のデータモデルやフォーマットの特定のリリースのことを意味します。IFCは、1997年に初めてリリースされて以来、数回にわたってバージョンアップされてきました。各バージョンは、業界のニーズに応じて新しいエンティティやプロパティセットを追加し、データ交換の精度と効率を向上させてきました。以下に主要なバージョンとその特徴を詳細に説明します。

□IFC 1.0 (1997年)

最初のリリースであるIFC 1.0は、基本的な建築要素の定義に重点を置いています。このバージョンでは、壁、窓、ドアなどの基本的な建築エンティティが定義されており、これらを用いて建物の基本的なモデルを作成することができます。

□IFC 2x (2000年)

IFC 2xは、IFC 1.0の主要な改訂版で、新しいエンティティとプロパティセットが追加されました。このバージョンでは、より複雑な建築要素や構造要素がサポートされ、設計と施工の情報交換が改善されました。また、プロジェクト全体の管理とコーディネーションがより効率的に行えるようになりました。

□IFC 2x3 (2006年)

IFC 2x3は、プロパティセットとエンティティのさらなる拡張が行われたバージョンです。新たに追加されたプロパティセットにより、詳細な設計情報や施工情報を含むモデルを作成することが可能になりました。また、IFC XMLのサポートが追加され、データの相互運用性が向上しました。このバージョンは、広範な業界利用が促進され、多くのBIMソフトウェアで標準的にサポートされています。

□IFC 4 (2013年)

IFC 4は、IFC 2xシリーズの完全な改訂版で、新しいエンティティ、プロパティセット、モデルビュー定義(MVD)が導入されました。このバージョンでは、データの表現力と互換性が大幅に向上しており、より精細なモデルを作成することができます。IFC 4は、複雑なプロジェクトの情報管理やコラボレーションを支援し、設計から施工、運用までの全フェーズでの利用が可能です。

□IFC 4.3 (2021年)

最新のバージョンであるIFC 4.3は、特にインフラストラクチャに焦点を当てた拡張が行われました。道路や橋梁、鉄道などのインフラ要素が新たにサポートされ、これらのプロジェクトにおける情報交換が一層効率的に行えるようになりました。


■IFCエンティティ

IFCエンティティとは、データモデル内の基本的な要素や構成要素を指します。これらは建物やインフラストラクチャの情報を表現し、構造化された方法でデータを交換するための基本単位です。
IFCエンティティは属性や関係を持つことで詳細な情報を提供します。例えば、IfcWallエンティティは、壁の高さ、厚さ、材料などの属性を持ち、他のエンティティと関係を持つことで、建物全体の構造や配置を表現します。


■MVD(Model View Definition)

MVDは、IFCスキーマの特定の部分セットを定義したもので、特定の使用ケースやアプリケーションに必要な情報のみを含むものです。異なるソフトウェアツール間でのデータ交換を効率的に行うために設計されており、特定の目的に合わせて最適化されています。
MVDには以下のようなものがあります。

□Coordination View

設計チームと施工チームの間で3Dモデルの整合性をチェックするためのビュー。主に建築要素や構造要素に焦点を当てます。

□Reference View

特に設計レビューとコーディネーションに焦点を当てたビュー。プロジェクトの異なるステークホルダー間で3Dモデルの整合性を確認し、調整を行うための基本的な情報を提供します。

□Design Transfer View

設計データを別の設計ツールや分析ツールに移行するためのビュー。詳細な設計情報を含みます。

上記以外のMVDについてはbuildingSMARTの公式WEBサイトにて確認することができます。


■Autodesk Revitとの関係、Revit 2025のIFC機能強化

Autodesk Revitは、BIMソフトウェアの中でも特に広く使用されており、IFC対応の継続的な強化が行われています。Revitは、設計、施工、運用の各フェーズでの情報管理を支援し、プロジェクトの効率を向上させるためにIFC標準を積極的に取り入れています。先日リリースされたRevit 2025においてもIFCの機能が強化されました。

□IFCエクスポートの強化

Revit 2025では、エクスポートされたIFCファイルの有効性を向上させるため、ユニットの保存方法やエンティティのカスタム表現のサポートが改善されました。これにより、エクスポートされたファイルがより正確で信頼性の高いものとなり、異なるソフトウェア間でのデータ交換がスムーズに行えるようになりました。

□IFC 4.3のサポート

最新のIFC 4.3バージョンを正式にサポートしており、最新の業界基準に対応しています。これにより、インフラプロジェクトの情報管理が一層効率的に行えるようになりました。

□安定性とパフォーマンスの向上

複雑なジオメトリや非標準の表現を持つプロジェクトに対して、エクスポートの安定性が向上し、データ交換の信頼性が高まりました。これには、ジオメトリ変換の問題の修正や大きな座標値の処理の改善が含まれます。

□IFCファイルのリンクとインポート

非標準ながら有効な表現を持つIFCファイルのリンクおよびインポート機能が改善されました。特に、Desktop Connectorなどのプラットフォームに保存されているIFCファイルを扱う際の安定性が向上しています。

これらの更新により、Revit 2025は、BIMワークフローにおいてより強力で信頼性の高いツールとなり、異なるソフトウェアプラットフォーム間でのデータ交換がよりスムーズかつ正確に行えるようになりました。IFCスキーマとRevitの連携により、建設プロジェクトの関係者間での円滑な情報共有とプロジェクトの成功が期待できます。


■まとめ

BIMを扱う上で避けて通れないIFCについて、今回の記事では簡単に概要をまとめました。openBIMが謳われる中でIFCは非常に重要な位置づけであり、この技術を通して様々なソフトウェアやツールが情報を一貫してやり取りできるため、理解を深めておく必要があります。


■各種コンテンツの紹介

ArentではBIMやRevitに関する様々な情報を配信しています。BIMを活用し、圧倒的な業務効率化を実現する方法やRevitのTipsなど、日々の業務のお困りごとを解決するヒントとしてお役立てください。

▼BIM×自動化で圧倒的な業務効率化を生み出す

▼Revit Tips & Tricks


■Arentについて

Arentは強みの建設業界へのドメイン知識や技術力を活かし、BIMと自動化技術の融合によるDXを推進しています。BIMを活用したDXや業務効率化に関するご相談は以下よりお問い合わせください。


■著者について

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?