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自宅リノベ全記録_施主サイド(1)築42年(旧耐震)の中古マンションを買う

「自宅リノベーション全記録〜施主サイド〜」の1回目です。
僕が建築家の役割、配偶者である彼女が施主の役割で設計がどのように進んでいくのかを体感できるものにしていきます。1回目ではリノベーションをすることになるマンションを購入するまでを書きたいと思います。

まずは東京の世田谷区にマンションを購入したのですが、そもそも本当に買うのがいいのか?というところから一般的な不動産的な視点ではなく自分なりに購入の検討から契約までをまとめて書きたいと思います。ローンや資産価値などファイナンス系の視点は知識がないのでかなりざっくりです。
最近読んだ本でファイナンス系もわかりやすく書かれている本があったので、そちらもオススメしておきます。戸建を建てたいと思っている人でハウスメーカーだけでなく建築家への依頼を考えている人はまず読んだ方が良い内容です。


[1] 賃貸か購入か -払い続ける家賃とローンの利息を考える-

不動産屋の前に置かれたチラシがきっかけでした。家賃と比べてみてくださいという類のやつです。そのチラシを見てみると、今の家賃をローンの支払いに充てると今より広くて良いところに住めそうです。何より自分の所有なので自由にリノベーションもできる!ということで購入を考えはじめます。ただ、不動産知識はほぼゼロなので、一般的な知識でいったん賃貸か購入かということを考えはじめました。

まずは、単純に [払い続ける家賃] と [住宅ローンの利息] がどのくらいになるのかをざっくりと計算してみます。これは人によって違うのであくまで自分の場合ということです。
ローン審査が通るかどうかは傍に置いておきます。

今の住居の家賃が18万くらいなので毎月返済を15万と想定するとアルヒ(国内最大手の住宅ローン専門の金融機関)のシミュレーションで35年ローンで5200万借りられます。実際払う額は15×12×35=6300万で、1100万利息として払うことになります。

この額を家賃で払う期間を考えると、18×12×5=1080万。5年で利息分の家賃を払うことになります。つまり、5年以内に5200万以上貯めることができれば、お金を借りるよりも貯めて買った方がお金だけを考えるといいと言えます。それは普通に無理なのでお金借りて買うのは考える価値ありと思いました。
実際は、返済額+管理費+積立修繕費+固定資産税がかかるのでそれらの合計と現在の家賃との比較による検討が必要です。


[2] 戸建かマンションか -将来の移動可能性を考える-

次に、戸建かマンションかですが、以下を検討しました。
1. コストの差
2. ワンフロアの大きさか総面積か
3. 将来の移動可能性

1. 希望エリアは土地も高く、マンション代=土地代(13坪程度)くらいの価格帯なので建物代のコストが余分にかかります。

2. 次に、建ぺい率(土地に対して建物を建てて良い割合)は60%とかなので、40㎡としてもMax24㎡の平面しかとれません。なので2階建、3階建にする必要があるのですが、マンションの方が合計面積は小さくても、ワンフロアの大きさは大きくとれると言えます。

3. 次に、将来この場所から違う場所に行きたいとなった時に持ち家だと貸したり、売ったりしにくく家賃も高く設定せざるおえないので、動きにくくなります。
マンションであれば、渋谷も徒歩圏内、中目黒も近い、このエリアは資産価値はそう下がらないだろうし、貸したり、売ったりしやすいだろうと考えました。

これらを考慮して、無理のない返済が可能で、特にたくさん部屋が欲しいわけでもなく、将来移動しやすいマンションを購入することに決めました。(将来はもう少し田舎に土地を買って家を建てます)


[3] 地震のリスクについて -低層でピロティ無しを選ぶ-

お金の面では資産になるし買った方がいいとは思いますが、地震のリスクを考えたいと思います。首都直下M7クラス(阪神大震災クラス)の地震は30年以内70%と言われています。僕が訪れたいくつかの不動産屋はこのことは何も気にしていませんでしたが、35年ローンを考えると無視はできません。仮に全壊してしまうと資産はなくなってしまいます。土地は残りますが、住居の撤去費用、再建築費用などあり、地震リスクでは一概に戸建かマンションかは決められないと思っています。

