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ある深夜の仕事中に誰もいないはずの場所に

これは私が20年以上前に体験したお話です。

その頃、私は事業を立ち上げようとしていてそれまで会社員として働いていた会社を退職し、派遣社員として夜間に仕事していました。

その頃は昼間は事業の仕事をしていて収入を得るために、派遣社員として深夜に仕事をしていました。

そこで起こった時の話をします。

今から20〜25年前になりますが、昼間は事務仕事をして夜間は派遣社員として派遣先の仕事をしていました。

派遣先はというと従業員10,000人位が働いている規模の会社だと覚えています。

派遣先の会社の場所は地方都市の郊外で4階建てのビルが畑の中にポツンとあるような場所で夜になると真っ暗な場所でした。

仕事はというと昼間に正社員さんが修理した基盤をパソコンを使って動作チェックするという仕事で修理上がりの基盤をセットしプログラムを動作させて正常に動作するかどうかチェックする仕事です。

一度動作チェックを行うと20分位は何もすることがなく、完了後のエラーが出ないか確認し、エラーが出た場合は画面をプリントアウトしてエラー項目を基盤に貼り付けNGへ、エラーが出なければ動作OKで完了箱に入れるという仕事です。

仕事は夜の20時から次の日の朝5時までで休憩は22:00〜22:15と深夜3:00~3:15とご飯休憩 深夜0:00~1:00までの合計1時間30分ありました。
昼間の正社員の方は朝8:00~夕方17:00までが定時でそれ以降は残業になるので
私は19:30までに仕事場に到着するようにしていたので社員さんが残業しない限り
会うことは無かったです。

また派遣社員はというと私が入った頃はすでに40歳代の男性の方と20歳代の男性の方が働いていました。
そこに私が加わって3人で夜間の仕事をすることになりました。
仕事は一旦動作をスタートしてしまえば20分位は何もすることがないのでスタートした後は音楽を聞いたり本を読んだり自由でした。
一応食堂は建物内にありましたが、夜は食堂ももちろんやってることはないのですが、食堂にホットスナックの24時間販売の自動販売機があり、カレーや牛丼、など10種類位の温かい物が食べられたので時々利用していました。
私たちが仕事をしていたのは4階建てのビルのうちの3階で1フロアで横30m奥行50mの広いフロアですが、私たちがいるフロアの1/3は明るいですが、残り2/3は消灯してあり真っ暗でした。

夜間は私たち以外に仕事している人はおらず4階建てのフロアで仕事している以外は全てのフロアは消灯しています。

それ以外の人と言えば警備員さんが私たちが仕事している間に3回位見回りしている位でその他は人はいません。

わたしが入った頃は夏でしたのでまだ良かったですが、秋-冬になるにつれて夜が更に暗くなり、建物は国道に面していましたが夜間だと交通量も多くなく建物内で物音とかはまずすることはありません。

音と言えばパソコンの操作音と完了し箱に入れるとまた新しくチェックする基板を取り出そうとぐらいの音しかしない静かな環境での仕事でした。

お昼時はお弁当を持って行くこともありましたが、出勤途中でコンビニでお弁当を買ったりまた忘れた時は最上階(4階)の食堂でホットスナックを食べたりもしました。
レトルトですがわりと美味しかったのでよく利用していました。
地方都市の郊外のところでしたので夜は真っ暗で私たちが作業してる以外のところは本当に真っ暗闇です。

私は20歳代前半位の方とは気が合いよく話をしていました。

40歳代の男性(仮名:田畑さん)は仕事はゆっくりで怠けていた印象があり、20歳代の男性(通称:おっくん)は真面目に仕事をしていました。
私が働いて1ヶ月位になるあたりから20歳代男性(通称:おっくん)とは、ご飯休憩を一緒に取るようになりよく話をしました。

そこである時20歳代男性(以下おっくん)が幽霊って信じますか?っていきなり聞いてきたのです。
またふざけているのかと思って笑いながら顔を見ると顔が真剣そのものでした。
何かあったのと聞くと私が行く前は一人でここで仕事をしていて一人しかいないのに
物音がすると言うんです。
ちょっと笑ってしまいましたが、おっくんは笑っていませんでした。
40歳代の男性(以下田畑さん)にもその話をしましたが、そんなことは初めて聞いたと言って笑っていました。

