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Kerzonの反骨精神。香水をもっと身近な存在に

ケルゾン(Kerzon)は、2013年に冒険と旅行を愛する二人の兄弟、ピエール-アレクシス・デラプラスとエティエンヌ・デラプラスによって設立されたブランドです。

NOSE SHOPのスタッフによると、もともと石鹸からスタートしているそうですね。本国では、家庭用香り製品やボディケア製品のブランドとしても知られており、

  • 天然由来の成分を使用していること

  • 環境に優しいこと

  • 調香からパッケージまですべてフランス国内で手作りされていること

などから、人気を博しているようです。彼らの手掛けるフレグランスは、旅行や冒険から得た思い出を香りとして再現し、日常生活に取り入れることを目指しているとのこと。オードトワレは100mlで8,800円(これでも値上がりした)という信じられない価格で販売されています。

「価格相応じゃないの」と思った方は、ぜひ店頭で試香してみてください。他のブランドと遜色ないどころか、石鹸をルーツに持つデラプラス兄弟の気取らない感覚が調香に反映されていて、香水をまさに日用品のようにもっと手軽に愛用できるものにしよう、という静かな反骨精神が秘められているなと感じます。

今日は、私が買った2種類のフレグランスを主観レビューしていきます。オードトワレ(EDT)なので、香りの持続時間は短めですが、100mlもあるので浴びるほど付けても半年くらいは持つんじゃないかなと。

ヴォージュ広場|ローズとレンガの香り

ヴォージュ広場|ローズとレンガの香り

訪れたのは約5年前。入口を抜けると、目の前には美しい回廊が広がり、映画のセットのように見える建物に囲まれた広場で、人々が静かに時を過ごしていた。「これがフランスの日常なのか」と、衝撃を受けたことが今でも鮮明に思い出される。

瑞々しい緑と澄んだ水の清涼感。心地よい風に乗ってローズの華やかな香りが広がり、フルーティーな甘さとムスクの柔らかさがアクセントを加える。どの香りも主張しすぎることなく、一貫して古き良き石鹸のような清々しさが感じられる

ヴォージュ広場の香りかと問われると確信は持てないが、フランス人が手掛けたフレグランスであれば、それは間違いなくヴォージュ広場の香りだろう。この香りは、まさにその愛おしい記憶を蘇らせてくれる。また旅に出たくなる香りである。

サン=ルイ島|ベチバーとパチョリの香り

サン=ルイ島|ベチバーとパチョリの香り

フランス滞在のプロ(ウチのスタッフ)によると、サン=ルイ島といえばアイスクリームだそうだ。この地は、1954年創業のベルティヨンという老舗アイスクリーム店で知られ、観光客がその味わいを楽しむ光景はまるで絵画のようであると。

この香水は、サン=ルイ島の風情をそのままボトルに閉じ込めたかのようだ。シャーベットのようなみずみずしい爽快感が広がるが、スパイスと草木の香りが甘さを抑え込み、セーヌ川沿いの木々と大地の息吹を感じさせる。このフレグランスを支えるのは湿った石畳の香りであり、土っぽさとシダーウッドの温かみが絶妙に調和している。

この香りはケルゾンの美学を体現しており、甘みのない清涼な清々しさが上品に漂うが、ベチバーやパチョリに敏感な方は好みが分かれるかもしれない。セーヌ川のほとりで穏やかに過ごす時間を想像させるこの香りは、合う人にとっては新たなお気に入りとなるだろう。

まとめ

ケルゾンのオードトワレは、どれも控えめに香るものばかりです。香りで周りに迷惑をかける心配をすることなく、リラックスした時間を過ごすことができます。しっかり香らせたい人の期待には添わないかもしれませんが、部屋でくつろぐときや寝る前につけるのがベストな使い方だと思います。

私はアトマイザーに入れて、ハンカチやマスクにつけたりもしています。特にヴォージュ広場は、ただの石鹸ではなく、高級な石鹸という感じでもない。ローズがほのかに香る優しくて気取りのない石鹸といった感じです。石鹸の心地よさを香水として長持ちするよう徹底追求した、本当にいつまでも香っていたくなる香りです。

今回紹介しなかった他のオードトワレも一通り試香しましたが、中にはしっかりと香るものもありました。100mlで約8千円なので、遠慮なくたくさん使って、また次を買ってみるという楽しみ方ができるブランドだと思います。ちなみにオードパルファム(EDP)もあるので(そちらも安い)、気になる方はチェックしてみてください。

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