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Maison Matineの反抗。リフレッシュコレクション編

今回は、メゾン・マティン(Maison Matine)のディスカバリーセットから、「リフレッシュコレクション(3種)」のレビューをお届けします。

メゾン・マティンの紹介と、ボイジャーコレクションをレビューした前回はこちらをご覧ください。


LOST IN TRANSLATION|ロスト イン トランスレーション

春の陽光を浴びた森の中で、一服する旅人の姿が目に浮かぶ。清々しくも甘い緑の香りが、謎めいた旅人への興味を掻き立てている。

静寂の中、紅茶の香りが立ち昇り、煙草の煙がそれに寄り添いはじめる。木々の香りが次第に濃くなり、空間を満たしていく中で、レザーの匂いが微かに漂う。それは旅人の靴か、あるいは鞄からだろうか。やがて霞がかかったように、芳しい香りが全てを包み込む。それは官能的でありながら、どこか儚い。

この香りは、深遠な森の中で見つけた秘密の花園のようだ。深みのある香りの中に複雑さを秘めており、その魅力は、誰もが簡単に理解できるものではないかもしれない。

調香師:Laurent Marrone(ローラン・マローネ)

NATURE INSOLENTE | ナチュール アンソロント

爽やかな陽光が降り注ぐ。柑橘の香りが弾けるように広がり、オレンジとレモンの甘酸っぱさが、心を躍らせる。その熱を冷ますように、ミントの涼しげな風が吹き抜けスズランの繊細な香りが、そっと寄り添う。

どのように香るのか予想がつかなかったメロンの優しい甘さが、意外にも他の香りが強くなりすぎないよう、巧みに調和を保っている。次第に、大地の力強さを感じさせる深い木の香りが、静かに主張を始める。そして、柔らかなムスクの余韻が長く続く。

この香りは、夏の日差しと木陰の涼しさを同時に感じさせる。爽快さと落ち着きのバランスが心地よく、完璧な夏の一日を閉じ込めたようだ。

調香師:Philippine Courtière(フィリピン・クーティエー)

POOM POOM | プンプン

キウイの鮮烈な酸味が、花々の芳醇な香りに先駆けて広がり、その意外性に笑みがこぼれる。やがて、キウイの主張が静まると、花園の風景が目の前に広がる。

それは決して甘すぎない。ウッディな香りが、花々の甘さを抑え、バランスを保っている。そこへ、バニラの温かな香りが静かに忍び寄る。クリーミーな甘さが全体を包み込み、温もりを感じさせる。

この香りは、肌の温度によって表情を変える。温度の高い場所ではバニラが主役となり、安定した場所では控えめな甘さが長く続く。まるで生きているかのように、時間と共に、そして肌の状態に応じて変化する。付ける人それぞれの物語を紡ぎ出すかのように。

調香師:Remi Barbier(レミ・バルビエ)

まとめ

ここまで計5本をレビューしました。最後のコレクションは6本あります。

まだメゾン・マティンの香りの傾向が分かってきたとはいえませんが、全体的に香りの変化に意外性があり、似ているようで似ていないのが興味深いです。特に「NATURE INSOLENTE | ナチュール アンソロント」のメロンの香りは、他の香水ではあまり目にする成分ではなく、予想がつきませんでした。個人的に違和感は覚えませんでしたが、好みが分かれるかもしれません。

次回のオリジナルコレクション(6種)には、思わずNOSE SHOPに問い合わせるほど困惑した香りがありました。その体験も含めて、次回のレビューでゆっくりお伝えしていきます。

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