那覇空港にて初の主催イベント!プロジェクト制で子どもと大人もチームで成長した3日間!
みなさん、こんにちは。
Arch to Hoopのライターを務める繁田です。
平素より、Arch to Hoopへ温かいご支援とご協力をいただき、誠にありがとうございます。
今回は、2024年度初開催、そして、Arch to Hoop沖縄が初めて主催したイベントについてご報告します!
11月3日、那覇空港の国際線ターミナル2階「首里城復興応援広場」にて、バスケットボールのイベントを行いました。今回特に大事にしたのは、バスケットボールを通じて子ども・若者たちに幅広い体験と出会いを届けるとともに、大人にとっても「学び」と「発見」が得られる非日常的な空間と体験の機会をつくること。そのために、前日(11月2日)に「事前交流会」、翌日(11月4日)に「振り返り会」を実施する“3日間のパッケージ”で実施しました。まずはこちらのダイジェスト動画をご覧ください。
■ 撮影/編集:仲間(シネマ沖縄)
■ サポート:曽我部(アシタネワークス), 長友(モルテン)
運営スタッフ同士の関係づくりを行う事前交流会がスタート
そして、今年からイベントの運営体制が大きく変わりました。これまで事務局長の勝田が中心となってイベントを回していましたが、今回はプロジェクトマネージャー1名の指揮のもと、3チーム体制(イベント企画チーム、効果測定チーム、営業チーム)を組み、モルテン・麻生・ちゅらゆいの20〜30代の社員で構成しました。
今回は、一緒にイベントをつくり上げる企業の社員や支援関係団体の職員などの“大人たち”と、イベント運営を担う“子ども・若者たち”との関係づくりをするための「事前交流会」にもポイントを置きました。
イベント運営スタッフとして参画いただいたのは、NPO法人ちゅらゆい、一般社団法人URUFULL、NPO法人エンカレッジ、一般社団法人みんなのももやま子ども食堂の“子ども・若者たち”。「事前交流会」では、イベントでの役割決めを中心に話し合いを行いました。これまで勤務地の大阪からオンラインにてチームの陣頭指揮を執ってきたプロジェクトマネージャーであるモルテンの喜多駿也(きた・しゅんや)さんほかメンバーも全員沖縄入りして、いよいよイベントに向けて機運が高まっていきます。
機材の搬入やグッズ制作など裏方を支えたアシタネワークス
「事前交流会」の後は、ちゅらゆいの新業態・就労支援事業所「アシタネワークス」のスタッフと利用者が、移動式バスケットコートなどのイベント機材を那覇空港内へ搬入しました。
実はイベントの前にも、バスケットゴールのメンテナンスや取り扱いの技能習得に加えて、運営スタッフ用の缶バッジなどを制作いただき、映像撮影の技術指導を受けてイベント3日間の映像記録も担ってもらいました。撮影いただいた映像はダイジェスト動画にも使用されています。
このように、Arch to Hoopは社会に出て働いたことのない若者たちに、スポーツイベント運営の一部分を仕事として発注し、体験を通して「働く」を考えるためのきっかけを提供しています。
機材のメンテナンスや映像撮影を担当した若者からは、「初めての作業が多くて大変なこともありましたが、みんなが楽しんでいる様子を見られて良かったです。満足しています」と、イベントを支える立場での達成感を味わいました。
また、事業所スタッフの武部さんは「今回のお仕事を通して作業中の声掛けの大切さを学びました。イベント設営といえば『アシタネワークス』と言われるくらい、信頼されるお仕事をこれからもやっていきたいです!」と、今後の意気込みを語りました。
日常空間と非日常空間の融合!? 空港内にバスケコートが出現!
イベント当日は朝9:00から設営を開始。まずは円陣を組んで「アーチ、トゥーー、フーーーーープ!!」のいつもの掛け声で士気をアップ! みんなでコートをつくって、タイムスケジュールや看板を準備して、オリジナルのスタッフ缶バッジをつくって…子どもたちも一緒に午後からの一般参加のイベントに向けて受け入れる体制を整えていきます。
そして、那覇空港の国際線ターミナル2階にバスケコートが出現し、まさに、“日常の中に違和感を伴った感じの非日常”が誕生しました。準備体操の後、午前中は大人たちと子ども・若者たちとのバスケットボールを通じたレクリエーションでウォーミングアップ!
