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一級建築士学科試験|令和2年施行の改正建築基準法施行令に新設の区画避難安全検証法

令和2年4⽉1⽇施⾏の改正建築基準法施⾏令--令和3年の学科試験から適⽤される法令--のうち、令第128条の6についての内容になります。

従来からある「階避難安全検証法」と「全館避難安全検証法」に加え、建築物の区画部分に対して適用する「区画避難安全検証法」が新設されました。

1.建築物の「区画部分」

<令第128条の6第1項> 
居室その他の建築物の部分で、準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で第112条第19項第二号に規定する構造であるもので区画されたもの(2以上の階にわたつて区画されたものを除く。以下この条において「区画部分」という。)のうち、当該区画部分が区画避難安全性能を有するものであることについて、区画避難安全検証法により確かめられたもの(主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材料で造られた建築物の区画部分に限る。)又は国土交通大臣の認定を受けたものについては、第126条の2、第126条の3及び前条(第2項、第6項及び第7項並びに階段に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。

区画部分とは、同一階にある居室等建築物の部分で、以下のものによって区画された部分ということになります。
・準耐火構造の床又は壁
・法第2条第九号の二ロに規定する防火設備(遮煙性能、煙感知による自動閉鎖機能を有するもの)

2.区画避難安全性能

《いつまで》
火災室で火災が発生した場合に、区画部分に存する者の全てが「区画部分」から「区画部分以外の部分等」までの避難を終了するまでの間
《どこが》
区画部分の「各居室」及び「各居室から区画部分以外の部分等に通ずる主たる廊下その他の建築物の部分」
《どうあればよいか》
避難上支障がある高さまで煙又はガスが降下しない

3.避難安全検証法の比較

2.に記した《どうあればよいか》については、令第129条第2項の「階避難安全性能」、令第129条の2第3項の「全館避難安全性能」を含め、3つの安全性能で共通しています。

3つの違いを端的に表すものとして、「避難のゴール」をどこに定めるかがあり、以下のようになっています。
・区画避難安全性能:区画部分以外の部分等まで
・階避難安全性能:直通階段の一まで(避難階では地上まで)
・全館避難安全性能:地上まで

4.想定される問題の記述例

以下、区画避難安全検証法が新設されたことで、想定される問題の記述のうち、正しいものの一例をあげておきます。

<問題の記述例>
主要構造部を耐火構造とした地上5階建て、延べ面積5,000㎡の事務所において、最上階の区画部分が区画避難安全性能を有するものであることについて区画避難安全検証法により確かめたので、当該区画部分に排煙設備を設けなかった。

【解説】
令第126条の2第1項により、階数が3以上で延べ面積が1,500㎡を超える建築物には、原則として、排煙設備を設けなければなりません。しかしながら、区画部分が、区画避難安全性能を有するものであることを区画避難安全検証法により確かめていますので、令第128条の6第1項により、令第126条の2は適用除外となり、当該区画部分に排煙設備を設ける必要はなくなります。

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