『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』作者・和田正雪先生にインタビューさせて頂きました!

はじめに

先日刊行された、青春恋愛ホラー小説『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』(通称:よみかの)が話題になっています。

今回は『よみかの』の作者である和田正雪先生に作品の制作秘話や背景についてのインタビューを行いました。和田先生の自称古参ファンである私としては小説を発表するというツイートを見た時は、心から嬉しく思いました。

カクヨム版の『よみかの』は、和田先生のこれまでの作品とはまた違った独特の雰囲気がありました。ホラー初心者でしたが他の作品同様にテンポ感が素晴らしく、サクサクと読み進める事が出来ました。最後の一文を読み終えた後の読了感は、他の追随を許さない最高峰の作品だと思います。

お忙しい中、協力してくださった和田先生に心より感謝申し上げます。

本文

和田=和田先生 ウ=ウミウシは良いぞ
以降敬称略とさせていただきます。

1.自己紹介

ウ:本日はお忙しい中、取材を受けて頂きありがとうございます。自己紹介をお願いします。

和田:和田正雪です。趣味は麻雀と小説です。特にどのジャンルが好きというのはなくてなんでも読みます。 最近、読んだというか読み返したのは『火蛾』ですね。文庫化のニュースを見てまた読みたくなったので。もちろん文庫も買います。ネタバレになるので言えないんですが、ラストがすごく好きでこういうラストを書きたいと常々思ってますね。強い影響を受けた一冊です。

2.プロットや構想期間について

ウ:プロットや構想期間についてお伺いします。『よみかの』の作成に当たり悩んだシーンなどや没シーンなどがあれば制作秘話としてお伺いしたいです。

和田:『よみかの』はプロットなしで書いてます。この作品以前は割としっかりプロットを書いていたんですが、この時は冒頭とラストの一文だけ決めていきなり書き始めました。どうしてそうしようと思ったのかは覚えてないんですが、違う書き方を試してみたかったとかそんなところだと思います。 そんな感じで勢いで書き始めたので途中で続きが思いつかなくなって半年ほど放置していて、またふと続きを思いついて執筆を再開して完成させました。 没シーンというと、一章丸ごとなくなっています。怪談の現場に行ったら反社の違法取引の現場だったというエピソードが初稿には入っていたんですが、明らかに浮いていたのでカットして呪いのビデオと廃屋へ行くエピソードに差し替えました。

3.アイデアの練り方

ウ:カクヨムで掲載されているエッセイの中の『最終選考の落ち方』を拝読しましたが、和田先生の作品は一風変わった作品が多いような感じがします。そこで、アイデアの泉となる物を教えて頂きたいです

和田:基本的にはその時その時の興味とかハマってるものについて書くことが多いですね。実話怪談がマイブームだったから、『よみかの』書いて、友達と行った地下アイドルのライブが面白かったから『あなイカ』(初めて略してみました)書いて、とかそんな感じです。ウミウシさんも影響を受けたという(笑)『SF飯』はもともと『孤独のグルメ』が好きだったんですが、サイバーパンク2077にハマっていた時にグルメとサイバーパンク両方書きたくなったので同時に書きました。

ウ:なるほど。和田先生の『SF飯』が滅茶苦茶好きでどのような経緯で書かれたのか気になってたんですが、『孤独のグルメ』の要素も入ってたんですね。

(和田先生の『SF飯』は短編ですが、混沌としたサイバーパンク感に加え、えげつないディストピア飯が非常に魅力です。一時期SFグルメものを死ぬほど漁ってた時期にこの作品と出会い、以降自分の創作の原点とも言えるので本気でオススメです)

4.出版してからの生活の変化

ウ:小説家デビューすると色々な変化があると、巷では良く聞きますが『よみかの』が出版されてから生活に何か変化などはありましたか?

和田:特になんの変化もないですね。本が出るのをきっかけに疎遠になっていた旧い友人たちに連絡できたくらいです。

5.創作のモチベーションの上げ方

ウ:創作をしていて、壁にぶつかったり、モチベーションが上がらなくなる事はありましたか?

