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宿泊記~ONSEN RYOKAN 由縁新宿~


■大都会東京新宿にある温泉旅館。


大都会の中心部にありながら温泉付き旅館とはどういうことか。映画館に行かずともNetflixを使えば家で気軽に最新映画が見れるということを知った衝撃と同じような感覚。
都会×温泉と言えばドーミーインが席巻した領域だが、都会×温泉×旅館というとなかなか無いのではなかろうか。しかも施設として旅館を名乗っているのも興味深い。ベッドを配した客室ながら「旅館風ホテル」ではなくあえて「旅館」と名乗るのはデザイン以外にも日本の「旅館」を感じさせる仕掛けがあるのではないか?
そんな好奇心を携えていざ新宿へ繰り出す。

■「ONSEN RYOKAN 由縁新宿」とはどんなホテル?


・日本全国にオシャレホテルを展開するUDS株式会社が運営するホテル。もともと不動産の設計・デザインを手掛ける会社なので運営するホテルはすべて自社で手掛けたホテルのようだ。ホテル業界の有名ベンチャー企業と言うイメージ。

以前に泊まった京都のアンテルームもUDS社のホテル


・客室数は全193室
・(だいたいの)1泊1室料金はセミダブル:約11,000円~、ツイン:約12,000円~、コンフォートツイン:約15,000円~、ダブル:約18,000円~、プレミアダブル:約25,000円~、スイート:約40,000円~という感じ。
・客室の広さは一番小さいセミダブルで約12㎡、ダブルで25㎡、高価格帯のプレミアダブルで33㎡、スイートで51㎡となっている。
・東京のホテル単価高騰のご時世に1万円ちょっとで宿泊できる部屋があるのは有難いが、12㎡はビジホの客室レベルの広さ。。。まぁそれはそれとして、温泉旅館とはしているものの、この価格帯の客室を用意しているというのは若者をターゲットに設定してるということに見える(ビジネス利用としては新宿駅から距離があるので)

 

■いざ都会の温泉旅館へ


新宿駅に降り立ち、騒がしい街並みを通り歩くこと15分。本日のお宿「由縁新宿」に到着。

思った以上にちゃんと旅館!

写真で見た通り、新宿という街に似つかわしくない和風な外観。
この外観、一見して日本家屋風の造りなので「こんな所に193室もあるの!?」と驚くが、実は日本家屋の部分はレストランとロビーのみで、その他の客室フロアは後ろにひっそりとそびえるビル建物内に存在するという構成になっている。
なんというか、客室数を確保しつつ和の趣を無くしたくないという願望を叶えた賢い設計に拍手を送りたくなる。ぱちぱちぱち。
ということで早速中へ。

■和を感じるデザインや仕掛けがたくさん


高級料亭のような入口


石畳のエントランス。植栽もあってかなり和を感じる空間。これはいきなりテンション上がる。

エントランスは引き戸風の自動ドア


和風引き戸の自動扉。デザインと機能性の両立。これも素晴らしい。

エントランスを入るとロビーまで続く廊下が

長い廊下の先に見える薄暗いロビー。誘われるように歩いていく。

フロント前に待合スペース


なんともおしゃれなフロント

ロビーに到着。昔のお茶屋さんの店前にある床几をイメージしたような待合スペースに、大理石を使ってるっぽい和風シックなフロントデスク。さらにフロントの後ろにはまるで松林図屏風をイメージしたかのようなシルエットが広がっており、思わず「かっこえぇー」と叫んでしまいそうな空間である。
この施設のデザイナーはこのロビー空間を創るのに全体のかなりの割合の労力を割いたんじゃなかろうか(知らんけど)
それぐらい気合を感じるというか、ここにあるもの全て微妙にジャンルが違う仕掛けを施しているから楽しんでいっておくれーみたいなメッセージ性を感じる(知らんけど)
 
フロントスタッフの方々もどこか落ち着いた、ゆったりとした接客。
確かにこんな和の趣全開の空間でせかせかと対応されたら台無しだわ。これぐらい落ち着いた接客でたっぷり時間を使ってもらった方がこちらもどっぷりこの世界観に浸ることができる。そう、これでいい。


ルームキーは竹製。どこまでも粋なことを。

アートオブジェ

 

