一級建築士学科試験|改正建築基準法第53条と第61条の延焼防止についての相関関係を辿ってみる
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一級建築士学科試験|改正建築基準法第53条と第61条の延焼防止についての相関関係を辿ってみる

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改正建築基準法第53条「建蔽率」と第61条「防火地域及び準防火地域内の建築物」の相関関係を辿るために、ひとまず準耐火建築物のことは置いといて、耐火建築物に絞ってみていきます。

1.建蔽率の制限における耐火建築物等

法第53条第3項第一号イにおいて、「耐火建築物等」を「耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物」と定義しています。

ここで法の委任先となるのが令第135条の20となり、「耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物」を、以下の2つの要件に該当するものとしています。
外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備が設けられていること
壁、柱、床その他の建築物の部分及び防火設備令第136条の2第一号ロに掲げる基準に適合し、かつ、法第61条に規定する構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること

2.防火地域又は準防火地域内の建築物

法第61条から令第136条の2に委任する形となっています。また、令第136条の2第一号ロは、上の1.にある通り、「耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物」の要件となる技術的基準でもあり、以下のように定められています。

当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間が、当該建築物の主要構造部及び外壁開口部設備が《耐火建築物の主要構造部等の基準》に適合すると仮定した場合における当該主要構造部等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。

[注]上においては、条文に解釈を加えた形で《耐火建築物の主要構造部等の基準》と記しています。この点の解釈ついては、別途記事*『通常の出題と異なる法規の解説⽂のような問題⽂の記述の仕⽅』を参考にして下さい。(脚注にリンク先を示しておきます。)

3.同等以上の延焼防止性能と延焼防止時間

延焼防止性能については、「通常の火災による周囲への延焼を防止するために壁、柱、床その他の建築物の部分及び防火戸その他の政令で定める防火設備に必要とされる性能をいう」と、法第53条第3項第一号イで定義されています。

また、延焼防止時間については、「建築物が通常の火災による周囲への延焼を防止することができる時間をいう」との定義が、令第136条の2第一号ロにあります。

上の2つの用語の定義に基づき解釈すれば、「延焼防止時間」とは、「延焼防止性能が継続できる時間」、別な言い方をすれば「延焼防止性能を有していられる時間」であると言えるかと思います。

令第135条の20に「耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物」とありますが、令和2年の本試験問題においては、「耐火建築物若しくは準耐火建築物又はこれらと同等以上の延焼防止時間となる建築物」との記述がありました。--別途記事*にも書いていますが、出題の元となる令第136条の2の条文からはストレートに読み取れない表現を用いて、記述されていた問題になります。--

同等以上の延焼防止時間となる建築物」という表現は、その記述の仕方に苦慮する「令第136条の2第一号ロが示す建築物」の内容を、令第135条の20よりアレンジして表したもののように思います。確認申請書(第⼆号様式)において、「延焼防⽌建築物」との呼称が用いられているものではありますが、条文中に定義のない呼称を法規の試験で用いることもないのでしょう。

こうしたことを踏まえて、「同等以上の延焼防止時間となる建築物」というような--(令第136条の2に基づいた感を醸し出す)--表現にすることにしたのではないかと、……憶測ながら考えます。

令第135条の20令第136条の2とは、不可分な関係で意味を共有していることから、条文に見られる表現も融通しあえるのだろうと思います。

4.法第53条と法第61条の相関関係

法第53条第3項第一号イ・令第135条の20第1項においては、耐火建築物と、これと同等以上の延焼防止性能を有する建築物を掲げています。つまり、「建築物」を規定しているのが特徴です。

一方、法第61条・令第136条の2第一号イ、ロにおいては、耐火建築物といった表現は用いず、建築物の「主要構造部防火設備の性能」について規定しており、ここが、法第53条等で建築物を規定しているのと異なるところとなります。

ここまでを整理してみますと、それぞれの法令の関係は、見出し画像にも示すように、以下の通りとなります。法第53条と法第61条、それぞれから辿っていくと、主要構造部等の性能を規定する令第136条の2に行き着くものになっています。

法第53条
 ↓
令第135条の20
(耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物等)
 ↓
令第136条の2
(防火地域又は準防火地域内の建築物の壁、柱、床その他の部分及び防火設備の性能に関する技術的基準)
 ↑
法第61条

✳以下の記事も参考にしてみて下さい。

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企業内一級建築士資格取得研修の24年間の実績。設計製図試験の与条件に対しそうであるように、「やらなければならないこと」、他「やったほうがいいこと」、「どっちでもいいこと」を見極める力が大切……勉強をしていく中で何事においても。co-師(学びあう共育者)というスタンスで発信。