見出し画像

エンジニアからデザイナーへ。運命的な出会いが人生を変えた

皆さま、はじめまして。アーキビジョンの澤谷(さわたに)と申します。長年、プログラマーとして開発現場にいましたが、なぜUI/UXデザインの世界に入り、起業するまでに至ったのか、自己紹介を兼ねてお話しさせてください。

遊ぶ側より作る側に行きたい

高知県で生まれ、東京で育ちました。私がこの業界に入ったきっかけは、任天堂から発売されたファミコンです。小学生のお小遣いで買えるものではなく、両親にも買ってもらえず、ガラスケースに展示されたファミコンを眺める日々が続きました。

そんな中、ある日、おばあちゃんが突然買ってくれたのです。手に入らないと思っていたものが目の前にあり、友達と夢中で遊びましたが、次第に「このゲームはどうやって作られているのだろう」と興味が作る側にシフト。プログラマーという仕事があることを知ったのはまだ先でしたが「遊ぶ側よりも作る側に行きたい」という想いがはっきりと芽生えた瞬間。

私がプログラマーを目指す原点になったエピソードです。

プログラミングにしか興味がない変人

学業から最初の就職先まで、とにかくプログラミングに夢中でした。家族、友達、恋人、すべての人間関係をおそろかにしてまでプログラミングに没頭する毎日。

最初の就職先は学生時代のバイト先です。企業向けの業務アプリを開発している会社でした。そこでは変人扱い、人付き合いをほとんどせずにプログラミングにしか興味を示さない変な若者、という感じだったんじゃないかと思います。たくさんの業務アプリの開発に携わりましたが、当時の自分は使う人のことなんてまったく考えてませんでした。なんの根拠もない自信だけがエネルギー、自分が良いと思うものを自分の好きなやり方で作るだけ。

人の話を聞かない、アドバイスにも耳を傾けない。本当に生意気な若者だったはずですが、まがいなりにも動くものが猛スピードで上がるので、いつの間にか会社では若手のホープ扱いになり、誰からも口出しされず仕事に没頭できる自由を与えられることになります。

ユーザーの言葉が生き方を変えた

転機はある取引先のプロジェクトマネージャーとの出会いです。その人から不意に「いつもありがとう」と言われました。私が設計・開発したアプリが、その企業の年間最優秀プロジェクトに選ばれたそうなんです。

受賞はこれで2度目。前回は優秀賞でしたが、今回は最優秀賞。賞なんて私にとってはどうでもいいことでした。終わったことに興味なんてない。頭は次のプロジェクトのことでいっぱい。懇親会がセッティングされ、うんざりしましたが、さすがに主役がいかないのはまずいだろうと上司に説得され、いやいやな気持ちで参加することに。

お寿司をごちそうされました。懇親の場には知らない人たちがたくさん。現場で実際にアプリを使っている人たちです。その人たちからも「ありがとう」といわれました。私が作ったアプリで仕事が楽になったとか、この機能が気に入っているとか。お酒が進むと、並び替えができなくて困っている、という手痛いフィードバックも。

ビールを持つ手が震えていました。アプリの先に感情を持った人間がいることを、初めて認識した瞬間です。

こうして、独りよがりでプログラミングしてきた恥ずかしい時代が終わり、ひとつひとつの接点で、使う人の姿を想像しながら丁寧にものを作るようになっていったというわけです。

自分にしかできないという静かな決意

会社での立ち振る舞いも変わり、立ち上がるほとんどのプロジェクトでUIデザインを任されるようになりました。裏側の仕組みや技術を熟知していて表側のデザインもできるスキルはいまでも重宝されます。エンジニアとデザイナーの間で起こるいざこさを鎮めるアイスブレイカーとしてプロジェクトに参画することも多かったです。

人と関わることが楽しくなり、もっと人を笑顔にできる場所を目指して外資系企業に転職しました。そこでUIデザインをやりながら、UXデザインもカバーするようになったのは自然な流れだったと思います。一方で、人のことを考えすぎて若い頃のエッジを失っていました。何をするにも慎重になり、いつしか組織の都合を優先しながらうまい具合に事を丸め込む人間になりつつあったのです。

着実にキャリアを積み重ね、クライアントから名指しで仕事を依頼されるようにもなっているのに、なにかしこりが残る仕事ばかりしている。

こんな生き方を目指していたっけ?と自問自答するなかで、ふと周りを見渡すと、業務アプリの使いにくさのせいで毎日遅くまで残業する人たちの姿がありました。自分はその使いにくいアプリを生み出した張本人の一人といえるはずです。この人たちが置かれた現状を何とかする責任があるはずだ、と危機感がどんどん募っていったのです。

心おどる一歩先のクリエイションを

優秀な人材が、使いにくいシステムに足を引っ張られて、自分が持つ本当の力を発揮できずにいる姿を当事者として長年見てきたからこそ、「業務システムは使いにくくて当たり前」という悪しき認識をぶち壊したい。この人たちのパワーを、その先にいる人々に届けないと世界は変わらない。簡単ではないけど誰かが動かなければ何も始まらない。そう思いたって設立したのがアーキビジョンです。

人生を楽しんでいない人にワクワクは生み出せない。だから私たちは、自分たちが心おどるワークプレースで仕事をしています。そこで生まれる力が顧客、そして、その先にいる人々のワクワクにつながると信じて。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?