一級建築士学科試験/改正建築基準法の主要構造部規制について
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一級建築士学科試験/改正建築基準法の主要構造部規制について

 建築基準法が大幅改正され、今年の試験から大きく影響してきます。最新版の法令集に照らして過去問を過去問のまま解こうとすると、整合しないところが出てくることになりますので注意が必要です。
 改正された法令のうち、主要構造部規制について、以下にまとめてみます。

1.主要構造部規制の3つの観点

①規模<法第21条>
 倒壊・内部延焼の防止(周囲の建築物への加害防止)
②用途<法第27条>
 倒壊・内部延焼の防止(避難中の安全確保)
③立地<法第61条>
 建築物間の外部延焼の防止(市街地の大規模火災防止)

 上の3つの観点それぞれの目的を明確に性能規定化することで、耐火構造といった一律の仕様でなく、各観点それぞれに応じた3種類の構造対策が定められることになります。

2.立地の観点からの主要構造部規制

 従来、防火地域・準防火地域内の建築物について、旧法第61条・第62条により、規模に応じて耐火建築物や準耐火建築物としなければならないなど制限されていました。
 現行法では、旧法第61条から第64条までを集約したものを新法第61条として「防火地域及び準防火地域内の建築物」を規制しています。また、新法第61条から令第136条の2に委任する形で技術的基準を定めています

3.令第136条の2で定める技術的基準

 準防火地域内にある地上3階建て、延べ面積1,500㎡以下の建築物を一例にしてみます。本記事冒頭の表に示す通り、その規模から第二号が適用され、イとロに掲げる2通りの技術的基準から選択できる形になっています。
イ:旧法で規定されてきた技術的基準
ロ:イと同等以上の延焼防止性能の確保に必要な技術的基準


 一例とした建築物は、旧法では準耐火建築物(又は耐火建築物)とすべきとされた建築物になりますが、現行法では、確認申請書(第二号様式)の【7. 防火地域又は準防火地域における対策の状況】において「準延焼防止建築物 」という名称が用いられています。

4.過去問と現行法との不整合

 平成29年の出題に以下の記述があり、旧法第62条第1項により、出題当時は「正しい記述」となっていました。
『準防火地域内においては、延べ面積1,200㎡、地上3階建ての建築物で、各階を事務所の用途に供するものは、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。』
 この記述を現行法(法第61条、令第136条の2)に照らしてみると、「誤った記述」になってしまいます。理由は、性能規定化により耐火建築物・準耐火建築物以外が選択できるため「~しなければならない」との断定はできないことになるからです。選択可能な令第136条の2第二号ロに掲げる技術的基準は、準耐火建築物(又は耐火建築物)の定義には該当しない性能規定となっています。

5.現行法と整合させるための過去問の修正

 令第136条の2第二号イに基づき、上の過去問を正しい記述になるよう修正してみます。
『準防火地域内においては、延べ面積1,200㎡、地上3階建ての建築物で、各階を事務所の用途に供するものは、主要構造部を「準耐火性能に関する技術的基準」に適合するものとすることができる。』
 「準耐火性能に関する技術的基準」とは、令第107条の2各号に掲げるものを示していることになります。他、主要構造部については、イに掲げる「主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物の技術的基準」(令第109条の3第一号又は第二号に掲げる基準)や、ロに掲げる基準に適合すればよいので、複数ある技術的基準の中から、その一つを選択「することができる」と記述して出題することになります。

6.法規の試験対策上の注意

 法令集は最新版を必ず使用し、問題についても、法改正に対応できていない問題には安易に手をつけないことが大事です。問題の記述と条文とが整合しないまま適当に正誤判別をして問題を解くことを繰り返しても、条文解釈の精度は高まりません。つまり、法規の得点力が高まらないということになりますので、高得点をあげることが合格へのノルマとなる法規の対策には注意が必要です。

✳記事中、法令集について「令和2年版」とあるところを「最新版」に改めました。(2021.1.30)


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企業内一級建築士資格取得研修の23年間の実績。設計製図試験の与条件に対しそうであるように、「やらなければならないこと」、他「やったほうがいいこと」、「どっちでもいいこと」を見極める力が大切……勉強をしていく中で何事においても。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信。