案内を終えエレベーターへ。エレベーターホールにはなにやら花のオブジェが。触ってみるとどうやら紙でできてる。

エレベーターは近代的。そして静穏設計。
どうせならエレベーター内にも和を感じる仕掛けが施されてれば(竹が置いてる、描かれてるとか)ロビーの世界観を引きずれるのにと少し残念。

客室フロア


客室フロア到着。こちらにも少し小さいがオブジェが。花に詳しくないのでなんの花かは分からず。
客室到着。

■旅館としてのこだわり



ご所望のセミダブルルーム

まぁ一番安い12㎡の客室なので広さはこんなものだろうと。
ベッドとデスク置いて終了という。しかし一般的なビジホと違って妙な窮屈感がないのは何故だろう?畳の力?
部屋内にも仕掛けがチラホラ。
まず洗面台が良い感じ。


和風居酒屋とかでたまに見る洗面台の感じ

こういう陶器の洗面台って何て言うんだろう?なんか名前あるのか?
床はもちろん畳。しかし寝具はベッド。布団は収納とかめんどくさいもんね。

Bed on Tatami


ベッドの上には浴衣と帯と足袋が。結構ちゃんとしてるやつっぽい。あんま浴衣とか着ないから分からんが、少なくとも安っぽい浴衣ではないんじゃないかな?

草履じゃないよ雪駄だよ


玄関には雪駄もある。館内はこの浴衣で出歩いていいみたいなので温泉とか浴衣で行けるのはgood!旅館としてのこだわりを感じる。


室内トイレとシャワーは普通。

部屋に置かれた木箱・・・


和風ポイントはなによりこの木箱。三段構成で上段には館内案内のQRコード。(QRで館内案内というのも珍しい気がする)。二段目にはアメニティ。下段にはなんとお茶とお茶請けが!


旅館っぽさ急激に増す

おぉこれは旅館っぽい。この価格帯のホテルだとお茶はあってもお茶請けはなかなか無いと思う。有難く頂く。しかもちゃんと美味しい。

コーヒーが無いところが良い!こだわり!


お茶も頂こうかと急須を用意。緑茶とほうじ茶があったので緑茶にしよう。

・・・


電気ケトルはデロンギのやつ・・・
いや、イタリア製かい!と内心で突っ込む。そこはせめてバルミューダとかにして欲しかった。。。まぁどうでもいいところなんだろうけど。

緑茶のパックを開けるとティーバッグ。これは外国人でも使い方わかるやつや。緑茶のいい匂いがする。急須にお湯を注いでしばらく待って飲み始める。妙に透明だなと思って急須の中のティーバッグをちゃぽちゃぽしたら色が濃くなった。外国人これできるのかな?
そんな予感はしたが案の定、急須から湯呑へ移す段階でこぼれる。どうにかならんものか。
緑茶はじゅうぶん美味しかった。

 

このボトルは?


そういえば部屋にはボトルがあるのだが、これはなにかと言うと水を入れて飲む用のやつらしい。というのもサステナブルの一環でペットボトルを廃止して館内のウォーターサーバーから水を汲んできて飲むという仕組みにしたらしい。サステナブルと和の関係性はよく分からんが、まぁホテルはただでさえプラスチックの廃棄量がエグいのでこういう取り組みも推進していかねばね。利用者の中には不便になったという人ももしかしたらいるかもしれないが、日本の美は侘び寂びですからね。多少の不便をあえて設けることで余白の美しさに気づくのですよ。
というのは聞きかじった知識。


部屋から臨めるシティビュー

 

ところで今回上層階のお部屋を用意してもらえたので新宿の街並みがよく見える。首都東京の更に都庁所在地である新宿。日本の中心中の中心が見晴らせるシティビューはまた一味違うなと感じてしまう。高いところから見下ろすシティビューなら地元六甲山で堪能してきたが水平に巨大ビル群と、それらが煌々と照らす灯りはある意味日本で唯一無二のものと言える。

■この旅館の目玉「温泉」


低層階に泊まると夜景が楽しめないと思うかもしれないが実はそうでもない。なぜならここの温泉は最上階18階にあり、そこの待合ラウンジでは大きなガラス窓が設置されており新宿側とは逆側の夜景を堪能できるのだ。

大浴場ラウンジからの眺めはこんな感じ。写真じゃよく分からん。


穏やかなBGMに巨大なソファでゆったりと夜景を楽しめる時間は至福。しかもラウンジ内では食べ放題のアイスも置かれている。しかしアイス食べ放題と言えばドーミーイン。ついドーミーインの豊富なアイス群と比べると見劣り感は否めない。(まぁ個人的にはアイスにそこまで期待もないのでどっちでもいいのだが好きな人は好きだと思うので・・・)