5チームに分かれてのドリブルリレー、ボールリレー、フリースロー対決をして、体を温めるだけでなく、大人たちと子ども・若者たちとの関係性も温めることになりました。その後は、チーム対抗の3x3で盛り上がりました。イベント企画担当の子どもたちもみんなの前でルール説明をしたり、普段練習してきたダンスをみんなの前で披露したりと、イベントはただ絆を深めるだけでなく、子どもたちの活躍の場にもなっています。
参画企業の新入社員は仕事への向き合い方をマインドセット
ルール説明をしたイベント企画チームのメンバーに、前年度から参画された株式会社麻生の新入社員・末永太一(すえなが・たいち)さんが入りました。違う会社の社員同士が役割を持ってイベントを運営していくスタイルもArch to Hoopの特徴の1つです。
沖縄入り前はオンラインにて会議を重ねて、このイベントに向けて準備を進めてきました。最初はただバスケットボールが好きという思いで参加したという末永さんですが、話を聞く中でArch to Hoopの目的や沖縄の子どもたちを取り巻く環境について理解を深め、「自分1人では体験格差という課題を解決できないけれども、このイベントを通して子どもたちに少しでもプラスの経験や視野の拡大につながってほしいという思いに変わりました」と変化していきました。
3日間のイベントを通して、末永さんは「同じチームとして活動したメンバーのシュウさんとハルトさんの成長が特に印象に残っている」とコメント。「成長というと、上からの発言のように聞こえるかもしれませんが、最初は自分が司会を担当していましたが、進行していく中で『みんなの前でルール説明をしてもらってもいい?』と伝えたところ、2人とも『大丈夫です。任せてください』とたくましく答え、最初に会ったときとは全く違う2人になっていました」と、驚きとともに語っていました。
そして、モルテンやちゅらゆいの社員とのプロジェクト経験を通して、「自社だけでは日頃業務を行っているスピード感や、分科会で進めた作業をチーム全体へ昇華する技量がまだまだと感じ、これからの業務スタイルを変えていかなければなと感じました」と、末永さんご自身もマインドセットされた様子でした。
午後は子ども・若者たちも一般参加者のためにイベントをサポート
お昼ごはんを挟んで、午後は空港来場者も参加できるイベント体制に。子どもたちも今度はプレーヤーではなく運営側に徹して、来場者をおもてなし&サポート。実はここがArch to Hoopのイベントのすごいところ! バスケットボールが大好きな子どもたちもグッと我慢して来場者のために一生懸命働きます。コート外に出そうなボールを拾う人、マイクをもって会場を盛り上げる人、お客さんを呼び込む人、スコアボードをつける人…それぞれがそれぞれの持ち場で力を発揮します。
一番アツかった!? そもそもArch to Hoopとは…「振り返り会」で徹底議論
そして、3日目。ある意味、メインイベントと言っても過言ではないほど大事な「振り返り会」です。大人たちが一堂に集まって、真剣に振り返り、良かった点、改善すべき点を徹底的に議論します。「プログラム説明などは子どもでも分かりやすいように、模造紙を活用するなどの工夫ができると良い」「ペットボトルなどが無造作に置かれていたので、公共空間でのマナーを守る仕掛けが必要」「イベントで担った役割の履歴書があるとモチベーションアップや自己理解の手助けにつながりそう」など、次回のイベントにすぐ反映できそうな意見も多く出ました。
一番大きな議論テーマは「子どもたちに目的意識をどこまで持たせるか」という声から話が発展し、「目的意識を持たせる必要があるのか?」「それは何を成果としてみているのか?」など、それぞれの価値感や認識を言葉にしてすり合わせる機会となりました。
「企業や教育の考え方でいくと『磨いていく、とがらせていく、より極める』という方向に向かいますが、それだけでなく、『あそび、余白といった広がり』も持たせ、その両方を行き来するような場や機会をつくることがArch to Hoopですることなのではないか、“ゆさぶる””ゆらす”がキーワードとなるのではないか」という活動の存在意義の議論にまで及びました。