私が仕事に慣れて6か月経った頃、私が用事があって仕事に行けない事があってその日、田畑さんも行けなくておっくんが一人で仕事をしたそうです。
その時からおっくんは仕事を休むことが多くなりました。
そして最終的に辞めました。

派遣の営業の人に確認すると夜中に音がして怖いと言って辞めたといいます。
何か変な辞め方だなと思いましたがその時はそのまま体調が悪いのかと思って納得しました。
それから1か月しないうちに新しい人が入って来ました。
年齢はおっくんより少し年上の20歳代後半位の男性(以下たっくん)でした。
たっくんは不真面目ではないですがマイペースでゆっくり作業をするタイプでした。
たっくんは基盤テストがスタートすると休憩室でタバコを吸っていて10~15分位で自分のパソコンの席に戻ってきてその繰り返しでした。
仕事としては土日祝日は基本休みですが、忙しい時だけ出勤してくれとの依頼があり私は予定があったので出勤は断りはした。
その次の日出勤してみるといつもはあまり話をしない田畑さんが話しかけてきて
たっくんが昨日の夜、仕事の途中で勝手に帰ったというのです。
よくよく聞いてみると田畑さんも昨日は出勤しておらず、たっくんが一人で仕事したそうです。

たっくんはマイペースだけど勝手に帰るような人ではなかったと思います。
よく聞いてみると夜中に一人で仕事していると大きな金属音がして怖くなって帰ったと言います。

何か変な話だなと思いその日は2人で仕事を終えました。

それから1か月しないうちに田畑さんも夜勤が辛くなってきて辞めることにしたと言ってきました。

そこから私一人の夜勤が始まり一人夜勤が3か月が経とうとする位から3階のフロアの
2/3の消灯している方から小さい音ですが「カチャッ」という音がしているのに気付きました。

最初のうちは「カチャッ」と機械の動作音にまぎれていたのでわかりませんでしたが、
考えてみたら人がいないのに音はしないなと思って3階フロア全ての照明を点灯させて
隅まで確認しに行きましたが行くと音がしなくなるので気のせいかと思い、また仕事に戻りました。

そのうちにいつも音がしているのでそういう物かと思い気にならなくなりました。
そこから2か月が経過して「カチャッ」という音が隣のパソコン辺りからしているのに気付き何かおかしいな?と思うようになりました。
一人仕事になって3か月が経つ頃の深夜3時過ぎにそれは起こりました。
3階フロアの消灯している箇所から厚手の金属を両手に持って力いっぱいに叩きつけたかのような音が「カンカンカンカン」と音がしたのです。
最初は何が起こったかわからなくて暗闇をずっと見ていましたが、私しか人がいない暗闇の同じフロアでしかも深夜3時に金属を叩きつける音を出す作業はしないし、もし警備員がいてもそんな音出さないよね?と思い3階フロアを全て点灯させました。
フロアの端まで見に行きましたが誰もおらずこれはかなりおかしいと思い始めました。
3階フロアの床から天井までの高さは3m位あって天井には直線型の蛍光灯が付いています。
そして、パソコンのキーボードと照明の間には何も邪魔する物は無いのですが、キーボードを打ち込んでいると黒い影が横切るのです。
帰りたい気分ででしたが仕事が終わってそれからは、自宅でも同じような「カチャッ」という音がするようになり着いてきたのかなと思い友人に相談すると霊感の強い人を紹介してくれて見てもらうと、今の派遣先の仕事場が霊の通り道で着かれてしまったのではないかというのです。
通りすがりだから大丈夫だけど念のためお祓いしてもらった方が良いというのでネットで調べて霊のお祓いをしてもらえるお寺を探して行った所「うちがそういうお寺だとよくわかったね」と言われました。
気分的な問題かもしれませんがその日から音も金属音も黒い影もしなくなりました。
あれは今でも怖かったです。
今でも思い出すと背筋がぞっとします。
これを書きながら背筋に寒気が走っています。
 
 


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