一級建築士学科試験/改正建築基準法の延焼防止性能の高い建築物の建蔽率の緩和について
<見出し画像>出典:国土地理院
危険な密集市街地が、防火地域に約1割、準防火地域に約8割存在すると言われている中、延焼防止性能の高い建築物への建替え等を促進して市街地の安全性を高めることが、建蔽率を緩和した法改正の主旨になります。
1.緩和の対象
①防火地域内(建蔽率8/10の地域を除く)
・耐火建築物等
<法第53条第3項第一号イ>により
建蔽率1/10緩和
②準防火地域内
・耐火建築物等
・準耐火建築物等
<法第53条第3項第一号イ、ロ>により
建蔽率1/10緩和
③防火地域内(建蔽率8/10の地域に限る)
・耐火建築物等
<法第53条第6項第一号>により
建蔽率制限なし
①と③については、旧法からあった緩和措置になり、耐火建築物に「等」が付いたことが改正点になります。従来より③の特例が別途あることによって、①において、建蔽率8/10の地域が対象から外れていることになります。
②の通り、建蔽率緩和の対象が準防火地域まで拡大されたことが、今回の大きな改正点になります。準防火地域内においては、従来から2階建ての戸建て住宅は、防火構造とすることで建築が可能でした。今回の法改正により、建蔽率の緩和を条件に、延焼防止性能がより高い準耐火建築物等への建替えを促していることになります。
2.耐火建築物と準耐火建築物に「等」のある意味
法第53条第3項第一号イ、ロにある通り、耐火建築物・準耐火建築物の他、これらと同等以上の延焼防止性能を有するものとして令第135条の20で定める建築物を別途含むことが、「等」のある意味になります。
①耐火建築物等に含まれる建築物
=令第135条の20第1項で定める建築物
法第61条に基づく令第136条の2第一号ロで定める技術的基準に適合する建築物で、法第61条に規定する構造方法を用いるもの又は法第61条の規定による認定を受けたもの
✳確認申請書(第二号様式)において「延焼防止建築物」
②準耐火建築物等に含まれる建築物
=令第135条の20第2項で定める建築物
法第61条に基づく令第136条の2第二号ロで定める技術的基準に適合する建築物で、法第61条に規定する構造方法を用いるもの又は法第61条の規定による認定を受けたもの
✳確認申請書(第二号様式)において「準延焼防止建築物」
3.過去問と現行法との不整合
平成29年の問題に以下の記述があり、1.に書いた通り、出題当時の旧法では準防火地域内は緩和の対象になっていませんので「誤った記述」となります。
『都市計画において定められた建蔽率の限度が6/10の第一種住居地域内で、かつ、準防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率の限度の緩和の対象となる。』
この記述を現行法(法第53条第3項第一号)に照らしてみると、建蔽率1/10緩和の対象となり「正しい記述」になってしまいます。
前回の繰り返しになりますが、法令集は最新版を必ず使用し、法改正に対応できていない問題に手をつける場合は十分な注意が必要です。
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