さらに、これまでのArch to Hoopの活動を評価いただいて、今回、仙台から株式会社ミツイの金沢社長と佐藤副社長が「このパッケージをぜひ東北でも実施したい!」という想いで3日間のイベント全てに参加いただきました。
株式会社ミツイは福祉事業を展開しているため「最近は仙台でも不登校が増えてきて、バスケットボールを通じた居場所づくりによって困難を抱える子ども・若者をサポートできるというのは弊社でも取り組みたい内容です」と評価をいただき、「3日間以外に事前ミーティング等にも参加して、もっと深みを持って参加できればと思いました。東北での開催もぜひ企画したいですね! ぜひ次回は弊社社員も参加させたいと考えています」とコメントをいただきました。
Arch to Hoop初のプロジェクト制にトライしてみて
ただバスケットボールをするだけではないArch to Hoopのイベント3日間を、初めてながらもプロジェクトマネージャーとして現場を仕切った喜多さん。「さまざまな企業だけでなく団体も含め全体を把握して進行していく面が特に苦労しました。当日参加の団体、子どもたちも多く、当日のイベントにおいては多くの場所から“分からない”や“どうしよう”という声が発生し、その場の対応だけでなく1つの問題に対してどこに、どの順番に伝えて進めていけばいいのかなど、全体を見ながら回答やスケジューリングをする必要があったのでとても大変でした」と振り返りました。
そして、「スポーツを通して社会課題の解決に取り組んでいく中で、今回の体験から“多角的視点で考える”ということが重要なポイントだと感じました。モルテンの製品においても、組立式サッカーボール『MY FOOTBALL KIT』を活用して子どもたちへ体験を届けるという部分では今回のプロジェクトとの共通点もあり、企業にとっては社員研修としての効果を考えるきっかけにもなりました。実際に今回のイベント企画チームのリーダーとも話して具体的なスキームがつくれるよう動き出す予定です。まずは、私自身が今回の体験で得た“多角的に物事を考える”“とりあえずやってみる”といった想いをもって日々の仕事に活かしていきます」と、さっそく普段の仕事に落とし込んでもらいました。
おわりに
・沖縄タイムスの子ども新聞に掲載
このたび、地元の新聞社・沖縄タイムスさんの子ども新聞「タイムス ワラビー」の紙面1面に取り上げていただきました。イベント現場では、社会部の又吉嘉例(またよし・かりい)さんにお越しいただき、「体験格差の問題を『ワラビー』で紹介することで、子どもや保護者にも知って、考えてもらいたい」という想いで、記事に仕上げていただいております。
・沖縄こどもの未来県民会議の助成を受けています
今回のイベントは、令和6年度こども未来応援助成事業に採択されています。助成元の沖縄こどもの未来県民会議さんは「貧困問題、雇用対策の促進など、沖縄のこどもの未来に係る活動」に対して助成を行っており、沖縄県こども未来部こども家庭課が事務局を担っています。
Arch to Hoopが、「体験の格差」を貧困問題の中心的課題として捉えている点を評価いただき、助成いただくことになりました。ありがとうございます。
・LEAP DAYと初コラボ!12/14-15 緑ヶ丘公園でイベント開催予定
「人財育成こそ10年先20年先の未来を創り上げていく」、LEAP DAYが掲げるこの想いに共感し、このたび初めてスポーツのカテゴリーでコラボすることとなりました。LEAP DAY 2024では、年齢や立場を超えた共創の場としてバスケイベントを運営します。メイン会場(那覇文化芸術劇場 なはーと)から徒歩5分の緑ヶ丘公園にバスケコートを設置するので、ぜひお気軽に遊びに来てください!
◯日時 : 2024年12月14日(土)-15日(日) 12:00-17:00
◯場所 : 緑ヶ丘公園(那覇市)
◯料金 : 無料
◯コンテンツ :
・フリースタイルバスケットボール『HERO』
・創作エイサー『~創作衆~ 桜輝(おうか)』
・フードマルシェ『OKINAWA FOOD FLEA』
・その他一般参加型のコンテンツ
これからもArch to Hoopは、子どもたちがあきらめることなく自分の可能性を広げられる未来をつくるために活動を進めていきますので、引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします。