日本の労働市場はいつも曇天 | 1月雇用関連統計
投資猫レイです。
日本労働市場はいつも通りの曇り空です。すなわち、失業率は低く、労働需給は逼迫していますが、賃金上昇率は低迷しています。
失業率は低いにも関わらず、賃金の上昇が弱い理由は、主に3点だと考えています。
第一の理由は、生産性の低迷です。生産性が向上しない限り、企業には賃金を上げる原資がありません。
この点の背景の一つは、日銀による長期の金融緩和だと見ています。長期に及ぶ金融緩和は、低金利でしか採算の取れない低生産性の投資の増加やゾンビ企業の蔓延に繋がります。
また、イールドカーブコントロールによって国債金利が極めて歪になり、市場の価格発見機能が喪失していることが、日本経済全体の資金配分を歪めています。
結果として、長期の異次元緩和が、日本の生産性低迷に繋がっています。
第二の理由は、硬直的な労働市場です。日本の中途転職市場は未発達です。そのため、労働需給が逼迫していても従業員はあまり転職しませんし、企業も中途を積極的には採用しません。
ただし、この点は変化しつつあります。日本でも転職サービスが拡充し、中途転職市場は除々に発達しています。若年層を中心に転職は一般化し、大手企業も新卒一括採用からの脱却と中途採用の拡大に本格的に乗り出しています。
第三の理由は、労働参加者の構造的な変化です。女性や高齢者の労働参加率が上昇したことで、全体の賃金上昇率を見かけ上、押し下げた面があります。また、派遣社員の増加も全体の賃金上昇を弱めました。
この点にも変化が見られています。女性や高齢者の労働参加率は、既に世界的に見ても高水準に達しています。したがって、今後は、少子高齢化による労働供給量の減少によって、ますます労働者の売り手市場の様相を強めると見られます。
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