そこで考えるのは竣工年が基準が変わる1981年(昭和56)以後かどうかで、震度5の基準(旧耐震)だったものが震度6-7でも倒壊しないような基準(新耐震)になったのでシンプルに地震に強くなったと言えます。ただ旧耐震だからといって現在の基準に合っていないとは一概には言えません。自主的に強度の高い建築を作っていた建物もあるからです。
価格の差は望むエリア(世田谷区三軒茶屋周辺)だと中古で旧耐震220万/坪、新耐震300万/坪くらいらしいので、50㎡くらいのを買おうと思うと1000万強の差があります。
新築マンションは数が少なく買える価格帯では見学に行きましたがインテリアは張りぼてのペラペラで計画もあまり良いものがなかったので中古を検討することにしました。(エレベーターの先にまた段差があったり、北側斜線の影響で庇を後付けしていたりなど)

倒壊リスクを阪神での調査を参考に新耐震との比較を見てみると、高層で一階ピロティ(柱だけで構成されている階、駐車場などになっていることが多い)の旧耐震は倒壊率高い、つまり、●高層●旧耐震●ピロティはリスクが高いと言えます。
なので、自分としては○新耐震(ピロティ無し)もしくは○旧耐震(低層ピロティ無し)を前提に物件を探すことにしました


[4] 住宅ローンについて -リノベーションの場合の住宅ローンの不自由さ-

[1] [2] を踏まえて以下の条件で物件を探し始めます。


1. 予算は4000万(建物4000万+リノベーション1000万=5000万を想定)
2. 仕事場まで徒歩圏内(世田谷区の三軒茶屋付近(高い!))
3. ベランダ、テラス、バルコニーなどの屋外スペースが大きめのもの
4. 面積50㎡以上のもの(住宅ローン控除の条件)
5. 新耐震でピロティ無し、旧耐震なら低層でピロティ無し


そして、今の物件を見つけました。さらに、内見で聞いてみると耐震診断をして、現行法規に適合しているとの調査結果が出ている物件でした。
(これはHPなどに書いてなかった情報で、なぜ載せないのか不思議です。これがあることで、築年数が大きい住宅でも住宅ローン控除などが受けられる可能性が出てきますし、資産価値が大きく変わります。結果的に控除が受けられそうです。(200万くらいの控除になります)かなり珍しいとは思うのでしょうがないかもしれませんがこの違いはすごく大きいです。必ず聞いた方が良い情報です。)

そして、築42年の中古の鉄筋コンクリート造のマンションを契約しました。下が間取り図です。約53㎡、5階建の3階(5階建ては低層とはいえませんが上階に行くにつれて部屋が減っていく段々の構造だったので大丈夫と判断しました。結果的に現行法規に適合していたの、判断はある程度正しかったと思います。)でバルコニーは約41㎡!あります。価格は3690万でした。

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人気がありそうだったので、すぐに話を進めて事前審査を行い、決めることができました。
この時に、この物件を扱っている会社と仲介をお願いしている会社が同じだったため他の希望者よりも優先されました。スーモから直で電話したのでこの不動産屋になったのですが、近くの不動産屋に行って内見に行っていたら結果は違ったかもしれません。
こういうところにも不動産ポータルサイトの利点があると思います。

さて、住宅ローンについてですが、リノベ前提購入だと本体+リノベ費用がかかりますが、結論から言えばフラット35のリフォーム一体型のローンが使えないとリノベ代を借りるのは難しそうでした。他のだと見積もりが必要だったり上限が500万だったり、依頼できる工務店が限られていたりでいわゆるリフォームを想定した商品です。そもそも設計もしていないのに見積もりなんか出せるわけないと思うのですが、仮で見積もりを作っておいて、現況を確認して変更するのだと思います。もし、スケルトンにして1から設計するのであれば実質見積もりは捏造するしかないと思います。

なので自分の選択肢としてはざっくり言うと
①フラット35のリフォーム一体型で5000万借りる
②住宅ローンで4000万借りてマンションを購入+リノベ代は自己資金
でした。

結果的には②になりまして、4000万の住宅ローンとリノベ代自己資金(約500万)でのリノベーションを行うことに決めました。

結果的に毎月の返済は10.5万+その他を足して13.1万くらいになりました。
約5万今の家賃より安くなります。実際は固定資産税は年税で、かかるのは来年なので今年はかかりませんが月割りで予想額を入れてあります。

今回は、部分的な改修ではなく、間取りを大きく変えるのと、水周りは42年ものなので全部新しくします。かなりローコストのリノベーションになりますがそれでも面白いものになるように進めていきますので次回もお読みいただければ幸いです。



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