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香水主観レビュー

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その日の気分を高めてくれる香水。ニッチな香水を中心に主観レビューしていきます。
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2024年7月の記事一覧

Maison Matineの反抗。ボイジャーコレクション編

メゾン・マティン(Maison Matine)は、2019年にマリー・ケルーとアーチュー・ポンロアによってパリで創設されたニッチフレグランスメゾン。従来の工業的なものづくりから脱却し、新時代にふさわしい独自のフレグランス創造を追求することを目的として設立されたそうです。 ブランド名「MATINE」は「反抗と朝」をかけ合わせた造語だそうです。挑戦的でありながら、際立ち過ぎない個性があり、不意に笑みがこぼれるような新しさを感じる香りはとても魅力的ですね。ユニークな商品名と、現代

英国のエレガンス JO MALONE。レイアリング推しの本家

今回はJO MALONE(ジョー・マローン)。ブランド名のご本人であるジョーさん(女性)によって1994年に設立されたイギリスのフレグランスブランドです。ジョーさんが自宅のキッチンで手作りのフレグランス製品を作り始め、それが評判を呼んだのが起源とされています。 ジョー・マローンの最たる特徴は、セント レイアリング(重ねづけ)というコンセプト。単独でも他の香りと組み合わせても楽しめることを前提として調香されており、自分だけの組み合わせを探求できることを訴求しています。スタッフ

Laboratorio Olfattivo。マーケを捨てた香水界の異端児

「波長が合う」ブランドとの出会いは、まるで古い友人を見つけたような心地よさがあります。それは、しっくりくる感覚であり、自然体でいられる安心感。そして何より、その香りを纏うことで、自分らしさが際立つような喜びです。 今回は「香りをアートする嗅覚の実験室」と称されるLABORATORIO OLFATTIVO(ラボラトリオ・オルファティーボ)。いくつか試香して、まさに波長が合いそうなブランドだと感じ、手始めにニードユーを購入したことは以前に書きました。 このブランドをもっと深く

Kerzonの反骨精神。香水をもっと身近な存在に

ケルゾン(Kerzon)は、2013年に冒険と旅行を愛する二人の兄弟、ピエール-アレクシス・デラプラスとエティエンヌ・デラプラスによって設立されたブランドです。 NOSE SHOPのスタッフによると、もともと石鹸からスタートしているそうですね。本国では、家庭用香り製品やボディケア製品のブランドとしても知られており、 天然由来の成分を使用していること 環境に優しいこと 調香からパッケージまですべてフランス国内で手作りされていること などから、人気を博しているようです。

Aesopの香水は終わったのか。全10作、悲哀のレビュー

ぼちぼちイソップに触れないわけにはいきません。なぜなら、私が香水の沼にはまる原点だったからです。いつだったか忘れましたが、プレゼントを買いにイソップに立ち寄ったときに、初めてフレグランスを売っていることを知りました。 イソップのフレグランスづくりは失敗の歴史だったそうです。植物学や藻類学を学んだ調香師Barnabé Fillion(バーナベ・フィリオン)と出会ったことで、フレグランス作りの技術が抜本的に生まれ変わり、いまに至っているとのこと。その生誕ストーリーと謎めいたバー