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【Arentが考えるDX】海外のDX成功事例と国内注目企業の実情 〜日本のDXが大成しない理由 前編〜

こんにちは、Arentです。

ここ2年はコロナ禍も相まって、多くの企業でリモートツール導入をはじめとしたDXが急速に進みました。また、2021年9月1日にはデジタル庁が発足。今後は日本全体として、ますますDXが推進されていくでしょう。

一方、国内ではDXの成功事例がまだ豊富にありません。そのためDXで目指すべき状態や具体的な方法が分からない企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、日本のDXが大成しない理由について、前編と後編に分けて紹介します。前編となる本記事では、海外におけるDX成功事例を挙げるとともに、経済産業省が選定した国内のDX注目企業の現状を紹介します。


海外のDX成功事例


海外ではDXで業務効率化を図るとともに、大きく企業価値を向上させた成功事例があります。今回はIPA(情報処理推進機構)の資料「アメリカにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の現状」を参考に、海外のDX成功事例を3つ紹介します。


①ドミノ・ピザ

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出典:Google Finance

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ドミノ・ピザは2009年4月にYouTube上でバイトテロ動画が拡散され、ブランドイメージを大きく損ないました。この経験からSNSの影響力の高さを痛感した同社は、複数のメディアチャンネルの活用を開始。2010年にはCDO(最高デジタル責任者)を置き、「Domino's AnyWare」プログラムをスタートさせました。

同プログラムは、顧客があらゆるチャンネルを通じて、素早くピザの注文ができる仕組みです。ドミノ・ピザはスタートアップのような戦略を打った結果、年間収益は2008年から2019年で2.5倍以上増加。株価は2010 年1月から2018年7月中旬までで36倍以上に。これは大手IT企業であるGAFAM(Google・Apple・Facebook・Amazon・Microsoft)の成長率を大きく上回る結果です。

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ドミノ・ピザとGAFAMの株価成長率

ドミノ・ピザのDXについては以下の記事もあわせて参考にしてください。

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【Arentが考えるDX】これからやるべきデジタルビジネスの形とは?

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②Netflix 社

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出典:Google Finance

Netflixは1998年、世界初のオンライン郵送DVDレンタルサービスを開始しました。1999年9月には定額制レンタルサービスを開始。延滞料金を収益軸とする従来のビジネスモデルからの脱却に成功しました。

2000年以降はレコメンデーション機能を導入。これは現在の経営判断の主軸にもなっている重要な機能です。2005年には会員数が420万人を突破。毎日100万枚ものDVDがレンタルされるようになりました。

2007年からは定額制動画配信サービスをスタート。2013年からはオリジナル作品の制作・配信も開始。視聴者の行動分析など、ビッグデータ解析をもとにした経営を行っています。

その結果、Netflix 社の有料会員数は、2020年7月時点で全世界約1億9,300万人を突破。年間収益は2007年から2019年で13倍以上増加しました。

③Experian 社

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出典:Google Finance

世界90カ国以上でデータ・分析ツールを提供している Experian 社。同社は「文化・組織トランスフォーメーション」でDX成功を収めました。

DXの真の成功のためには、組織の概念や習慣、プロセス、人材や能力を再定義する必要も出てきます。Experian 社では組織内APIを用いてアジャイル開発を実践。データにフォーカスしたワークフロー体制を整え、DXを推進しました。

その結果、ここ10年間で株価は5倍以上上昇しています。


国内“DX注目企業”の実情


ここまで事例として紹介した3つの海外企業は、DX推進とともに大幅な企業価値上昇に成功しています。一方、日本国内はどうでしょうか。

ここからは経済産業省が選定したDX銘柄(DX注目企業2021)を例に見ていきます。

DX注目企業2021は、「特に企業価値貢献部分において注目されるべき取り組みを実施している企業」を経済産業省が選定したもの。以下はDX注目企業2021として挙がっている10社の株価です(参照:Google Finance)。

■ 日清食品ホールディングス株式会社(食料品):8,410円
■ 株式会社ワコールホールディングス(繊維製品):2,126円
■ ユニ・チャーム株式会社(化学):4,990円
■ 大日本住友製薬株式会社(医薬品):1,373円
■ AGC株式会社(ガラス・土石製品):5,590円
■ 三菱重工業株式会社(機械):2,664円
■ 富士通株式会社(電気機器):19,725円
■ 大阪瓦斯株式会社(電気・ガス業):1,896円
■ ANAホールディングス株式会社(空運業):2,383円
■ 日本電信電話株式会社(情報・通信業):3,130円

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出典:Google Finance

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出典:Google Finance

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出典:Google Finance

上記のうち、もっとも成長が大きかったのがユニ・チャームです。10年間で株価が5倍以上上昇しています。
ただしユニ・チャームのこの成長は、DXの成果によるものかと言われると疑問が残るでしょう。

ユニ・チャームは近年、アジアの途上国を中心とした売上拡大、ベビーケア事業からフェミニンケア事業への新展開、途上国における女性の自立支援などSDGsへの取り組みも推進しています。

また、大きく成長しているとはいえ、ドミノ・ピザやNetflixのような突出した成長までには至っていません。

つまり日本国内では「DX注目企業」とされる中でも、「DXで業績も株価も圧倒的に上昇している企業」はなかなか存在しないと言えます。では日本のDXにはどこか問題があるのでしょうか。これについては後編記事で解説します。

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後編記事
【Arentが考えるDX】日本のDXの問題点とは 〜日本企業のDXが大成しない理由 後編〜

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