大浴場入口。これ以降はマナー違反かもしれないのでカメラは自重。


風呂上がりの楽しみがあることを確認し、いざ温泉へ。
当然男女別。女性側の脱衣所はセキュリティが掛かっているらしい。最近のお風呂ってどこもそうなのか?
脱衣ロッカーはなくて、小さいセキュリティボックスが配置されているタイプ。鍵付きロッカーが理想だったが致し方なし。というかホテル内の大浴場なので仕方ないが、脱衣所がそんなに広くない。おそらく20人も来てしまうと結構な混雑具合になりそう。QRの案内に混雑状況を教えてくれる機能もあるのでこれは要チェックかもしれない。
自分は幸い人が少ない時間に来れたのでゆっくり温泉を堪能できた。
お風呂は内湯と外湯の2つ。洗い場はお湯が出続けてくれるタイプのシャワーで有難い(スーパー銭湯に多い、逐一押すやつはめんどい)
風呂桶と椅子が木製の和風のやつで、こういうこだわりは大好き。
内湯の正面はすりガラスだが新宿の街並みをぼんやりと眺められる。自分は基本的にカラスの行水タイプなのでそんなに長湯できないのだが、熱くもぬるくもないちょうどいい温度という感じで長湯しやすいお風呂かなと思う。外湯も良い感じ。というかやっぱ外湯がメイン。
こちらも木製の囲いがしてあるが眼前には新宿の夜景がはっきりと。これって外から見えてるんじゃね?とも思うがどうなんだろう。こちらも同様良い湯加減でゆっくりできた。
 
お風呂上り。ダイソン製の変わったドライヤーで髪を乾かしラウンジへ。コーヒー牛乳も売っていたのでアイスとコーヒー牛乳を持ってソファで夜景を見ながらゆったりタイム。
最高のチルタイムを過ごし、客室へ戻るともう夜も更けてきた。
 
就寝前にお楽しみの映画鑑賞タイム。今夜は映画「ジョー・ブラックをよろしく」。ブラピ演じる死神が人間界にやってくるというストーリー。詳しくは前回の記事、映画感想にて。

さて映画観終わったし就寝。部屋の中の防音はしっかりしてる。廊下で話している人がいると中まで聞こえてくるが客室同士の声や物音はほとんど聞こえなかった。なので夜は快適に睡眠できた。基本的なことだけどこれ大事。
 

■ハイクオリティな朝食


起床。歯ブラシは部屋のアメニティを使用、まぁよくあるやつ。たぶん底辺のクオリティのやつではなかったので問題なし。朝起きてもう1回温泉行きたかったが夜更かししたので断念。朝食会場へ。
朝食会場はエントランスすぐ横の和風レストラン「夏下冬上」。フロントで受け取った朝食券を渡して席まで案内してもらう。ガラス窓の外には塀との間に作られた坪庭。店内のBGMも鳴り続けているが主張しない感じの音。こういうのは侘び寂び精神っぽくて良い。


そして。朝食。これは豪華すぎ。正直朝食2,200円は高いなと思っていたけど、これなら全然良い。和食の凝った料理って食べる機会なかなか無いので今回の朝食は自分的にドはまり。有機野菜とか減塩味噌汁とか健康志向っぽいのにどれも美味しい。野菜と魚でこんなにも工夫できるなら肉はいらないな。というよく分からない感想。とにかく美味い。
秋刀魚は小骨が処理されてるのか骨が引っかからず食べやすい。個人的には豆腐と添えてあるたくあん、梅干しが美味すぎた。あと茶碗蒸しが付いているのは贅沢。
朝から堪能させて頂きました。

■チェックアウトと感想


部屋に戻ってこの文章の続きを書きあげたらチェックアウト時間となったので退室。無事にチェックアウト。

エレベーターホール前。床の間のような設えが。

 和風テイストホテルみたいな感じかと思いきや、細部まで和を感じられる造りや仕組みが施された館内で、静かで落ち着いた滞在を満喫できました。新宿エリアにあってこの空間を造り上げるのはなかなか真似できないことなんじゃなかろうか。東京にお越しの際はぜひ利用してみてください。
ありがとうございました。



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