和田:そもそも趣味で書いていて、書かなきゃいけないという焦りとかとは無縁でやってきたのであまりモチベーションというのを意識したことがないんですが、強いて言うなら書きたいことがない時は書かずに遊んだり違うことをするのが良い気がします。書きたいことがある時が書くべき時なのかなと。 書きたくないのに無理して書いても良い作品にはならない、と思っています。

ウ:なるほど。確かに、一度作品を寝かせてみるのも手かもしれませんね。

6.創作を始めたキッカケ

ウ:創作を始めるきっかけは人によって各々だと思いますが、和田先生が小説を書き始めた理由は何でしょうか。

和田:大学4年の夏にバイト先が潰れたんですが、就職までの期間に新しいバイトを探すのも億劫で暇な時間に小説を書き始めました。 せっかくだからと投稿したら、割と良いところまで残ったことに味を占めてそのまま趣味として細々と続けています。

7.ホラーの書き方

ウ:私は完全にホラー初心者で、ホラージャンルの創作をしたことがないのですが、どのような事を意識して書いているか教えてください。

和田:基本読者を怖がらせようと思って書いてないんですよね。 不思議なこととか人智の及ばないものを描いているんですが、登場人物がそれに対して恐怖心をいだけば、読者さんも自然と怖いと感じるのかな?と思います。

ウ:なるほど。ホラー書いたこと無いので滅茶苦茶難しいイメージがあるんですけど、やっぱり難しい部分ってありますかね。

和田:ホラーならではの難しさみたいなのは特に感じたことないですね。

ウ:え!そうなんですね!一度私も挑戦しようかな……。

和田:良いと思いますよ、SFとホラーは意外と近いもののような気がします。 得体の知れないものの正体が霊的なものとか恐怖を覚えるものならホラー、科学的に解明できるならSFくらいに私は思ってますね。

ウ:あ〜なるほど。そう言われると書ける気もしてきました(笑)

ウ:最近はカクヨムで何となくホラージャンルが推されている気がしますよね。和田先生がオススメしていた『近畿地方のある場所について』とかすごい伸びでしたよね。私も読みましたが、本当に怖すぎて泣きます。

和田:近畿地方が当たって、ホラー読者が増えたからプラットフォームとしても盛り上げたいのかもしれないですね。

ウ:規模が大きくなり、もっとカクヨムが盛り上がると嬉しいですよね。

8.今後カクヨムから文芸作品として書籍化したい人にアドバイス

ウ:カクヨムさんから文芸ジャンルとして書籍化されるケースが最近増えていますが、何かアドバイスがあれば教えてください。

和田:編集者さんに聞いてほしいというか、カクヨムに先日載っていた文芸座談会の記事を読んでいただくのが一番だとは思いますが(笑) 私が思うに、編集者さんたちはかなりちゃんとカクヨムの作品も見てくれているので、自信作はあまり読まれていなくても途中で諦めずにちゃんと完結させて置いておくといつか良いことがあるかもしれないなと思います。

お礼

今回は和田正雪先生にお話しを伺いしました。お忙しいスケジュールの中、貴重なお時間を割いて取材にご協力いただき、心より感謝申し上げます。

取材を通じて、和田先生から様々な創作のヒントが得られたと思います。

『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』は全国の書店で絶賛発売中です。ホラーが苦手な方でも楽しめる一冊となっております。読み始めたら止まらなくなるテンポ感と、世界観、そして最後の一文に魅了されること間違いありません。皆様にぜひ手に取っていただき、この素晴らしい物語を体験していただきたいと思います。

オカルト雑誌編集部で働く大学生ライター×異界へ行くことを夢見る「赤い女」

ラストが深く沁みる、新時代の青春恋愛ホラー

零細出版社でアルバイトをしている大学生の米田は、雑務やHPの更新の他に実話怪談の記事の執筆を担当している「怪談ライター」だ。

ある日米田は取材の最中に、乃亜という不思議な、赤い服を着た女性と出会う。

彼女はオカルトマニアで実際に怪談の現場に多数足を運び、科学的に証明できるのかどうかや、再現性がある事象なのかどうかを確かめているのだった。

そして乃亜は怪談の中でも特に「神隠し」について執着しており、自らもいつか異界へと行くことを夢見ていた。

初めはかかわり合いになりたくないと感じていた米田だったが、深夜のオカルトスポット巡りなどのまっとうではないデートを通じて、否応なく距離を縮めていく。

だが彼女には、怪異にまつわる切ない過去があった――。

そして夏休み、米田と乃亜は、奇妙な祭りの風習があるという話を聞いて、後輩の実家がある山奥の土地に赴いたのだが……。

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僕の彼女は、怪談になった――。

大切な人に会いたくなる、切なくみずみずしい青春恋愛ホラー
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※Web小説サイト「カクヨム」投稿作に大きく加筆修正をし書籍化。

装画=春 (『ノーコピーライトガール』)

KADOKAWAホームページより引用

最後に

最後までお読み頂きありがとうございます。

和田先生、改めてお忙しい中、取材協力ありがとうございました。

当メディアは、先生方を始めとする皆さまのご厚意によってインタビュー記事が企画、公開されています。

記事へのハートマーク等、励みになりますので、ご協力お願いします。

以上、アルティメット文芸ジャーナルでした!!!

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